私が冷静なのは
今回 無駄に長いですか?文才のなさのせいですかね…
階段を下りる際に、スカートの両腿の外側辺りを左右の手で少し持ち上げ、こんな風に言うと優雅なお嬢様みたいに聞こえるが、慌てて早足になると少しヒールのある靴のせいで転ばないようにドタドタっていう音になるのだ。
そんな喧しい音で私の到着が分かったのか、はたまたキャメロンさんの魔力を感じたのか、応接間の扉をノックする直前に、
「入れ。」
と中から宰相サマの声があった。
ソファに向かい合って座る宰相サマとマーカストさんだったが、マーカストさんが私を見て、
「お前、ミサオか!」
そうだった。王都の役所へ行くご令嬢と釣り合うような余所行きおしゃれ服を着てメガネもしてないんだった。
まるで急に成人した孫を見るような眼差しのマーカストさんの視線がくすぐったい。
たはは・・・。
「とにかく座れ。」
と宰相サマに呆れられながもソファに着こうとしたのだが、この瞬間 私の脳内ではコンマ何秒かでソファの宰相サマ側かマーカストさん側に座るか計算が行われる。
確かにマーカストさんは気さくで気兼ねしなくてもいい。がしかし。
叱られる声の大きさと、日々お世話になっているお礼と、今後もお世話になるであろう申し訳なさと、仕事の管轄上の上司への媚びという小さな打算で、私は宰相サマ側へ座った。
宰相サマは若干驚いたようだが、ニヤニヤするマーカストさんに途端に不機嫌になったようだ。
失敗だったかなぁ。でも座ってしまったものは仕方がない。
そこへノックもせずにキャメロンさんが紅茶を片手に入ってきた。もちろん自分の分だけだ。
「お前なぁ・・・。」
マーカストさんはキャメロンさんと初対面ではなかった。
「マーカスト、諦めろ。ヴォルガノには鍵など意味がないことくらい、分かっていただろう。」
どうやら私が応接室に入った直後に、マーカストさんか宰相サマが魔法で部屋に鍵をかけたらしい。
それを無施錠のように入って来られるキャメロンさん。
マーカストさんの隣に行くのかと思いきや、どちらでもない場所に一人掛けソファを魔法で出し、紅茶を飲みつつ優雅に座った。
色んな意味で凄い人だけど、弱点てあるのかしら。
気を取り直し、やっと本題に入る。
「拐われたヒカリだが、まだ見つかっていない。」
マーカストさんが話した内容は、以下のようなものだった。
ここアレッシオの日本人ギルドに、ヒカリを訪ねてきた者がいた。
外見は日本人ではなかった。
その者 曰く、「街で見掛けたヒカリに一目惚れした」と。そしてその場で交際を申し込んだ。
なぜ日本人ギルドに来たのかと問うヒカリに、その者は街でヒカリを見つける度に後を着けたら、いつもこの日本人ギルドに入って行って、周囲の商店に尋ねると「日本人ギルド職員であろう」と教わり、ついに今日意を決してギルド内に入ってみた、と。
ヒカリは丁重にお断りし、その者はすごすごと帰って行った。
しかしその者は諦めきれず、数時間後に手に花束を持ってまたヒカリに交際を申し込みに来た。
ヒカリはまたも丁重にお断りした。
言われてすごすごと帰る。また数時間に手に贈り物を持ってやって来る。
ヒカリへの害意は感じられない。しかしこう何度もやって来ては業務に支障が出そうだ。
日本人ギルドの建物には攻撃無効の結界が張ってあり、見えない所に護衛もいる。ヒカリ個人にも護衛をつけてもらっている。
害意がないから ヒカリは己で対処するという。
その者がまた気を日本人ギルドへやって来た為、ヒカリは同僚に断りを入れ、連れ立ってギルドの外へ出て行きまた丁寧に断る。
話が終わればギルドへ戻ってくると思われたヒカリだったが、ヒカリはそのまま戻らず。
2人で歩いている姿を見掛けた者がいた。
最後に2人を見た、という証言は今朝の話。
今は夕方。
私は「ヒカリが誘拐された」と聞いた瞬間パニックになったが、冷静に聞けばまだそんなに時間は経っていないし、転送の際にキャメロンさんが
「ヒカリは生きてるから 心配いらないわよぉ。」
とウィンクしたので脱力し、この人が慌ててないなら大丈夫、と不思議と思えてきたのだ。
だから今は落ち着いて頭を働かせられる。
宰相サマが「誘拐」と言っているからには、間違いなく誘拐なんだろうけど・・・。
「あの、ヒカリが交際の申し込みを断ったのは、どういう理由か誰か聞いていた職員はいるんですか?」
「あぁ、同僚には『サクルムラポニアだなんて嫌だ』と言ってたんだと。」
「サクルムラポニア?」
知らない単語だ。
私の質問に、それまで黙っていたキャメロンさんが教えてくれた。
「滅亡した国の名前よ。」
拙い文章をここまで読んでくださったことに土下座。
週1度程度のノロノロ亀更新にお付き合いいただき、本当に本当にありがとうございます!
いいねや感想、ブックマークをいただけると飛び上がって喜びます!!




