SS 誰かの思い
短いので次の日投稿にしてみました。
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石碑で見た記憶は、2つあった。
1つは黒く、1つは無機質。
どちらも慣れ親しんだはずの記憶のはずなのに、どちら共はっきりと思い出せない。
いや、違う。
片方は、知っていたはずなのに忘れてしまった記憶。
片方は、忘れていたはずなのに戻っていた記憶。
片方を忘れるに従い、片方が蘇る。
この記憶を知るまでは、そのことにすら気が付かなかった。
そして、戦慄した。
今は大切な仲間である「 」を、殺めていたというその事実に。
「 」は、それを知ってなお、仲間で居てくれるだろうか。
「 」は、それを思い出してなお、今と同じ目で、見てくれるだろうか。
暖かな何物にも代えがたい、仲間同士を見る、その視線で。
記憶を失う以前の「 」を殺めたのがオレだと知っても、今の「 」はオレを仲間と呼んでくれるのだろうか・・・。
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石碑で見た記憶は、1つだった。
いつも見ていた記憶とは異なる、その記憶。
意外に思った。まさか、自分の以前の記憶がちゃんと存在していたなんて、って。
そして記憶を見る事を、楽しみにも思った。
しかしそれは、すぐに後悔へと変わる。
まわりに飛び散る血と戦慄と悲鳴と肉片と、下手人の高笑いの声。
目の前には、皆を守ろうと最後まで戦った1人の男の亡骸と。
自分の腕の中で震える、1人の女性。
夢で見られたのは、それだけだった。
続きが知りたくて、帰りに他の石碑を探してみたが、見つけることは出来なかった。
あの時女神は「あなたには、別の生きる道もあります」と言っていた。
・・・もしもあれが自分のもう1つの生きる道だったとして。
それならば、と強く思った。
それならば、全てを救ってやろうじゃないか、と。
あの腕の中で震えていた女性も、自分達を守ろうと戦た男も、仲間も。
そして、心の中で師匠と呼んでいた、あの男の事も。
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彼女がこの世界に掛けた魔法は1つだけだった。
この星を訪れるもの皆が、穏やかになる魔法。
それは、神の魔法だった。
この世界の地を踏み、水を飲み、空気を吸い、風に触れ、空を見上げる。
それだけで、魔法にかかるという、特別な者だけが使えるモノ・・・。
皆が穏やかで、優しい世界。
彼女が守りたかったのは、そんな世界。
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次回メモ:SS
いつも読んでいただき、ありがとうございます!
*???* は、誰か分からない状態を指してみてます。
ゲームによくある、名乗ってないキャラのふきだしみたいなあのイメージ。