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勇者だったのかもしれない  作者: ぷっくん
空に向かって駆け上がれ!
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海の入口へ 道中2

ニルフ達の乗る船は、隊の右前辺りにいます(忘れてた)

 さて、3国合同の軍にちらほら居る、ギルドから派遣されたという冒険者たち。

 船に乗り込む前にザっと見てみたら、俺達以外にも10人ほどいた。

 その時 話をしてくれた背の高い優しげなお姉さんによると・・・。


「あの冒険者達が選ばれた基準? それはね・・・?」


 お姉さんは俺の耳に手を当てて、顔を近づけてヒソヒソと話す。

 お姉さんの長くウェーブした薄銀色の髪が首筋に触れ、話すたびに小さく揺れた。

 こしょばい!!!


『う、うへやぁ?! ゴールドランクの人たちなんですかぁ!?』

「あら、変な声出して、ニルフちゃんったら。美女、驚いちゃう」


 銀も俺の言葉を聞いて、さすがに驚いた顔をしていた。

 そうだよな、ゴールドランクのメンバーは誰も見た事がないって話だったし。

 話をしてくれたお姉さん「美女って呼んで?」・・・美女さんは、立てた人差し指を唇に当て、銀にウインクしてから優雅に他の船に向かった。

 長身によく似合うデザインのドレス、そのふんわりと広がったスカートが風になびいて美しい。

 あざ名が美女なだけあって、すんごい美人さんだったな~。


「ほら、行くぞ」


 ぽやーっと見ていたら、銀に引っ張られた。

 なんだか少し焦ってる感じがする。

 あれか、ウインクされて動揺か。




 *





 白い肉片が撤去された甲板で俺はそのことを思い出しつつ、この船に乗っている冒険者を見回してみる。

 うーん、シルバーランクの部屋で見かけた人が居るような? 居ないような?


『流石に東のギルドマスターはいないっぽいね。他のギルマスもここには来られないかぁ。ギルドを預かる責任とかあるだろうし』

「・・・あぁ」

『どしたの銀?』


 そんな会話をしていると俺達の横に、ドッカと誰かが勢いよく座り込んだ。

 俺の体が丸ごと影にすっぽり覆われる。

 でけぇ。

 顔を上げると、熊みたいなずんぐりむっくりなデカさの男が座っていた。

 髭に覆われた顔が逆光で影に覆われていてめっちゃ怖い。というかタルに座ってる俺よりも座高が高い。こわい。デカい怖い。

 

 その男は、毛むくじゃらの人差し指を俺に向けると・・・。


「ゴールドランクについて知りたがってンのは、お前さんか」


 血に響くような声だった。

 血がブルブル震えるくらい怖いっていうくらい怖い怖いこわい。


『す、す酢酢酢スイヤセン親分! もう知りたいとは思いませんデスァ!?』

「・・・おいそこまで震えなくてもいいンじゃないか。ちょっと気にしてンだ」


 俺とおっさんのやり取りに、銀がプッと噴き出す。

 強面のデケェおっさんが目に見えてシュンとした。

 髭に覆われた顔の奥で、つぶらな瞳がちょっと潤む。

 あ、この人あれだ。怖かわいい系男子ってやつだ。

 なんだかピンキー達がニホンの話をしている時に出てきた、クマって動物に似てるぞ。

 クマ系男子か。

 毛むくじゃらの顔に、ピンキーのような耳が生えてる所を想像してみる。

 急に怖くなくなった。


『ぶっ』

「・・・怖がってたと思ったら急に噴き出すンか。まあいい、ゴールドランクの冒険者の事、聞きたいンか聞きたく無いンか」

『すいません、ぜひ教えてください。えーっと』

「好きに呼びゃアいい」

『じゃあクマおじさんで!!!』


 即答かイ、と言いつつ、クマおじさんは腰に下げた水筒を一口あおって手の甲で口を拭う。

 聞きなれると耳に心地いい低音で、クマおじさんの話が始まった。


「まず、ゴールドランクの基準だなア。

 宝石に全ての属性の世界樹の石碑を≪登録≫させた猛者が、ゴールドランクとして認定されるそうだァ。

 ただし、だ。

 誰が認定されているかも、なる方法も、一般には秘密にされてるってエ話さア」

「ギルドには、ゴールドランクしか入れない部屋があったが」


 さっきまで静かに笑っていた銀が会話に加わった。

 クマおじさんってあざ名がツボに入ったらしい。


『あの部屋に出入りするゴールドランク見た事がないって噂になってたけど』

「あれな、出入り口がほかにあるンだ。地下とかにな」


 何か所もあるんか。


『じゃあ、あの部屋にはゴールドランクが数人出入りしていたんだな』

「数人じゃア無ぇぞお?」

 

 クマおじさんの言葉に目を見開く。


『そんなに居るの!?』

「目に見えて冒険者って格好してる奴らばかりじゃア無ぇてことさア。よく見てみな」


 クマおじさんの言葉に周りを見回すが、まったく見当g「兵士に混ざっているな」銀早い。俺まだ考えてすら居なかったんだけど。

 そんな銀に、クマおじさんは豪快に笑った。


「そうさア、ここに呼ばれた冒険者の奴らは皆ゴールドランクだがア。

 もちろんそれを秘匿していたいって奴らも居るってぇ訳さア!

 それ以外にも参加していない奴らも居るしなア」

『すごいな、そんな中でなんで俺達も呼ばれたんだ?』

「何言ってんだイ。あんたらもゴールドランクだろうがイ」


 そして実は俺らもゴールドらしい。ってことは召喚者全員か?

 あ、そうか。俺達って1つの武器に全部の石碑を≪登録≫させてたんだった。


 結構全部登録しようとする人がいるらしく、失敗率も高いがなんか成功者も何人かいるそうだ。


「各地に点在する属性世界樹から白い光が飛び出ただろウ?

 ギルドはそれを確認すると、世界樹を守る門の通行記録をチェックするそうだア。

 そして確認が取れ次第、そいつをゴールドランクに認定ってェ訳だ。

 ま、本人に伝えられるのはそいつがゴールドにふさわしいかが分かってからのようだがなア」

『俺達伝えられてないけど言っちゃっていいの!?』

「いいんだアいいんだア。ゴールドランクの事を聞きたがってるゴールド冒険者が居るから、そいつに話して来いって言われてたからなア」

「それはアイツじゃないのか?」


 銀が指さした方向に2人で顔を向ける。

 そこではいかにも一匹オオカミって感じの強面の冒険者が、集まって駄弁る冒険者の集団に話しかけていた。

 会話を拾うと、確かにゴールドランクに付いての内容を聞いているっぽいな。

 どうやら、この船に乗る直前にギルドマスターに呼び出されてランクアップを告げられ、詳しい内容を聞こうと聞いて回ってるようだ。


 クマおじさんの顔を見る。

 目を合わせてくれなかった。


「俺はあの冒険者にゴールドランクの説明をしてくる。先輩としてなア。

 お前らも頑張れよオ。ところでクマって何だ?」

『南の孤島に居る珍しい動物の名前です(うそ)』


 別れ際にクマおじさんと握手をした。

 大きく毛むくじゃらで力強いその手に、どこか懐かしさを感じながら見送った。


 さて、まとめだ。

 ゴールドランク者が出るたびに、俺達が雷の世界樹で体験したみたいな「白い光が飛ぶ」現象が起きるようだな。

 一応、銀ははた目にはシルバー・たいぼくのままになるらしい。ゴールドなのは世間には内緒。

 シルバー・たいぼくでもゴールドじゃない人もいるし、ゴールドでもシルバー・わかばの人も居るらしい。ユーカとか。

 俺・黒蹴・ピンキーはシルバー・わかぎ。

 

 おっさんらの宝石は、透明だった。白い光が飛んだあと、俺達の剣に宿ったような世界樹島からの光は、飛んでこなかったらしい。

 銀がうまく聞き出していた。

 虹色になるにはほかに条件があるのかな?

 例えば・・・世界樹島の世界樹の枝の近くにいること、とか?









 *








 聞き出したことを、銀がノートにまとめていた。

 穏やかに吹く風にフワフワと漂うシー君とフーちゃん。

 その時、首の後ろにピリッとした違和感を感じた。


 銀が、スッと上を見る。


 上空で、赤い何かが弾けた。

次回メモ:粘


いつも読んでいただき、ありがとうございます!!!

ニュアンスで生きる男、ニルフ

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