デュランダル②
そして、自分の事を話せないショウは——ケントの話を聞いた。
「なあ、ケント……お前の旅の話を聞かせてくれよ!」
「俺の旅の話……? 良いけど、兄ちゃんが思うほど——大した旅はしてないと思うよ」
「良いんだ。お前が、どんな人に出会ってどんな別れを経験して来たのか……それが知りたいんだ」
「まあ、いいけど……」
そうして、ケントは冒険談を話し出す。
「そう、あれは……」
*
「兄ちゃんが旅立って、一年が過ぎた頃……」
*
ショウが旅立って、一年が過ぎた頃——。
ケントは、十五歳となっていた。
「お兄ちゃんに続いて、貴方も行ってしまうの……ケント」
「ああ、でも、必ず戻って来るから……
兄弟達を頼むな! ルフエル」
そう言って、ケントは一人旅だつのであった。
そして、その姿をルフエルが寂しさを押し殺して見送る。
「行ってらっしゃい……」
*
「さーて……如何しようかな!?
このまま、兄ちゃんが居るブレイド王国で冒険者をするのもいいが…………
せっかくなら、誰も知らない。隣の国で成り上がってみるのも悪くないなぁ」
そうして、ケントは生まれ育ったブレイド王国を離れて——隣国のフォレストへと向かった。
*
フォレストと、と言う国は国と言うより。
多種多様な種族が共に暮らす。他種族共和国と言った方が正しかった。
そこには、沢山の小さな国が集まり。大きなフォレスト国として、認識されていた。
そんなフォレストは、大半を森で覆われていて中心には——世界で最も大きい大樹が聳え立っていた。
そして、その大樹の膝下にはエルフが住んでおり。
その周辺を囲む様に、獣人族やドワーフなどと言った他種族が大樹を守る様に暮らしていた。
そして、人間は森の外側の平地に暮らしており。
それにより、どの種族も自分達の領土内で暮らしている為に、一見自然が豊かで平和そうに見えるフォレストだが、国内にから見る内情は——かなり張り詰めた緊迫状態を保っていた。
エルフ族、ドワーフ族、獣人族は、基本的には大樹を守る為に協力をしているが……控えめに言っても仲がいいとは言えなかった。
そして、森に住む種族と人間族は——敵対していて異常に仲が悪かった。
それは、フォレストには盗賊や山賊、海賊などが多く。エルフ、ドワーフ、獣人、などを捕まえて奴隷として売る為に人族との対立は、かなり深刻なものとなっていた。
しかし、そんな事とはつい知れず。ケントは、フォレストに入ると一番最初に世界で最も大きいと言われる大樹を拝む為にフォレストの中心へと向かっていた。
その道中、盗賊や山賊に襲われている貴族や商人達を助けながら進むと……
いつのまたか、獣人族の領土に入っていた。
そして、獣人達のテリトリーに入った瞬間にケントは獣人の戦士達に追われる事となった。
ケントは、初め話し合いをしようと試みたが——人族を見て、頭に血が上った獣人族の戦士達に襲われると——やむなく逃げる事となった。
しかし、森を駆け回る獣人の速さは異常でケントは何度も追いつかれそうになるが……なんとか獣人達からの攻撃をいなしながら進むと、知らぬ間にエルフの領地内に入っていた。
そして、状況は悪化……ケントとはエルフと獣人の両方から追われる事になり。
エルフからは弓矢の攻撃を仕掛けて来る為に、隠れながら逃げると獣人達からは嗅覚を使って居場所を特定されてしまう。
それに困ったケントは、一瞬臭って来た異臭の方へと走り出す。
そこは、モンスターの墓場と言われている場所で——常に異臭と瘴気を放っている為に、嗅覚が敏感な獣人族と清潔を好むエルフ族は近づく事がない領域であった。
ケントは、たまたまその場所を見つけると必死に逃げ込んだ。
すると、今まであんなにしつこくこの追われていたのが嘘の様に、二種族の追撃はピタリと止んだ。
そして、ケントとは逃げる為にモンスターの死体が転がり腐敗臭のするモンスターの墓場を進むと……洞窟を発見する。
ケントは、その洞窟に入ってみると——中には扉があり。その先は、瘴気や異臭が少しマシなので——その洞窟で少し休む事にした。
しかし、ケントがその洞窟の奥に進むと……その先には、獣人族やエルフの子供達が囚われており。中には、弱った子達も居た。
そして、ケントは周りに危険が無いか見渡すが特に見張りなどは居なかった為に、ケントは急いで——その子達にポーションを飲ませた。
だか、ポーションの数が圧倒的に足らない為に——ケントは、重症な子にポーションを飲ませると。あとは、元気な子達に手伝ってもらい外に運ばせる事にした。
最初は、ケントの姿に怯えていた子達もケントの必死さが伝わると他種族の子供達は——ケントの指示に従う様になった。
そして、ケント達が洞窟から出てモンスターの墓場を抜けるとケントを追って待機していたエルフと獣人族に子供達は救出されると、その後——ケントは子供達を誘拐した罪で捕まった。




