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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

無言坂

作者: 笹木 人志

 私の町に、一本の坂道がある。坂の名前は、「無言坂」という、何故、そういう名前かと言えば、この坂の途中にある首塚に由来する。首塚の主が生きて居た頃、忠臣であったこの侍は、君主に長く仕え、よく忠言をしたのだという。


 しかし、君主に従順なのが取り柄だけで媚びを売る取り巻きどもにとって、この家臣は目の上のたんこぶのごとき存在であったために、彼らからは非常に嫌われた。


 やがて、侍はその取り巻きどもによくない噂を流布されてしまい、甘言に弱い君主もそれを鵜呑みにして、侍を疎むようになった、


 ある日、君主の行った失政に対して、忠言をしていると激昂した君主に「五月蠅い」と叱責された挙げ句に、その場で切り捨てられたのだという。遺体は、城下で晒しものにされた。


 その家臣の家は断絶、家来は離散したが、その一人が城下を去る際に、晒された遺体の首を闇夜に紛れて盗み出し、城下を臨むこの坂に埋めたのだという。


 以後、首はその君主や取り巻きを呪い殺し、国は滅んだそうだ。


 それから、この坂を深夜に上り下りするときに、歌を歌ったり、口笛を吹いたり、大声でしゃべりって歩いていると、突然「五月蠅い!」とどこからか声が聞こえ、不気味な現象に遭うらしい。


 そのため町の人は古くから、夜にこの坂を通る時には、黙って歩くようになったので「無言坂」と呼ばれる様になったとの事だ。


 どんな、現象かって?それを言うと、真の呪いが発動すると言われているので、話す事はできないのだという。


 かく言う私も、その怪奇現象を集める作業の傍ら、真実の有無を確かめたくて、ここで深夜に歌いながら帰宅した事がある。


 ああ、確かに、私は大変な経験をしてしまった。しかし、それを話す事も書くこともできない。怖いからだ。怖くて怖くてたまらないからだ。それほどに怖い。


 そんなんじゃ、判らないだろって?

 それなら夜遅く、あなたも自宅に帰る途中で、試しに、この坂で歌ってみるのは如何だろうか? そして何かが起きたら、それをネットで拡散してもいいし、記事にしてもいい、しかし、それから真の呪いが始まるから・・・くれぐれも気をつけて。



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