祠の夢の中で。
ー*???*ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「オレは、誰なんだ」
目の前の女は悲しそうに微笑む。
蝶を模した姿の女。ソイツは、オレの知る女神と同じ姿をしていた。
複眼に閉じ込められたような白い部屋に、その姿はとても馴染む。
それを見るオレの姿も、オレが知る懐かしいモノになっていて・・・。
久々に味わう広い視野の中・・・目の端が、倒れる黒蹴を映した。
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ー*ニルフ*ーーーーーーーーーーーーーーーーー
あの時。
女神に最後の質問をぶつけたあの時。
「貴方は、この世界の・・・いえ、この天海の・・・重要な・・・生贄となった人物、なのです」
そのまま、女神は口を閉ざしてしまった。
「生・・・贄?」
つまり・・・どういうことだ?
「ではあの、天海の途中に生えてた石碑で見た夢は・・・」
「あれは・・・そうですね。貴方の記憶ですね、きっと」
なんか歯切れが悪い。一体何の生贄なんだ?
不審な思いを込めた眼で見続けていると、不意に彼女の様子がピリッとして。
彼女は、真剣なまなざしをこちらに向けた。
釣られて、俺も回る意識に耐えつつ、真剣に見つめ返す。
「いいですかニルフ、この事は絶対に言いふらしてはいけません。
特に自身を勇者や魔王と名乗る者に連なる者には、です」
「え、何をですか?」
妙に言い含める女神にキョトンとしてしまった。
言っちゃダメって、天海 (の元の世界)出身って事を?
しかし女神は強引に、俺との約束を取り付ける。
決して、見る夢に惑わされぬ事を。
必ず、自身の思う道を進む事を。
自身の過去が何であれ、今の自分、ニルフとして未来に進んでいく事を。
「お願いですから、今度こそは、自身を犠牲にしないでください」
女神は泣きそうな顔で笑う。どうしてずっとこの人は、俺を見て泣きそうになってるんだ?
「貴方はこの世界が、いえ。この天海が1つの世界であった時に、悲しいほど必死に生きたんですから」
なぜ貴方は、そんなに必死なんだ?
心に浮かんだ問いは、口から出ないまま沈んでいく。
そして次に目を開けた時には、俺は祠に寝ていて。
誰にも答えを聞けないまま、眠れぬ朝を迎えた。
そして俺は気づいてしまった。
初めてこの世界に来た日に見た夢。それと照らし合わせてみたらさ・・・。
生贄って、勇者の事じゃない? と。
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次回メモ:相談
いつも読んでいただき、ありがとうございます!!!!