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勇者だったのかもしれない  作者: ぷっくん
空に向かって駆け上がれ!
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天海~合流~3

 俺は部屋を見回した。

 久しぶりに会った勇者君がこっちに手を振っている。

 ユーカも勇者君も、すっかり日焼けしてコンガリだ。


 白を基調に綺麗に整頓された部屋には、勇者君、黒蹴、ユーカ、銀、ピンキー。そしてその横には、天海族でありこの家の主である、毛虫っぽい見た目のケムさん。

 ケムさんはピンキーにベッタリだ。

 その様子は何となく、レモンちゃん達を彷彿とさせる。

 確かレモンちゃん達も、危ないところをピンキーに助けられて一緒に旅してたんだっけな。

 って事は、ケムさんは天海版の。


ニ『ピンキー親衛隊、また増えてる』

ピ「なにそのピンキー親衛隊って!?」

黒「ニルフさんは親衛隊って呼んでたんですね。僕はハーレムって呼んでました」

二『あ、俺ソッチもたまに呼ぶ』

ユ「うちは失楽園」

ピ「ちょっと待って皆!?」

勇「モテモテだね!」

ケ「なんですか? その親衛隊って」

二『えーっと、ピンキーが以前地上で助けた女の子たちが・・・』


 俺の説明を聞いたケムさんは、「へぇ・・・」と言っていた。

 なんか目が怖かった気がする。


 ケムさんは生まれつき耳が聞こえなかったのを、ビックリピンキー開発アイテム(今適当に命名した)で治療したピンキーに恩義を感じて、この家に寝泊まりさせてくれているらしい。


「ここは、皆さんの天海での家だと思ってくださいね」


 そう言うケムさんの目は、ピンキーにのみ向いていた。すっかり惚れられたようだ。さすがピンキー。

 一通り笑った後、黒蹴がふと思い出したようにケムさんに質問しだした。


「僕達はこの家に居候してますけど、普通はどこに泊まるんですか?」

「この村に宿は無いので、村長のところですね。村長 兼 長老が住んでいます」

「長老って、あの白い毛の人ですね」

『白い毛?』

「ほら、あの時カビと間違えてユーカが引きちぎった・・・あっ」


 黒蹴の言葉に、ケムさんがハッと手を口に当てる。


「そうだわっ! 村に入ったら、まず村長老に挨拶に行かないと!!!」


 忘れてたんかい!!!




 *





 外に出てケムさんの後をついていく。

 町の中は全て真っ白なのかと思ったが、ケムさんの家と同じように、どのドアにもカラフルな色が付いていた。

 ほかにも、村の奥に進むにしたがって、家の周りに土を撒いて小さな花を育てていたり、日当たりの特に良い場所に縄を渡して洗濯物を干して会ったり。

 これはあれか。

 生活する様子が外から見えないようにして、外敵から狙われないようにする、っていう自衛法?

 

(でも村の周り、外壁とか無かったしなぁ)


 案外、何の意味も無いのかもしれない。


 俺の少し前では、ケムさんが忙しそうに足を動かして歩いていた。

 彼女のスカートから伸びた下半身からは沢山の柔らかそうな足が一杯ウネウネしててすごく不思議でコンガラガラないのかこれ、これが普通なのか天海。

 他の村人はどうなのかと思って見回してみるも、ドアはぴったりと閉まっていて、誰も出歩いて居なかった。


「どうしたんですか、そんなキョロキョロして」

『ん、他の村人見かけないなーて思って。黒蹴は見た?』

「あー、昼間は出ないって言ってましたね。暑いから」


 暑いから? と思ったら、前を行くケムさんが笑いながらこちらを見ていた。


「うふふ。天海は太陽をさえぎる雲があまり出ないので、直射日光のキツい昼間は寝て過ごしているんですよ」

「良いなぁ昼寝。シエスタやなぁ」

「シエスタ・・・ですか? 何ですその、シエスタとは」


 ユーカが呟いた言葉に、俺に説明してくれてたケムさんが不思議そうに顔をかしげる。

 俺も知らない、なにそれシエスタ。教えてピンキー!!!


「あぁ、地きゅ・・・ある地域での言葉だね。

 そこでは暑い昼間に昼寝して、涼しい朝や、夕方から夜にかけて行動するんだけど、昼寝の事をシエスタっていうんだ」

「暑いと行動力が落ちますし、健康にも良くありませんからね。と、着きました」


 ピンキーの説明に納得した風にケムさんが頷いた頃、ひときわ大きな白いドームの前に到着した。

 周りを見た感じ、ここは村の中央辺りだな。

 ここだけドームの周りに小さな木が何本も植わっている。

 あ、小さいけど果物が実ってるな じゅるり。黄色くて手のひらサイズでみずみずしい果物が鈴なりに、木一杯に連なっている。

 見ているだけで脳裏に、かぶりついたときの香ばしく甘い香りと、ムニッとした歯ごたえと甘さが浮かび上がった。

 ・・・いっぱいあるし、一個手に取ってみよ。家の影に行って、誰も見てないうちに・・・。

 

 伸ばした手の先で、雲と葉で出来たはずの家が、ファサっと波打った。


『!?』


 急いで手を引っ込める!

 が、その時生まれた風に乗るように、白くてファサッとした表面から毛状のものがスルリと伸びて。

 俺の取ろうとした果物を、プチンともぎ取った。


「ほっほっほ。1ついかがですかな? 旅人さんや」


 しゃがれた声と共に家全体が波打って、俺に影が落ちる。

 見上げると・・・村長老の家と同じほどの大きさの白い塊が、俺に覆いかぶさってきてた。

 丸ごとモサっと。


『どうぁわあああああ!?』


 走って逃げようとした所を、何かに足を掴まれてコケる!

 見ると、足に真っ白な毛が大量に絡みついてウネウネうごめいている!

 怖い! なにこわこれい!

 違うなにこれこわい!!!


『うわぁああああ! 燃やして! 黒蹴燃やして!!!』


 泣くんじゃないかって勢いで叫ぶが、黒蹴の魔法が飛んでこない! ってか誰の魔法も攻撃も無い!

 もしかして皆も捕まっちゃった!?

 そんな俺の足から、胴に向かって白い毛が迫りくる! そのまま俺を包み込もうとしてくる!

 ぎゃぁあああ! って叫びつつ手足をバタバタさせたところで。


 大爆笑した挙句に笑い過ぎてエヅいて倒れる黒蹴と、目が合った。

 黒蹴は白目剥いてた。

 急いで黒蹴を介抱するピンキーの横では。


「あら、村長老さん。以前ユーカさんにカビと間違われて毟られたのに、またやってるわ」


 ケムさんが穏やかに笑っていた。






 白い毛の塊は、村長老でした。

 迫ってきた家全体が村長老・・・というわけでは無く、年を重ねるごとに伸びた毛を、家全体に這わせていたらしい。


「ほっほっほ、この鉄板ネタ、旅人さんには好評じゃのう」


 俺を捕獲したまま朗らかに笑う村長老は、とっても薄っぺらだった。

 その薄っぺらが俺に覆いかぶさっている。なんか生暖かい。


「村長老、こんにちは」

「皆さん、仲間がそろったそうですよ」

「おぉ、ケムのところの旅人さんの御仲間か。この度はどうもケムがお世話に・・・」


 覆いかぶさったまま談笑を始めた。時折聞こえる笑い声。俺忘れられてる? 

 あぁ、でも。息は出来るし、日陰になってて生涼しいし眠くなってきた・・・。けど、このままじゃダメだろう。

・・・だんだん・・・意識が遠く・・・グゥ。すやぁ。


「おお、そうじゃ。今日収穫した果物があるんじゃが食べて行きませぬか?」

「わぁ! この変な果物、食べられるんですか!」

『!!!!?』



 このままじゃダメだろぉぉおおう!!!



『モガーーーーー!!!』

「おぉ、忘れておったわ」

次回メモ:果物


ヤバイ最近遅れ気味だ!休みが不定期ででででで(ry

ごめんなさいいつも読んでいただきありがとうございます!!!

書きだめしなければぁぁ

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