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勇者だったのかもしれない  作者: ぷっくん
空に向かって駆け上がれ!
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入り口発見!

 朝。


 昨日と同じように湖を覗き込むと、湖の中央近くの底の辺りに黒く大きな丸い穴があった。

 水がめちゃ透明なので距離感がつかめないけど、これ結構深いところにあるんじゃない?

 ボートがめっちゃ揺れて顔を上げる。

 ギリギリまで水面に乗り出して穴を見ているのはユーカだった。左手で長い髪の毛をまとめて掴み、水面ぎりぎりに顔を・・・っていうか既に潜ってるんじゃね? それ。

 ユーカはしばらく水面にブクブク泡を立てた後、勢いよくブハっとか言いつつ起き上がった。

 そのはずみで髪が手から離れて水面で跳ねた。

 結局べっちゃべちゃだ。でも気にしないユーカ。横に座ってた黒蹴に勢いよく振り返って喋り出す。


「ここ飛び降りて魔界に行くん? こんなゲームどっかであったなぁ。確かd」

「由佳ダメ!」


 何かを言いかけたユーカの口をふさぐ黒蹴。

 そのまま2人で言い争いになってた。

 後で理由聞いたら、「なんかそれは言っちゃいけない気がして!」とか言いながら額の汗を拭ってたけど、俺にはサッパリだった。





 湖畔に戻ると、樹のちょうど反対側で待ってる皆の方から騒がしい声が聞こえてきた。

 向こうにいるのは氷の大精霊とピンキーと銀の3人だ。騒ぐ事なんてめったにないのにな。

 あ、また大精霊が樹に登ってて、ピンキーがパンツ見て理性飛んだとか?


〔ちょっと、あれ揉めません?〕


 揉めてるらしい。

 あの3人が?

 俺はすぐにボートを岸に寄せて、3人の居る場所まで樹の根元まで走った。

 後に、軽快にボートを蹴り 岸に着地する音が続く。

 なんか最後辺りでガッ、ドボンって音がしたけど多分黒蹴だな。なんとなく!


 走りつつ、幹の向こう側に見える3人に向かって声を掛けてみる。

 透明な幹越しに見える3人は、なんか一塊になってモゾモゾ動いてるように見えた。

 幹の表面ボコボコだから、変な風にしか見えないな!


『おーい3人共ー。何やって』

〔待ってくださいニルフさん〕


 若葉に静止された。なんで?


〔3人の他にもう1人、いらっしゃるようですわ」

「え、全く見えませんけど」

「よー見えるなぁ。なんでハープに入ってるのに見えるし喋れるん?」


 俺も目を凝らしてみたが、やっぱり、透明な幹の向こう側に「誰かいる」ってのしか分からない。


 そうだ、せめて会話だけでも拾えれば!

 俺は走りながらシルフ達を目で探す。シー君、フーちゃんカマン!!!


『あれ!?2人共居ない!?』

〔ニルフさん上ばっかり見ていたら転びますわよ! って、あら?

 ホントですわ、いつもの風の小精霊達が居ませんわね。あ、そこ根っこあります〕

『おっとぉサンキュ若葉。そだ、シー君たち探しててくれない? 俺走るから』

〔会話を拾うんですわね? 分かりましたわ!〕


 さすが巫女の若葉! 眼鏡越しだとシルフも見えるぜ! ・・・今ハープなのに見えるんだな。

 先頭を走る俺達の後ろでは、黒蹴兄妹がこそこそと会話していた。

 何言ってるか聞き取れないけど、たぶん「精霊見たい」とか「見えない側から見たら怖い会話だよね」とか言ってんだろうな。


 それにしても遠い。

 デカい樹の幹をほぼ真反対側まで走るので時間がかかるかかる。

 普段はそう気にならないのに、緊急時だと異様に長く感じるときってあるよね!


 とか思ってる間に、やっと幹の端っこからピンク色の長い髪が見えた。

 あれはピンキーの髪がはためいてる奴だな。

 その横からスッと銀が現れて、幹に隠れた方向を見続けた状態のまま、俺達に向かって手の平を向けた。

 いったん止まれ、って事っぽい?

 と思ったら、そのまま手の平を上にひっくり返して一指し指をグイグイっと動かした。

 来いって事か。安全なんか?


 手前で止まって、ゆっくりと樹の幹から顔を出すと、そこには・・・。




 氷の大精霊・アイと言い争いをする、楽器屋のおっさんが居た。

 東の国の城下町の店休んでると思ったら、こんなとこにいた!?





 ----------------

 ~おまけ・走ってる時の由佳と黒蹴の会話~


ユ「なぁにーちゃん、さっき魔界への入り口見つけたけど」

黒「うん、見つけたね」

ユ「ちょっと飛び込んできてや」

黒「なんで!?」

ユ「一足先に様子見てきてくれへんかなーって?」

黒「敵陣に1人で行けと?!」

ユ「いや、攻略に犠牲は付きもんやん?」

黒「殺す気!?」

ユ「ほら、前走るニルフ達もなんか喋ってるやん? あれきっと『さっき水に落ちた音って、黒蹴が先に魔界の入口に行ったのかな?』とか言ってるんやで」

黒「仲間を信じようよ!?」

ユ「あ、ほら!こっち向いて困った顔した!きっとにーちゃんがおるの見て、『あれ?行ってねえじゃんアイツ』って思ったんやで』

黒「疑心暗鬼!」

ユ「ほら、なんか焦りながら走るスピード上げた。向こうで待ってる3人と協力して、にーちゃんを湖に沈めようとしてるんや!」

黒「3人ともグル!? いや皆に限ってそれは無いはずだし由佳。それだったら向こうの騒ぎも僕をおびき寄せるための芝居手事になるし、第一僕が湖に飛び込んだ音の時点で『魔界に行くつもり?』って思ったんだったらそのまま走る事は無いしそれに」

ユ「何1人でブツブツ言ってんのにーちゃん。もう着くで! ほら静かにして!」

黒「・・・ハイッ」

次回メモ:おっさん


いつも読んでいただき、ありがとうございます!!!

もうすぐブックマークが90人に!!!ふぉおお!!!アットヒットリ!ヘイッ!アットヒットリ!!!



とか言ってたら予約投稿する前に91人になってるぅぇえええええええ!?

ありがとにゃあーっす!!!

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