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ばれてる?

作者: Uki
掲載日:2026/02/28

 「で、あいつのことどう思ってんの?」


 唐突にそう聞かれて、僕は一瞬だけ息を止めた。


 昼休みの屋上。

 目の前には、同じクラスの佐伯。


「どうって?」


 なるべく普通の顔で聞き返す。


 佐伯はニヤニヤしている。


「いや、お前ら最近、距離近すぎ」


 心臓が跳ねる。


 “お前ら”って、つまり。


 ――あいつと、僕。


「別に。普通でしょ」


「普通の親友は、あんな触んねーよ」


 触る。


 昨日も、肩を組まれた。

 その前は、後ろから首に腕を回された。


 彼女がいるくせに。


 全部、無自覚。


 僕だけが意味を持たせてしまう。


「考えすぎ」


 そう言いながら、手のひらが汗ばんでいる。


 佐伯はじっと僕を見る。


「お前さ」


 やめて。


「もしかして好きなんじゃね?」


 鼓動がうるさい。


 顔に出てないよね。


「は? ないない」


 即答。


 早すぎたかもしれない。


 佐伯は少しだけ目を細める。


「ふーん」


 その一言が怖い。


「まあでもさ」


 佐伯が空を見上げながら言う。


「あいつも相当だよな」


「なにが」


「彼女いるのに、お前ばっか気にしてる」


 ドクン、と胸が鳴る。


「お前が他の男子と話してるとき、顔怖いし」


 ……それは、気のせいじゃなかった?


「昨日だってさ、部活終わりに彼女待たせてんのに、お前探してたぞ」


 知らなかった。


「“どこ行った?”って」


 喉が乾く。


「親友だからでしょ」


 かろうじて言う。


 佐伯は笑う。


「それ、便利な言葉だな」


 屋上のドアが開く音がした。


 振り向くと、当の本人が立っている。


「なに話してんの」


 無防備な声。


 僕の隣に当たり前みたいに座る。


 距離が近い。


 佐伯が意味深に笑う。


「お前の話」


「俺?」


 攻め――いや、あいつが首を傾げる。


「なんの?」


 やめて。


 何も言わないで。


 僕は慌てて話を逸らす。


「別に、どうでもいい話」


 あいつはじっと僕を見る。


 ほんの少しだけ、不安そうに。


「変なこと言われてねーよな?」


 その声が、少し低い。


「別に」


「ならいいけど」


 そう言って、なぜか僕の手首を掴む。


 無意識。


 無自覚。


 でも、独占みたい。


 佐伯が吹き出す。


「ほらな」


「なにがだよ」


 あいつは本当に分かっていない顔をする。


 僕だけが、分かってしまっている。


 もしかしたら。


 佐伯には、ばれてる。


 もしかしたら。


 あいつにも、少しだけ。


 でも。


「今日も一緒帰るよな?」


 当たり前みたいに言う。


 彼女がいるくせに。


「……うん」


 断れない。


 だって。


 ばれてもいいくらい、好きだから。

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