王都編⑫ 女子のお喋りは長い②
初めて書いた拙い小説を読んでくださって、本当ありがとうございます!
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感謝をこめて。
王族の住まいと行政機関は場所が違うんだなぁ。
ほとんど揺れない最新鋭の馬車にご令嬢とその侍女さんと私、3人で乗り込み、役所へ転移門設置申請書を提出する為に目指す運輸省へ向かう。
ゆっくりとしたスピードの馬車の窓から街並みを見ながら、私はご令嬢に尋ねる。
「なんでこの国には階段が少ないの?」
民家、商店の1階の入り口は階段や段差はなく、スロープ状がほとんど。階段はあってもスロープと併設だ。
2階以上に上がる際は階段だが、最近はエレベーターを設置する富裕層も増えてきたのだとか。
「それはな、この国を作った初代王が足が悪かったからやねん。」
「今の王様のご先祖?」
この国に転移してきたばかりの頃、アランさんからざっくりとした歴史は教わったが、私は「自分には関係ないから忘れてもいい脳内引き出し」に仕舞ってしまった。つまり忘れた。
「えっとな、簡単に言うと、この国は昔の中国みたいに王朝が何度も変わっとんねん。支配階級の種族もな。で、足が悪かったのは例えるなら殷の初代王や。『足が悪い者や年老いた者でも難なく暮らせるように』っていう法令を作って、その名残や。」
おぉ。
地球の古代アジアの国家の話なんて、ちんぷんかんぷんだろうに、侍女さんの顔色は全く変わらない。
ご令嬢がニヤリと笑う。
「もしもやで、ミサオさんが『ゼロから国を作ってええ』って言われたら、どんな国にする?」
突拍子もない質問キタ。
う~ん、私あんまり頭よくないんだよね。
「そうねぇ。空飛ぶ車を作るか、それが出来ないなら都市を地下に作りたいわ。」
侍女さんがチラリと私を見た。
ご令嬢は興味津々。顔が近い。
「なんで!?ねぇなんでやの!?」
「あ、いや そんな大それた理由はないんだけど・・・」
そう前置きしてから私は説明した。
日本では殺処分される犬猫よりも、轢死の犬猫のほうが多いとニュースで知ったこと。
車が飛べるようになれば轢死はなくなるし、人だって交通事故で轢かれることもない。
車が空を飛べないなら、人間が地下に住めば地上は動植物の楽園になるのではないか。
「まぁ人間は日光浴びないと健康を害するらしいし、地下で農耕は不向きだから、夢物語なんだけどさ。それなら空飛ぶ車の開発のほうがいいか。」
たはは、と私は言ったが、ご令嬢は神妙な顔つき。
「ミサオさんて・・・発想が独特やな。」
うん、褒め言葉だと思いたい。
「ところであとどのくらいで着くのかしら?」
「もう着いております。」
えっ!?侍女さん、そんな しれっと。
揺れがなさ過ぎて、止まっているのか進んでいるのか分からない馬車も考えものだな、と私は思ったのだった。
────────────────
「ほな行くで。」
先に降りた侍女さんの手を借りてご令嬢が馬車から降り、私もそれに倣う。
この国のワンピースドレスが動きやすい形で本当に良かった。
ご令嬢の顔つきがキリっとしたものになる。
(こうやって背筋をピンとしてれば、ちゃんとしてるんだけどなぁ・・・)
堅牢な建物へ入り、受付をして順番を待つ。
受付はオットセイだった。
行き交う職員は皆 文官の制服を着ている。受付の机でオットセイの上半身しか見えなかったが、下半身も制服を着ているのだろうか。
オットセイの隣の受付担当はコアラ耳の獣人だった。カオス。
受付の隣の広いフロアで順番を待つ。
さしずめ官公庁のロビー、といったところだろうか。
ご令嬢、侍女さん、私と並んで椅子に座って待っていると、チラチラと周囲の視線が届く。興味本位な不躾な感じ。ヒソヒソとなにやら話されている声も聞こえる。
すっかり忘れていたが、ご令嬢は「王子に婚約破棄された」有名人なのだった。
私の心配そうな視線を受けて、ご令嬢は優雅に微笑む。
「もう慣れましたのよ。それに私、何も恥じることなどしておりません。」
天晴れ也。
凛としたご令嬢の姿に、心底惚れ惚れ拍手喝采していたら、
「お待たせ致しました。」
と担当官が私達の席まで呼びに来てくれた。
文官服を着た担当官の青年は、黒目黒髪にメガネ。
その容姿は、明らかに日本人だった。
ここまで読んでくださったことに土下座。
週1度程度のノロノロ亀更新にお付き合いいただき、本当に本当にありがとうございます!
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