1/19
プロローグ
「・・・行きが参ります。白線の内側にお下がりください」
自宅のある大阪から下宿先の名古屋に向かおうとしていた俺は新大阪駅のホームに立っていた。
ちょうど世間一般で言う夏休みと重なったこともあり、ホームには大勢の家族連れがおり幼い子供を連れた一家団欒を微笑ましげに眺めていたときだった。
予定でも確認しているのか、スマートフォン片手に小走りで先を急ぐビジネスマンの姿が視界にに入ったときには既に遅かった。
次の瞬間、前方不注意なまま小走りで迫り来るリーマンと俺は接触し、小柄だった俺は線路上に突き飛ばされた。
レールに頭を強打して意識を手放す寸前に見たものは轟音をあげて迫り来る新幹線だった。