ケント
いつもの様にショウ達が、食料を調達に行っている最中に——妹のルフエルと数人の幼い子供達が奴隷商人に誘拐された!
この日は、いつもより。大量の食料を持ち帰った。ショウ達だが……
ルフエル達の事を聞かされると、食料を投げ捨て、ルフエル達の捜索に駆け出した。
ショウは【サーチ】を使いスラム街をくまなく捜索する。
「サーチには、ひっかからないが……
まだ、遠くには行ってないはずだ! 皆んなバラけて、手分けして探そう」
そう提案するショウに、皆んなは頷くと
「分かった……
俺達は、目撃情報がないか人がいる方で聞き込みをして来る。
だから、兄ちゃんは引き続きサーチで皆んなを探してくれ!」
そうして、ショウ達は別れて別々にスラム街を探す事に……
それからスラムをくまなく【サーチ】で捜索をしていると、建物内に複数人の反応を見つける。
ショウは、人数からルフエル達だと確信すると、その建物に入って行った。
すると、そこにはルフエルと複数の血の繋がらない兄弟達が倒れており。
ショウは、駆け寄ると声をかけた! ショウが声をかけると皆んな目を覚ましたので……ショウは、ひとまず生きている事に安心すると、その場から急いで逃げる為に兄弟達を立ち上がらせた。
すると、ルフエルだけが転んでしまった。
「どうした? ルフエル……大丈夫か?」
「兄さん……なんか、足に力が入らない……」
そう言われてルフエルの足を確認すると、ルフエルの両足の健は、刃物で切られた跡があり。出血は止まっていたが……その傷のせいで、ルフエルは立ち上がる事さえ出来なくなってしまった。
*
これは、奴隷商人が奴隷を逃げ出さない様にする措置で——普通は片足の健を切るのだが……今回、ルフエル達を捕まえた奴隷商人達は、慣れていない為にルフエルの両の足の健を切ってしまったのだ。
「なんて酷い事を……ルフエルつかまれ!
ルフエルは、俺が連れて行く……だから、お前達は先に逃げろ!」
「わかった。お兄ちゃん……ルフエルをお願い!」
そう言うと、他の子達はショウを信じて先に逃げ出す。
そして、ドアに向かって走り出したが……タイミングが悪く奴隷商人達が戻って来てしまった。
その為に、先に逃げた子達は——戻って来た奴隷商人に捕まり暴行を受けると部屋に連れ戻された。
「おいおい、勝手に逃げるんじゃねーよ。
そんなんだと、お前達も足を切るぞッ!」
「やめておけ……コイツらは、労努力として使われる奴隷だ!
歩けなくては、売り物にならん」
「そんな事は、わかってるよ——ッ。少し脅しただけだ——ッ!」
そんな、ふざけた会話をする奴隷商人に向かって、ショウは怒りをぶつける!
「おい、お前ら——ッ! ルフエルを俺の兄弟達を傷つけやがって、絶対に許さない——ッ!!!」
怒りをあらわにするショウは、少し震えていた。
「ああ、それは悪かったな。コイツが間違えて片足で良かったのに両足を切っちまったんだ……
まぁ、どの道! その女は性奴隷になる予定だから歩けなくても問題ないだろがなッ!」
「その女は、上物だから逃す訳にはいかないからな……でも、片足だけで良かったんだな。
悪い悪い。次からは気をつけるよ!」
奴隷商人の、その言葉を聞いてショウの怒りは——さらに増幅する。
「ふざけるな! 俺の妹に、そんな事はさせない——ッ!!!」
「うるせ〜ガキだな……
心配するな! お前も一緒に奴隷にしてやるから。
まぁ、その前に——お前には少し調教がひつようみたいだがな……」
「少し大人の怖さを教えてやるよ!」
そう言って奴隷商人達は、ショウに襲いかかって来た!
だが、ショウは襲いかかって来た奴隷商人を一人倒すと……
「なめるな! 俺達だって伊達にスラムで生き抜いて来た訳じゃない」
しかし、その間に他の奴隷商人はルフエルや他の子達を人質にとりだした。
「おい、ガキ——ッ! 動いたらコイツらが、どうなっても知らねーぞ!!!」
兄弟達にナイフを突きつけた。
「くッ……卑怯だぞ……」
「うるせ〜、賢いと言えよ!」
そう言って奴隷商人達は、動けなくなったショウをサンドバッグ状態にした。
「おいッ! クソガキ……さっきの仕返しだ——ッ!!!」
ショウに倒された奴隷商人の一人は、必要以上にショウを痛ぶると——ショウは、ボロ雑巾の様になって行った……
「やめて——ッ! お兄ちゃん、お兄ちゃんが死んじゃう。誰か助けてーーー!!!」
そう必死に叫ぶルフエルに対して、奴隷商人は冷たく言い放つ。
「お前らみたいなスラムのゴミの事なんて、誰も助けに来ねーよ!」
そして、その後もショウへの暴行は必要以上に続く……ショウが、もう動かなくなっているにも関わらず奴隷商人は暴行を続ける。
これが逆らった者の末路と言わんばかりに、徹底的な調教……教育がルフエル達の脳裏に焼き付けられて行く……
それから奴隷商人達は、動かなくなったショウを見ると——。
「もう、これはダメだな。ガキどもを連れて行くぞ……」
そう言って、その場を立ち去ろうとすると
「…………ま…………てぇ……」
「なんか言ったか……?」
「コイツまだ生きてやがる」
「……なら」
そう言うと、奴隷商人の一人がショウにトドメを刺そうとする。
「やめて———ッ!!!」
そんなルフエルの悲痛な叫び声が響く——ッ…………
そして、次の瞬間——。
バタンッ……
入り口の扉が勢いよく開くと
「何をやっている——ッ。お前達——!!!」
兵士と修道院の人達が、助けに来てくれた。
兵士達は、建物へと入って来ると奴隷商人達を取り押さえる。
「間に合って良かった……。兄ちゃん、ルフエル無事か!?」
そう言って声をかけて来たのは、別の方向を探しに行ったケントであった。
ケントが、ルフエル達の目撃情報を集める為に聞き込みをしていると……。
たまたまスラムの調査に来ていた修道院の人と、その護衛の兵士に出会い事情を説明すると助けてくれる事になった。
そして、ルフエルの叫び声が聞こえたので突入するとボロボロのショウが倒れていたのを発見すると兵士達は直ちに奴隷商人を取り押さえたのだった。
「何をする! はなせ、はなせ——ッ! こんなゴミども奴隷にしたって、別に誰も困らねーだろ!
それどころか俺達は、コイツらに住む場所と仕事を提供してやってるんだ!」
「そうだ、感謝してもらっても良いくらいだ……」
「うるさい黙れ! この国では、罪人ではない者を奴隷にする事は禁じられている」
「だったら、コイツらは生きている事が罪なんだよ! きたねーし。くせ〜し……悪臭を漂わせやがって、ムカつくんだよ。こんなゴミクズども」
「まぁ、いい。好きなだけ騒げ……
お前らにこそ、良い仕事を紹介してやるよ。これから罪を裁かれて奴隷になるんだ。
しっかり働け!」
「…………ふざけるな!」
その言葉を聞いて、暴れ出した奴隷商人の一人が兵士の拘束から抜け出すと……
「コイツらを連れて来たのは、お前だな……
お前のせいで、俺達の人生は終わりだ!」
そう言って、怒りをあらわにした奴隷商人は、ケントに近づくと……
隠し持っていたナイフで、ケントを刺した。
「…………えッ……?」
奴隷商人が刺したナイフを抜くと、大量の出血と共にケントが倒れ込む……
「……ケント——ッ!!!」
ショウが叫ぶ——ッ!!! ボロボロで力が入らない体にムチを打ち。ケントに駆け寄ると……
「ケント——ッ……ケント——ッ!!!」
「兄ちゃん……ごめん。しくった……ゴフッ……」
「ケント、いいからじゃべるなッ!」
後ろでは、兵士が奴隷商人を取り押さえる。
「お前、なんて事を——!」
そして、修道院の人達はポーションを探して慌てふためく——ッ……
「兄ちゃん……約束覚えてる……?」
「約束……ああ、覚えているよ」
「良かった……兄ちゃん……皆んなを……頼んだよ」
その言葉を言い終えると、ケントは静かに目を瞑った……
「ケント——ッ!!!」
*
それから助けられたショウは、怪我の治療を受け数日寝込んだ後で、目を覚ますと……
修道院の人達から、ある提案を受ける事になった。
それはスラムで暮らす子供達を修道院が引き取るとの提案であった。
ショウは、少し迷ったが……両足の健を切られて立てなくなったルフエルを考えると、その提案を断る事はで出来なかった。
しかし、自分は修道院に行く事を拒絶した。
それは、ショウがもうすぐ十五歳になる為に、この世界では十五歳で成人なので——ショウは修道院には行かずに一人で生きて行く事を決めた!
そして、ショウは冒険者となり。
その稼ぎの一部を妹や血の繋がらない兄弟達の面倒を見てくれている修道院に送る事を決めた。
そして、ショウはスラムでは苦楽を共にした兄弟達と別れを告げると一人冒険者になるべく旅立った。
あの時の兄弟との約束を果たす為に……
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