王都編⑥ 独白と見せかけた
前話の誤字を訂正しました。
今回は「王都編⑥」と銘打っていますが、飛ばしても大丈夫です。一応最後にオチはつけました(汗)
感謝をこめて。
私は日本が苦手だった。
嫌いではなく、“苦手”だったのだ。
特技も資格も人脈もなく、職場と自宅の往復の平日。
休日は家でだらだらと漫画や小説を読み耽るのが何よりの楽しみという超インドア派。
気付けば学生時代の友人達は結婚し疎遠になっていた。
キャンプやBBQ、合コンをするような人脈もなし。
職場にも付き合いたいような異性もおらず。
月イチで食事をする友人はいたが、彼女は既婚者で、同じ趣味のアニメや漫画の話で盛り上がった。
知人がマッチングアプリで結婚したと聞き、迷いながらもアプリを始めてみたはいいものの。
外見や職業、年収で選ぶ「結婚」とは、一体何なのだろう。
幼いと言われるだろうが、「この人と人生を歩んでいきたいなぁ」と思える相手と、私は出会いたい。
アプリをほとんど開くこともなくなり、職場で人間関係がギスギスして疲弊し、上司との軋轢が生まれ、私は転職を決意した。
辞めてから新しい職場を探し始めたのがいけなかったのだが、面接で「あなたの今後の人生設計を教えてください」という、遠回しな「結婚して辞めたりしないよね?」という面接官の質問に辟易し、何社か面接を受けたが「お祈りします」か「希望以外の部署なら」、という返事ばかり。
私の年齢を知り、「定員いっぱいです」と面接前に断られたこともあった。
努力もせずに流されるまま、のほほんと生きてきた罰が当たったのだろう。
実家の親には諦められていた。
私が生きづらさを感じていたのは、「周囲と同じようなことすら満足にできない自分自身」に対してだった。
“こんな日本は苦手だ”
そんな風に感じながら転職活動を続け、そろそろ貯金の底がつきそうだった時、私はこの異世界へ落ちてきた。
今思えば、日本にいた時は鬱病一歩手前だったのだろう。
だからむしろ異世界は楽しい。
この異世界に骨を埋めてもいいと思うほどに。
ここでは自分を誰かと比べたり、己を卑下したりしなくて済む。
日本では当たり前だったことが、ここでは当たり前ではないのだ。多種多様な生物が、多種多様に生きている。
日本では窮屈だった分、楽しんでやる。
私の手の届く範囲だけでも、明日をより良くしたい。
生きていることに感謝を。
命の糧に祈りを。
「ミサオさん、『いただきます』の手を合わせる時間、超長くないっすか?」
「放っておけ、どうせまた変な事を考えているのだろう。」
「リョウ、早くいいワイン出しなさいよぉ。」
ここまで読んでくださったことに土下座。ノロノロ更新で申し訳ないです。
感想・ブックマーク・評価してくださった方々、本当に本当にありがとうございます!




