表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者だったのかもしれない  作者: ぷっくん
召喚者with俺
16/187

~第2章~ 初めてのモンスター

 序===================


 深い森の中で黒蹴は呆然と尻もちをつく。

 隣には、肩と頭から血を流して倒れるピンキー。

 そんな2人に向かって、鋭い爪が振り下ろされた。


 =====================


 さて!とうとうやっとギルド編!来ました!

 俺達の戦いは、これからだ!!!


 前回ギルドに行った時は散々な目に会った。

 王様に怒られてコッテリ絞られて修業の日々。だが色々な特技も獲得したぜ!


 実は修業が終わる直前に一度世界樹に行ってみたが(城の世界樹枝で)、じいさんは居なかった。

 元の世界に帰るヒントを探す黒蹴はがっかりしていたが、若葉が手料理をふるまってくれた。味は、うん。


 木の周りを舞うシルフを見ると、たまに手(?)の結晶が無い奴がいた。俺は持っていたシルフ石を見つめる。シルフの手と同じ透明な緑色の・・・。

 俺は忘れることにした。


 首のじいさんの杖の痣は綺麗に治ったが、声は戻らなかった。やっぱりこの喉仏の傷跡が原因か・・・。


 この世界の魔法は、声をきっかけに発動することも分かった。つまり声の出ない俺は使えない。元いた世界の知識によると、俺は無詠唱で魔法を使えたらしいが、この世界では発動しなかった。


 そうこうして二ヶ月後。俺達は再びギルドのクエスト板の前に立っていた。

 ちなみに日数・月数・時間などはニホンと同じだそうだ。


 俺達が受けたのは前回と同じ≪薬草の採取≫だ。

 今回は銀と第3師団隊長(略して≪隊長さん≫と呼んでいる)も一緒だ。今回も国の兵士と分からないように普段着を着ている。


 そして今回は、隊長の部下である女性兵士も2人、付いて来てくれた。ヒーラー兵士さんと戦士兵士さんで、なんと2人とも私服だ!といっても冒険者風色気無し装備だけど。

(本当は王様、一個師団派遣しようとしたのだが、城の偉い人達と俺達でなんとか止めた)


 ヒーラー兵士さんは茶色ショートカットのローブ系柔らか美人さん。戦士兵士さんは金色ポニーテールの皮鎧系しっかり美人さんだ!

 戦士兵士さんはポニーテールだからポニーさん、

 ヒーラー兵士さんは(今朝紹介された時にちょっとした事件があり)「ケモラーさん」と呼ばれるようになった。理由は後で言うと思う。


 ピンキーがドアを勢いよく開ける。そして買ってきた帽子をグイっと深くかぶりなおし、堂々と中に入っていく。

 獣耳がグニョンと曲がってるのが帽子越しに分かった。


 俺達も続いて入る。前回も居たセクシーお姉さんが手を振ってくれる。ギルドマスターも手を振ってくれた。


 一般の冒険者達も、一瞬ピンキーをみて嬉しそうな顔をしたが、誰も近寄ってこない。おそらく男だと知ったんだろう。

 それにしては、皆何かにおびえている?


 ふと奥の受付の横の壁を見ると、張り紙がしてあった。≪!獣耳に触らない!≫。その横についた、わずかな血痕。

 そういう事か。ギルド職員に感謝しなきゃな、ピンキー。


 今回もギルドの一番手前の受付に歩く。前回も対応してくれた黒髪ウエーブ美人の職員さんだ。俺達を見て、ニッコリと笑う。


 ちなみに一番奥の受付がギルド登録窓口だった。ギルドマスターが直接対応してくれる。

 暇なのかギルドマスター。


 今回は、あのしっかり者のギルド職員さんは居ないのかな。お、受付側のドアが開いて中から出てきた。大きな荷物を抱えている。

 落としそうになった荷物を、銀がヒョイと持つ。ひゅー、かっこいー。

 驚いて顔を上げたギルド職員さんがいう。


「ありがとうございます~。あら、銀さんこんにちは~!」


 え?顔見知り?


 *


 銀は、シルバーランクの冒険者でした(ふたば)。

 うそやん。いつの間にクエスト受けてたの?王様許可出してたの?

 色々質問ずくしにしたいが、シルフ石がそこまで長く声が出なかった。黒蹴とピンキーが質問攻めにしてたけど。


 そして今回俺達が着ている装備は、王様が「合格のプレゼントじゃ!」とくれた物だ!

 今回の為にわざわざ作ってくれたらしい。

 何と言うぬるま湯。うちの王様は、過保護です。


 俺ことニルフの装備は、胸の前で留めるタイプの、長めの茶色マント(フード付き)。それと、喉と口を隠す様に紺色の長いマフラーを巻いてある。

「口と喉が動いているのに言葉が単語しか出なかったら、へんな事件に巻き込まれるんじゃないか。」心配性の王様の発案です。

 ちょっと怪しい吟遊詩人みたいな格好で、手には木刀。


 銀の装備は、やわらかい厚手の布で出来た帽子とコートだった。色は濃いこげ茶。

 銀は身軽な為、木の上を移動する事が多い。そういう動きのときに踏まないよう、しっかりと体に密着するらしい。

 そして普通の行動をしているときは普通のコートになる。原理の分からない装備だが、使いやすいと言っていた。

 背中には両手剣。


 黒蹴は、身軽なものがいいと希望していた。サッカーで鍛えた感覚と足で、敵を翻弄しつつ魔弾で打ち抜く。

 そういっていた彼の装備はバンダナに膝上までの短めマント(クローク)。まるで義賊の幹部って感じだった。短剣とか持ってそう。

 腰の横に双銃剣を下げている。


 最後にピンキーだが、あいつは初め、鉄の胸当てに丈夫なズボンに男物のコートという普通の格好をしていた。

 だがそれを見たヒーラー兵士さんがピンキーの手をひっつかみ、防具屋に走った。

 追いついたころには、ピンキーは女性用防具の前で着せ替え人形になっていた。前ギルドに行った時のような虚ろな目をしていたな。


 ヒーラー兵士さんは「この獣耳に合う服はこれじゃないんです!」と叫んでいた。

(このときピンキーの呟いた「ケモナー怖い」が由来になり、この兵士は今後ずっとケモナーヒーラー兵士、略して≪ケモラー≫と呼ばれることになった。)

 皆でなんとかケモラーさんを落ち着かせて、コートと長いブーツを買ったんだったな。


 ピンキーの装備は、一見すると鉄の胸当てに細身のズボン、腿まである長いブーツの上から長めのコートを羽織った状態だ。

 だがコートのボタンを全て止めるとアラふしぎ! あっという間にロングワンピースにロングブーツのお嬢様!(に見える)

 コートは上半身が白く、腰から下は徐々に黄色く色づいていくデザインだ。ブーツは明るい茶色。


 あの時は、なんとかこれで双方を納得させた。大変だったな・・・。

 ちなみにこのロングコートの購入後、王様直属の王宮魔術師が耐魔法効果と防御魔法をたっぷり編み込んだそうだ。出発準備をギルドでしている時に、こっそり変装して来てくれていたらしい。


 この魔法は、俺達全員のコートに掛けられている。

 魔法の掛かったコートやマントの下には、2か月間で使い込んだ城の修業時の防具を着込んでいる。慣れた物が一番だしね。ピンキー以外は皮の胸当てだ。

 城のお古装備は町に流すらしく、着ていても誰も怪しまなかった。


 そこで俺は思い出す。

 そういえば前回は装備も無しでギルドに駆け込んだな。金も持っていなかったし、あのまま行くつもりだったのか俺達。

 まあ薬草拾って金作って買うつもりだったんだろうけど。そりゃ怒られるわな。


 さすがに貰いすぎだと思ったのだが、王様に「既に利益は受け取っていますゆえ」と言われた。

 どうやら修業中、黒蹴が息抜きに遊んでいたサッカーが、国民の間で人気らしい。

 それの利益がたっぷり得られたため、俺達に合わせた装備が作れたらしい。

 4人のうち、一番の稼ぎ頭はまさかの黒蹴だった。


 ちなみにピンキーの異世界文明ハザードアイテム(自作)は、現時点では国民への商品化を止められている。


 話が逸れた。


 俺達はギルドで出発の準備をし、北西の門から町を出た。門番(ギルド派遣の男)が手を振ってくれている。

 俺達はやっと冒険の一歩を踏み出した!!!


 *


 20歩目くらいでスライムに遭遇した。

 ゼリー状のかわいい奴じゃなくて、へばり付くタイプ。でろでろの体の内側に青い核が一個ある。ちなみに顔は無い。

 スライムは、でろでろしながら様子をうかがっている。戦闘準備おっけー!


 すらいむ が あらわれた!


 ----------------------

 最後に、この2か月で覚えた4人の特技だ! 元から使えた分も含んでるけどね。


 ・ニルフ

≪剣と魔法の世界から召喚・ブロンズふたば≫

 剣術(元々使えたっぽい)

 魔弾(黒蹴の真似してたら出来た)

 身体強化(魔力を纏わせる)

 シルフに頼んで音を拾う

 シルフ石で話す(連続使用可能時間10分)

 読み書き

 薬草学・動植物の見分け方、調理法(毒がある部位や食べられる様に加工する方法など)

 手のひらからじんわり漏れ出るヒール(風の治癒魔法)

 厨房のおばちゃん達のコネ(城のうわさが集まる)


 俺はスピードと反射神経がいいらしい。ただし体力と力が無い。

 ここでの魔法は声が必須で使えなかったが、自分の知識にあった無詠唱の方法で魔法を使ってみると、手のひらから染み出るようなヒールになった

 厨房のおばちゃんは、手のひらヒールを練習してるうちに仲良くなった。俺のヒールはアカギレによく効くらしい。自分が≪軟膏≫って呼ばれてると知った時はちょっと泣いた。

 王様には2人の息子がいたが、亡くしたらしい。ちょうど俺達と同じ年頃の子供だったらしく、過保護の原因じゃないかい?と、仲良くなったおばちゃんから聞いた。

 魔法が使えないぶん余っていた魔力を、自分の知識にあった方法でコネコネしていたら、無詠唱の身体強化の魔法が生まれた。ヘソで魔力をコネるのがポイントだ!

 シルフ石は、使いすぎるとシルフがフラフラになった。ここぞという時にしか使えない。石に入れっぱなしは大丈夫だった。


 ・銀

≪魔法が存在する傭兵の世界から召喚・シルバーふたば≫

 剣術 (すぐにマスター)

 魔弾

 初級魔法(弱)(火、風、水、雷、氷、土)

 身体強化(魔力を纏わせる)

 武器強度強化(魔力を纏わせる)

 斥候技術(元々)

 投げナイフ(元々)

 格闘(元々)

 読み書き

 薬草学、動植物の見分け方


 身体能力と戦闘能力が高いが、魔法の威力が少なかった。何故か少し苦しそうに魔法を放つ。

 銀は後半、ほとんどどこかに行っていたから詳しくは分からない。他にも色々出来そうだ。

 前の世界では≪探索魔法≫の使い手だったらしい。地図に敵などのマーカーが出る感じ。しかし、この世界では発動しなかったそうだ。なんで?


 ・黒蹴

≪魔法の無いニホンから召喚・ブロンズふたば≫

 魔弾

 銃術

 格闘(双銃剣で殴る)

 初級魔法(銃から発射)(火、風、水、雷、氷、土)

 読み書き

 サッカー


 黒蹴は魔法系のようだ。銃から魔法を撃つと、普通に撃ったより2倍ほどの強さになっていた。

 元の世界に戻りたい一心で、銃術に励んでいたようだ。ただし銃で殴った方が敵に当たる。

 ヒール(風の治癒魔法)を魔弾として味方に当てると、回復した。どれだけ距離が離れていても、弾に当たれば一定量必ず回復できるっていうチートだった。

(普通のヒールは距離が離れると回復量が減る)

 この世界に銃が無かった為、王達も試行錯誤してたようだ。


 ・ピンキー

≪魔法の無いニホンから召喚・ブロンズ・ふたば≫

 剣術

 格闘

 初級魔法(火、風、水、雷、氷、土)

 料理(元々)

 読み書き


 ピンキーはおそらくPTの頭脳だ。召喚した側とされた側、双方が異世界召喚という初めての状況に戸惑う中、1人だけ色々と気を付ける事やアイデアを出し続けてくれた。


 修業の合間を縫って、コツコツと何かを作っていた。こっそり見たが、よく分からなかった。

 ピンキーは「文明ハザードだよ」といっていた。


 耳が4つあるので、音に鋭い。俺がシルフから聞ける音も広範囲だが、シルフは気まぐれなのが欠点なんだよ。

 王様から色々な図鑑を受け取っていた。必要なとき貸してもらおう。


 最後に初級魔法。この世界では決まった呪文を唱えなければ成らないのだが、俺以外の3人は適当な呪文で魔法が発動した。黒蹴に至っては銃のトリガーを引くだけで発動した。俺も銃を使ってみたが、魔法は出なかった。


 俺の無詠唱身体強化魔法は、元々魔法の無かった2人は上手く使えなかった。魔力のコネ方が分からないらしい。


 今分かっているのはこれだけだ。さあ!戦いの始まりだ!

初級魔法

風→ヒール(小)近ければ近いほど効果あり

魔法の名前はピンキーの影響で英語 (ヒール)だったり、黒蹴の影響で日本語(雷・炎)だったりします。


次回メモ:vs魔物!

いつも読んでいただきありがとうございます!ようやく戦闘シーン入ります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ