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勇者だったのかもしれない  作者: ぷっくん
空に向かって駆け上がれ!
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召喚者達の目指す場所

「そして、最後の1人。それは・・・ワシじゃあ!!!」


 東王が叫びつつ引っ張り出した大剣。そこには。 

 俺達と同じような、虹色の宝石が嵌っていた。


 俺はめちゃくちゃ驚いて、つい叫んでいた。


『一体どこからその剣出した!?』

「そこなん!?」


 しまった間違えた。

 すぐにユーカのツッコミが飛ぶ。 


「ずっと透明だったんじゃがの、今回急に虹色に色付いておったわ!

 つまりこれは同伴しろという神からのお達し!!!

 昔取った杵柄、しかしまだまだ若いもんには負けぬぞ!」


 うれしそうにブンブン剣を素振りする王様。

 確かにかなりの腕前っぽい!とりあえず俺よりは上だ!確実に!


「すごい! 王様強そう!」


 なんだかピンキー親衛隊辺りが、普段見ない逞しい王の姿に黄色い声を上げてる。

 なるほど、これがギャップも絵ってやつか!


「・・・王」


 いろいろ皆の声が飛ぶ中、大臣が王に詰め寄った。


「いい加減にしてください」

「・・・ダメ?」

「壮年の爺さんがかわいくいってもダメです」


 大臣の普段見ない形相に若干身を縮めつつ、かわいく聞く東の王様。

 何故か西の女王が「あちゃあ」って顔をしていた。


 結局天海への同行を大臣に却下された東王は、今は大人しく俺の隣で佇んでいる。

 ちょうどいい機会だからと(今は神官が伝説とか話してて眠くなりそうだからとかじゃないよ!)、東王に宝石を虹色にした方法を聞いてみた。

 ら、俺達と同じ方法だった。つまり1つの武器に全ての世界樹の石碑を≪登録≫させていたっていう。

 あれ? ・・・普通の武器って、世界樹の石碑をいくつも≪登録≫すると、壊れる可能性がすごいとんでもないんじゃなかったっけ。

 しかも宝石が壊れたら、今までそこに貯蓄した≪登録≫でアップした能力も消えてなくなるし。

 しかもしかも、1つの石碑に≪登録≫出来るのは生涯に一度だけだったはずなんだけど。

 世界樹の石碑でも、その辺にある小さな石碑でも。

 それなのに、特別製の武器でもないのに全部の世界樹を1つの武器に≪登録≫させていたと。


 普段お世話になってる東王が、とんだギャンブラーだった。

 

「これでも昔は、我が国どころか世界一の武道家の王だったんです・・・」


 東の大臣が頭痛を押さえるみたいに頭をこすってる。いろいろ苦労したんだな。


 そのまま着々と式典は終わった。

 この後は、各国の王が勇者への祝辞と今後の計画について会議を行うらしい。

 

 向こうの方で各王に囲まれて恐縮している勇者君を見て笑っていると、メイジさんとピンキー親衛隊の会話が聞こえてきた。


「ええ、私は行かなくてもいいの」

「どうして? 南の王は、あなたのお父さんなんでしょ?」

「血は繋がってる・・・。でも、それだけなのよ。あの人にとって、私はその程度の価値なの」

「そんな・・・」


 何とも悲しそうな会話だけど、俺にはどうすればいいか分からないな・・・。

 横で同じように会話を盗み聞きしていたピンキーが何か考え込んでたから、きっとピンキーが何とかするさ。

 耳4つあると音がよく拾えていいよね。


「でもアタシは! もしアタシのお姉ちゃんがメイジさんだったら、姉妹として居たいと思うんだからね!」


 レモンちゃんの言葉に、メイジさんが涙ぐんでた。





 *





 その後王達に呼び出されて会議の結果を伝えられた。

 なんか見た事ある豪華すぎるテントがあると思ったら、王様達の会議用のアレだったよ!


 どうやら、魔族が魔界から出入りしている場所らしいところに見当がついたので、そこに向かうことになったらしい。

 なんか国を跨いだプロジェクトを立ち上げて世界中の著名な学者たちで歴史を漁って調べていたらしい。

 ということで。


「勇者と同じ宝石を持つ召喚者達よ、誰かこの調査に同行してはくれぬか?

 ちゃんと、ギルドに依頼として出すぞ」 


 西の女王が切り出した話は当然そういうことだった。(その横ではとっても渋い顔をしている東王が。何があったんだ)

 勇者君を呼ばなかったのは、当然勇者の行動として魔界に乗り込もうとするだろうし、危ないから引き離しておきたいって理由っぽい。

 勇者君、一気に重要人物に格上げだ。さすが世界にただ1人の勇者。自称じゃなくなった勇者は世界的に貴重だもんな! たぶん。雰囲気的に。

 そして4人での相談の結果・・・。

(相談と言ってもほぼ魔界の調査に行けるメンバーは決まっているようなものだったけどね!)



 天海に行くのは勇者君と黒蹴・ピンキー・ユーカの4人だ。

 黒蹴とユーカはニホンに帰りたいという思いを持ってる。召喚されてから、ずっと。

 ≪神が住むという天海に行き、自分たちを召喚したという神に会って帰る方法を聞く≫

 その願いをかなえるには、これが今考えられる一番の近道だろうから。

 そして護衛として、同じニホン人のピンキーだ。東王やメイジさんは目いっぱいの護衛をつけたかったようだが、なにぶん天海に行く資格を持つものがほぼ居ない。

 勇者君の事もまだ国民達には内密なため、虹色の石を持つ冒険者が俺たち以外に見つかっていないっぽい。



 自動的に、俺と銀・そして各国の兵士たちは魔族の拠点があるといわれる場所に向かうことになった。

 2人共、特に神に用がある訳じゃないしさ。

 あ、一応喉を治してもらえるんだったらそれに越したことはないけど。でも今でもそこまで不便じゃないし、後回しでいいかって事に。

 神様みかけたら聞いてくれるって言ってたし4人共。

 

 最初、銀も勇者君たちの護衛として天海に向かうもんだと思っていた。当然その流れで話がまとまってたんだけど、なんか途中で「あれ? これニルフ1人になるんじゃね?」って誰かが言い出して。

 そこから俺に付けるのを銀にするかピンキーにするかで数十分。なぜだ。

 俺は『じゃあ俺が天海の護衛側に行けば良いんじゃないか?』って言ったら「余計に悪い事になる」って即却下された。なぜだ。

 

 ま、俺が1人で調査に行かせてもらえない理由は分かるんだけどさ。

 だって俺、回復役だもん。攻撃呪文使えないもん。魔弾で殴るか木刀で殴るかだもん。ね!

 あぁだから俺は天海側じゃなくて調査側なんだな。調査隊が襲われたときに、1人で隊全体を回復させ続けられるから。


「ニルフの考えてるのとは違う理由やろ」

『なんか言った? ユーカ』

「いやぁ? なんでもないよぉ?」


 急に目を背けて口笛吹きだした。ちくしょう聞き逃した!


 って事で、俺と銀は調査に向かうことになった。


「ではワシはそちらの方へ!」

「王?」


 東王の 最後の あがき!

 しかし 大臣には きかなかった!

次回メモ:ファイター


いつも読んでいただき、ありがとうございます!!!

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