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水の知らせ

作者: しゅうらい
掲載日:2026/08/10

『ピチャン……ピチャン……』

 三日前くらいだろうか。

 私の家で、よく水滴が落ちる音がする。

 最初に気づいたのは、リビングで食事をしている時だった。

「あれ、ちゃんと閉めなかったのかな」

 ほっといてもよかったけど、私は台所へ向かった。

 でもね、おかしいんだよ。

「えっ……音がしてたのに、水滴が落ちてない?」

 そう、そんな跡はなかったのだ。

 不思議に思いながら、その日は過ぎた。

 だけど、次の日も水滴の音は聞こえた。

 今度は、私が出かける時だった。

 玄関の近くには、トイレと脱衣所、風呂場がある。

 その全部を調べても、水が漏れてる形跡はない。

 ここまでくると、ちょっとおかしいのは、私でもわかる。

 そう思っていたけど、昨日のことだった。

 その日、家族はみんな出かけていた。

 だから、家には私だけだった。

 なにもやることがなくて、ボーッとテレビを見ていたんだよ。

 そしたら、外から雨の音が聞こえたんだ。

 しかも、ゴロゴロと雷の音までしている。

「やだ……雷鳴ってるじゃん」

 私がげんなりしていると、また聞こえたのだ。

『ピチャン……ピチャン……』

「えっ、またこの音?」

 雨の音ではない。

 明らかに、家の中から聞こえてくる。

 すると、玄関の開く音がした。

「だっ、誰……」

 私は、急に怖くなった。

 だって、両親は遅くまで帰ってこないし、姉は遊びに出かけている。

 すると、大きな音を立てて、雷が落ちたんだ。

 そのせいで、テレビも電気も消えた。

 つまり、ブレーカーが落ちたのだ。

 暗い中、足音は近づいてくる。

 そして、ピカッと雷が光った。

 その瞬間、私の前に、びしょぬれの女の人が立っていたんだ。

「ぎゃぁーっ!」

「いやぁーっ!」

 私が叫ぶと、また暗くなり、足音が遠のいていく。

「あれ?」

 なんか、違和感あったな。

 今、相手も叫んだよね。

 私がかたまっていると、明かりがついた。

 私はほっとしたけど、すぐそばには水たまりができていた。

「あれ……でも、なんで明かりついたんだろ」

「もう、急な雨でオシャレが台無しよ!」

「あっ、お姉ちゃん!」

 そっか、お姉ちゃんがブレーカーを上げたのか。

 つまり、さっきのは姉で、雨に濡れて帰ってきたというわけだ。

 私は真相がわかり、またほっとした。

「じゃぁ、お姉ちゃんは私の声にびっくりしたの?」

「違うわよ……」

 すると、姉はとんでもないことを言ったんだ。

「窓の外に、子どもみたいなのがはりついて、じっと見つめていたのよ」

 えっ、ここ六階ですけど?

★★★

 その日から、姉の具合が悪くなった。

 最初は雨で濡れて、風邪をひいたと思っていたけど……

「病院に行っても、原因がわからなかったのよね」

「……えっと、なんで私にそんな話をするの?」

「だってミカサちゃん、霊が視えるって、みんな言ってるよ?」

「まぁ、否定はしないけど……」

 この子は、斎藤ミカサちゃん。

 私のクラスメイトで、ちょっと変わった女の子だ。

 すると、ミカサちゃんは姉のことを聞いてきた。

「お姉さん、ここ最近どこに行っていた?」

「確か、近くの川でバーベキューしたとか言ってたなぁ」

「その川って、ここじゃない?」

 そしたら、ミカサちゃんはスマホを操作して、あるニュースを見せてきたよ。

「あっ、そうだよ!」

「やっぱりか……」

 すると、ミカサちゃんは斜め上を見て、なにかを話してる。

 そして、私の方を見た。

「そこでは、水難事故があったようね」

「水難事故?!」

「お姉さん、そこでなにか拾ったりした?」

「……そういえば、きれいなビー玉拾ったとか言ってたよ」

「たぶん、それに思念が宿ってたのね」

「なっ、なんとかできないの?」

「じゃぁ、明日それを持ってきてくれる?」

「えっ、なんで?」

「知り合いの人に、お払い頼んでみるから」

「あっ、ありがとう!」

 私はすがる思いで、彼女に姉が拾ったビー玉を渡した。

 すると、少しして姉は元気になったんだ。

 水の音も、あれから聞こえない。

 ミカサちゃんに話したら、こう言ったんだ。

「よかったね。お払い、うまくいったのかしら」

 なんて、笑っていたよ。

 あっ、こうも言っていたんだっけ。

「それと、きれいだからって、なんでも持って帰らないことね」

 しっかり、注意されました。

 あんな風に言ってたけど、私は考えた。

 もしかしたら、ミカサちゃんがどうにかしてくれたのかな?

 まぁ、彼女に言っても、きっとはぐらかされるだろうけどね。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
怖い……怖いですが、子供になった霊のことを考えるとまた悲しいですね。( ; ; ) ホラーですが かわすような展開があったり、その後の真の恐怖や原因、解決までもが組み込まれ、短い中で満足感がありまし…
無暗な拾い物は災いの元ですね。 そしてクラスメイトのミカサちゃんは実に頼もしいですね。 ヒアリング能力が高くて的確に情報を聞き出せますし、更に祓い師さんの伝手もあるのですから、心霊現象に巻き込まれても…
途中、びしょびしょになったお姉ちゃんかーーい\(^o^)/♪笑 とツッコもうと思ったら、後半にしっかり怖いところがありました(ToT) 川の水難事故……怖いですよね……(ToT)
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