表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者だったのかもしれない  作者: ぷっくん
空に向かって駆け上がれ!
141/187

透明な樹

寝てたら投稿開いてしまいました。

すいません!

また書きあがり次第投稿していきます!

 シンっ・・・と静まり返った空気の中で。

 遠くに見えてきた、白く透明な樹。

 それはまだ遠くにあるにも関わらず、「見上げるほど大きいんだろうな」って程に高くそびえている。

 ちょうど、地上にある世界樹や、天海に来てすぐに合った、あの白い樹と同じくらいの大きさかな。

 それに、なんだか周りがキラキラと青白く光ってるような気がする。


「光ってます?」

「月明かりやろ?」

「由佳、あれゲームで見たキラキラーってのに似てない?」

「それエフェクトって言うらしいで」


 月、か・・・。

 黒蹴兄妹の声で空を見上げると、大きな青い月に目を奪われて息を飲む。

 同じように2人も月を見て何か話していたけども、夜だからか、いつもより2人の声は抑えめだった。

 なんだか、いつもより星がクッキリと見える気がして、俺は空を見上げていく。


〔あ、そんな反り返ったら・・・〕

『え? うぁ!』


 そのまま頭から、背中側にコケた。

 頭でブリッジしてる俺を放って、皆が通り過ぎていく。


「・・・っ、見事に転んだな」


 口を押えた銀の肩が、また震えていた。

 

 俺はフウッと白い息を吐く。

 そして立っている状態だった足を、バタンと地面に投げ出した。

 わき腹辺りに ずれてったハープ(若葉)を抱き直して、ぼんやりと星を見つめる。


〔行かないんですの?〕

『もーちょっと。ん?』


 白く光る小さな星が、顔に落ちてきて ふわりと消えた。






 



 起き上がった頃には、みんな米粒みたいな大きさになっていた。

 ちょっと遠すぎない?


〔だから言いましたのに〕

『若葉に足が無くてよかった』

〔嫌味ですの!?〕

『え?なにが?』

〔無自覚!〕

「やっときたねニルフ。ほらこっち」


 あ、しゃべってる間に追いついた。

 ピンキーの声の方に目を向けると、皆は樹の下に入って空を見上げていた。

 また空見上げるの?


「ほう、また1人来たようじゃの」


 若い声につられて見上げると、目線の先、5mほど上の透明な枝に、スラリと伸びた透明な生足が見えた。

 誰かが枝に座っているらしい。声からして女性かな?

 生足の根元には、半透明の短いスカートだ。

 パンツ見えそう。


「パンツ見えました!」

『黒蹴マジで!?』

「ほら!あそこ、透明な枝のここから右に斜めになってみたところに」

「貴様ら何やってんのよ!」


 聞き覚えの無い女の人の怒鳴り声がしてビュゥっと風が吹いたと思ったら、目に白いものが叩きつけられた。

 目を閉じる間もなく、ベタベタと全部目に入る。何コレ冷た!!!


『しかもネバってて取れないし!』

「イタっ!」

『染みるんだけど!』

「取れませんよ!?」

『さっき言ったよ俺が!』

「ホホホホホ! それは アイ 特製の攻撃用エキスなのよ!乙女のパンツ見た分しっかりと苦しむといいのよ!!!ホホホホホ!!!」

「にーちゃんら、ゴーグルつけてるみたいになってる・・・」


 俺と黒蹴の騒ぐ声と、さっきの女性の高笑いの声が混じる。呆れた様に、ユーカの声がボソっと聞こえた。

 っていうか、ホントに石鹸が染みたみたいになるんだけどコレ!!!


 



 *






 パンツ見ようとガン開きにした目に十分な刺激を与えられ、すっかり涙目になった俺と黒蹴を見て彼女が満足したのか、ようやく目から白いのが取れた。

 まつ毛ごと。


 地面に転がった、ちょうどゴーグルサイズに固まった白いネバネバには、俺達のまつ毛が点々と生えていた。


『ぐおぉぉぉお』

「痛ったぁ・・・」

「大丈夫?2人共」

『だいじょうう・・・』

「あー、まだ染みます」


 ピンキーにもらった暖かいタオルで目の周辺を拭きつつ皆を探すと、俺達以外の仲間達はピクニックシートの上に座って談笑していた。

 手には湯気の立つコップを持ち、クッキーとかの軽食をつまんでいる。

 そこにはさっきのスカートを履いた生足女性も座っていた。いつの間に仲良くなってんだアイツら。

 生足女性はバスケットから取り出したクッキーに、これでもかって程にジャムをてんこ盛りに塗りたくって乗せている。

 そのまま、とろけるような表情で口に運ぼうとし・・・。

 彼女は俺の方に何気なく目を向け、ハッとした顔でクッキーを落とした。

 その周りには様々なラベルの付いた、空になったジャムの瓶が何個も転がっている。

 見覚えのあるジャムのラベルに、目が点になった。

 あれって確か、まだ未開封の味のジャム瓶だったよな?


 ・・・あれから、何分経ったのか分からないよ。








「うむ、十分に反省したようだなのよ。段差から乙女のパンツを見るとかサイテイな男のすること、なのよ!」


 樹の下に敷いたピクニックシートの上で。

 1人だけ冷たいお茶を飲んでいるのは、透明な女性だった。

 女性って言うよりも少女よりだけど、もう少女ってほどでもない。

 しいていうなら。


「由佳くらいの年です?」

「高1くらいやな」

「ショートカットに大きな瞳、年齢よりも幼いしゃべり方だけどそれが鼻につかずに様になっている!

 これは中々いいキャラの子が」「ピンキー、何か飲むか」「いや銀、俺はまだ彼女の事を語りたムグッ熱っグッげほっごほ」


 ちょうどテイーンエイジャー?ってくらいの見た目の彼女は、近くでよく見ると「透明」というわけでは無かった。

 なんていうか、半透明っていうか。

 色が付いてる柔らかいガラスっていうか?

 いや、見た目はそう透明じゃないんだけど、不自然に透明って思いたいっていうか・・・。


〔透明な、イメージを無理やり脳内に叩き込まれている、という感じですわね〕

『うん、ソウ、ソレ!』

〔・・・分かって返事してます?〕

 

 ごめん、実は分かってない。

 そんな、若葉いわく「透明なイメージの彼女」の正体は。


「 アイ の事? 氷の精霊だよ? おっきい方なのよ!」

『氷の大精霊らしいなのよ』

〔聞いてましたのわよ〕


 いや、向こう聞いてないだろうなって思ってさ。

 黒蹴兄妹はまだ2人でおしゃべりしてるし、氷の大精霊見たピンキーは喋りすぎてお茶にむせてせき込んでるし、銀はなんか謝りつつピンキーの背中をさすっているし。

 あ、咳が収まったピンキーがまたしゃべり始めた。銀が若干、「しょうがねえな」って顔して聞いてる。


 俺は皆をスルーして、質問をぶつけてみる事にした。

 ズバリ、この場所は魔界への入り口の真上なのか、って事を、だ。

 意を決して、氷の大精霊に向き直る

 氷の大精霊も、俺の表情を見て、舐めていたジャムの瓶を下に置いた。

 目の前には、大精霊の名に相応しい、キリッと引き締まった表情の氷の大精れ・・・ん?



『あれ?氷の大精霊が居るって事は・・・ここって、氷の世界樹?』

「え、今更なの?」


 氷の大精霊の顔が、完全に「貴様、馬鹿じゃねえの?」って感じになった。

 たぶん俺の顔は「サーセンwww」って感じになってると思う。うん。

次回メモ:湖


いつも読んでいただき、ありがとうございます!!!

季節は巡るけど体は慣れぬ("^ω^)・・・。

けど休んでいる間に、210ポイントになってたー!!!

わーいありがとう皆さん!わーわーヒューヒュー!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ