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 ショウは、そんな記憶を思い出しながら伝説の剣を見つめる。


「……なぁ、ケント……俺達の夢の一歩、勇者になる。

 その夢がもうすぐ叶いそうだ……勇者と言っても勇者パーティーだけどな。

 でもよ、ケント……俺達が目指す。英雄……勇者とは、アイツらに謝って勇者になる事なのか?

 それで、お前は……皆んなは……本当に喜んでくれるのか?」


 ショウは、伝説の剣をケントに見立てて話しかける。


「……でも、そうだよな。

 理想と現実は、違うって事だよな……

 この伝説の剣だって、オリハルコン製なのに、こんなに錆びて朽ち果ている。

 俺が思い描いていた物とは、まったく違う……」


 そして、ショウはオリハルコンの剣をまじまじと見つめる。


「これって、本当にオリハルコンなのか?」


 そう思い……ショウが伝説の剣を鑑定すると——。


【材質】オリハルコン。

 

 と、表示された。


「本当に、オリハルコンなのかよッ!

 なら、何でこんなに錆びて朽ち果てているんだよ!」


 少し怒りにも似た感情で、剣に文句を投げかけた。

 そして、ショウはオリハルコンの剣を注意深く観察すると……


「これは……!? 錆びて……いや、模様……?

 しかも、これは——刃こぼれではなくて……こう言う形で作られているのか?」


 ショウは、もう一度——オリハルコンの剣を鑑定してみる。


 すると……


【材質】オリハルコン。


英雄への(カギ)


「…………鍵? って事は……」


 ショウは、おもむろにバックから宝箱の鍵を開ける道具を取り出す。

 そして、オリハルコン製の剣の根本に油を垂らすと、ゆっくり時間をかけて剣を抜いていく……



「もう少し……あと、ちょっと……」



 長い時間をかけて、岩から剣を抜くと……ショウは、オリハルコンの(カギ)を天にかかげた。


 すると、剣から眩い光が放たれると光の玉がショウの体を貫く……と、その衝撃によりショウは、意識を失ってしまった。


 が……意識を失う瞬間に、何やら声が聞こえた気がした。


『この者が、本当に受け継ぐのか……?』

『…………』

『剣を抜いた……鍵……』

『…………』

『そう言う事だろう……』

『…………』

『ならば、コイツが世界の終焉を止める者……』

『…………』

『誰であろうと関係ない……』

『…………』

『我々の力が有れば……英雄……』

『…………』


 意識がなくなる前に、沢山の人達の声が聞こえた気がした……



 次の日——。


 太陽が真上にさしかかった頃に目を覚ました。

 そして、ショウは昨日の事を夢かと思ったが——起きた場所が洞窟でオリハルコンの剣を抱えていたので自分が剣を抜いた事は夢ではなかったのだと確認出来た。


「……あの光は、何だったのだろう?」


 そんな事を思っていると、何処からともなく声が聞こえて来た。


「おい——ッ! お前ッ!!!」


 ショウは、辺りを見渡すが……誰の姿も見えなかった。


「えっ!? だれ? どこ……?」


「ここだよ! ここ……」


 そして、声のする方をよーく見ると……

 何やら、虫の様な……鳥の様な……いや、古びた鍵に目のついた。

 奇妙な生き物が宙を舞っているのが確認出来た。


 なので、ショウは奇妙な生き物に恐る恐る声をかけてみる。


「話しているのは、お前か……?」


「当たり前だろ! 他に誰が居るんだ——。」


「……でも、お前……口とか無いし。と、言うか、生き物なのか???」


「俺か? 俺は、その剣の化身みたいな……チュートリアルと言うか……簡単に言うと説明役って事だな。

 それに、生き物と言うより。俺は、鍵だな……」


「チュートリアル……? 説明役……? 鍵?」


「まぁ、いい。

 その剣を抜いた——。お前には、やってもらいたい事がある」


「やってもらいたい事……?」


『『『『『《《ワーーー》》ッ!!!』』』』』


 すると、遠くの方から村人達の歓声——騒ぐ声が聞こえて来た!


 それに、鍵の生き物が反応する。


「何だ!? この歓声は……」


「あぁ、これは……

 獅子の牙の皆んなが勇者パーティーになる為の戴冠式が執り行われているから……

 そのリーダーであるブレインが、勇者の剣を抜いた時の歓声じゃないかなぁ……」


「なに!? 勇者……

 それは、ちょうど良いかもしれない」


 鍵の生物は、そうブツブツ独り言を話すと……


「お前の名前は、何で言うんだ? 

 いや、そんな事より。お前に、頼みたい事があるんだ! 聞いてくれ……」


 鍵の生物が、そう言うと——何処からともなく風を巻き起こし巨大な生物が飛んで来る音が聞こえてくる。


「……何だ? この音は……」


 すると、洞窟の上空をワイバーンの群れが村に向かって通過する。


「……ワイバーンの群れ……しかも、村の方に向かっている」


「小型のワイバーンが複数に……中型のワイバーンが三匹……中型のワイバーンはAランクと言ったところか。まぁ、勇者が居るなら問題はなかろう」


「いや、Aランク三体は——かなりの冒険者が集まってると言っても、相当の被害が出るだろう……」


 そんな事を話していると、最後にドラゴンにも匹敵する。巨大なワイバーンが一匹ゆっくりと通過する。


「終わった……皆んな死ぬ。

 村の人達が避難する時間だけでも稼げないか……」


 ショウは、必死に策を考えるが——まったく良い案が浮かばなかった。


 すると、鍵の生物が少し諦めた様に呟くと


「仕方がないか。本当は、勇者に継がせたい力なのだが……

 おい、人間——お前、名を何と言う?」


「名前!? 今はそんな事話している場合では……」


「良いから、さっさと答えろ!」


 その問いに、ショウは自分の名前を鍵の生物に伝えると……


「我が名は、英雄の鍵——。

 ショウ……お前を継承者として認める」


 そう言うと、オリハルコンの剣が光り出し辺り一面が光に包まれた。


「な……何だ!? この光は……英雄……鍵……」


 そして、光がおさまると……


「我は英雄になれなかった者達の想い(呪い)が集まり作られし——英雄の鍵——。

 これより、お前に——その者達の想い()をたくす」


「英雄になれなかった者達の力……」


「あぁ、まず初めに……武器の達人(ウエポンマスター)の力。

 この者は、剣術、槍術、武芸、ありとあらゆる武器を使いこなした。

 しかし、空を飛ぶドラゴン群に襲われると……魔法が使えなく。飛び道具が無かった為に焼け死んだ! 惜しくも英雄になれなかった者——。」


「……逃げれば良かったのでは?」


「この者の信念は、英雄とはどんな窮地に追い込まれても逃げぬ者……なので、その信念に従って死んで行った」


「はぁ……死んだら、元も子もない様な……」


「そして、続いては……ある有りとあらゆる魔法を習得した賢者。

 この者は、世界最強と言われるべき賢者であったが……研究に没頭すると、その力を使う事なく。この世を去った……」


「…………はぁ……それは勿体無い」


「そして、続いては——精霊に最も愛された精霊術師。

 この者は、歴史の中でも最も精霊に愛されていたが……生まれた時代が、暗黒期。

 最も混沌で満ちていた為に、精霊が微精霊しか居なかった為に、その力を発揮できなかった者」


「……なんか、可哀想。

 あと、ウエポンマスターと賢者の力が有れば、大抵何とかなるから……

 あんまり必要の無い能力なのでは?」


「続いては、錬金術師(アルケミスト)

 この者は、天才的な才能はあったが……鑑定スキルが無かった為に、素材集めに苦労して——その力を発揮出来なかった悲しき者……」


「……惜しい」


「そして、次は——鍛治師。

 この者は、自分で鍛えたレジェンド級の武器で魔王を倒そうとしたが……武芸の才能が全く無く。その道を断たれた悲しき者……」


「人それぞれの想いがあるからね……。

 てか、ワイバーン討伐にアルケミストと鍛治師の力は、今必要ないよね」


「続いては、影を操る者——シャドウ。

 この者は、シャドウ——影を使い。無敵と言われる程の力を所持していたが……

 その力が闇属性だと危険視されて、追放された。悲しき者……」


「可哀想……てか、ちょっと待って——ッ!

 能力まだあるの?」


「まだまだある。続いては……」


「ちょっと待って——ッ! 

 さっきから凄い爆発音が聞こえてるけど、このまま説明を聞いてたら間に合わなくなるよ……」


「……では、他の能力は——また今度、説明するとして……お前に一つだけ話しておく事がある。

 この力は、実は——ある怪物を倒す為の力なのだが……ここでそれを使うと力がゼロになってしまい。

 その怪物とは、自力で戦う事になってしまうが……良いか?」


「えっ……!? 良いかと言われても……

 ここで、皆んなを助けないと言う選択肢は無いと思うんだけど……

 だから、後の事は——明日の自分に任せる」


「そうか。それならば……

 あと一つ。実は、英雄の鍵と言っても——なれなかった者達の呪いみたいな物が具現化した物だから、君も呪われて英雄にはなれないと思うけど……頑張ってくれ!」


「おい、待て! 呪いってなんだよ。

 聞いてないよ——ッ」


読んで頂き! ありがとうございます。(*⁰▿⁰*)


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