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日本人だらけの異世界で  作者: 猫目 潤
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王都編⑤ 出来心

お付き合いいただき、ありがとうございます。

前回の補足回のようになってしまいました。

まだまだ回収出来てない部分が多過ぎて(汗)

亀くんの一人称は「僕」だった。

僕っ() (?)でもない限り、男性だろう。

この国は男性名に「ミカ」があるのか。

それとも「ミカ=美香」のような思い込みがある私がおかしいのか。

いやでも地球で「ミカエル」って男性名だなぁ。


一人思考の沼でうんうんと納得。


(ミサオって変わった日本人ね)


(同感だ)


そんなアイコンタクトが宰相サマとキャメロンさんの間で交わされていたとは露知らず。


「キャメロンさんは亀の血を吸うんですか?」


「違うわよぉ、『スッポン料理は旨い』って日本人から聞いてね、それなら亀も美味しいのか試してみようとしただけなのよ?」


「私が止めなければ食っていただろうが!」


オホホ、証拠が残らなければいいのよ、などと恐ろしいことを言って笑っている。


「あの、先程の話なんですけど、もっと詳しく聞かせてください。」


ん?という表情の宰相サマ。


「キャメロンさんから『この世界に日本人が増えた理由』の考察を伺ってたんです。」


「それなら私も聞いた事があるが、あくまでも『仮説』にすぎん。」


「でも興味深いんです。」


「分かったわ。時間もあるしね。」



───────────────



日本人の転移者・転生者が増えた理由は、現実逃避願望を抱えた日本人が増え「異世界モノ」のラノベが流行したこと。

そして転移・転生が現実となったこと。


しかし逆説的に考えると以下のようになる。


何者かが異世界に転生・転移者を増加させたい。

理解度を加速させたい故に、現代日本に「異世界モノ」を流行らせる。

すんなり順応させることに成功。


この場合、異世界に日本人を増加させたい「何者か」というのが、神なのか自然現象なのかも分からない。

人口減少が関係しているとも言いきれない。


「この国は出生率が低下しているようですけど、この世界全体ではどうなんです?」


宰相サマ宅といえども、国家機密かもしれない話を誰に聞かれているか分からない。

しかし食堂の外で待機しているピリッカさんが、こちらを覗いて頷いた。

食堂付近の防音魔法はバッチリということだろう。さすが出来る人!


「世界的にも人口は減っている。地域によって差はあるが、日本人転移者が多い地域ほど子供は生まれなくなっている。」


ふーむ。やはり何かしらの関係があるか。

アランさんとカターニャさんの娘さんは子沢山ってことだったけど、珍しいのかもしれない。


「日本も少子高齢化なんでしょう?国は何か対策してるの?」


キャメロンさんが脚を組み替えて私に訊く。


「国も自治体も企業も、ほとんどが『若い夫婦への援助』、『幼児のいる世帯への援助』をメイン行っていますが、劇的な効果はありません。」


「他に何か取り組みは?」


今度は宰相サマからの質問。


「そうですね、自治体が主催の『街コン』、高校卒業まで公立学費無料、移住世帯への援助、第3子以降は医療費無料、などですかねぇ。」


「それじゃあ根本的な解決にならないんじゃないのぉ?」


ですよねぇ。


「独身者の税負担を上げよう、なんて言った政治家もいたような・・・」


「呆れて物も言えないわ。」


「全くだ。」


「じゃあミサオ、日本人は婚姻率も出生率も下がってる、ってことよね?」


「そうです。」


「婚姻率が下がった理由は?」


「色々言われています。『昔は近所の世話焼きオバサンがお見合いをセッティングしてたが、現代では地域付き合いが希薄(きはく)になったから』だとか、『生き方が多様になったから』だとか、『給料が少なくて、結婚なんてとてもじゃないけど出来ない』とか。」


「馬鹿ねぇ、『知らない人と結婚させられるのが嫌だ』と言える時代になったんじゃないの?」


「そうなんです、なんでもかんでも『昔は良かった』っていう風潮は疑問です。それに・・・」


言い淀んだ私に2人の問いが重なる。


「「それに?」」


「現代日本に『結婚適齢期の独身者』がいなくなったとしても、少子化は変わらないと思います。その、男性の精子が減少しているらしいですし・・・」


あー、みたいな納得顔になった2人。


「日本て古いのねぇ。別に夫婦なんて男女じゃなくてもいいじゃない。中性はどうすんのよ、って感じ。」


「中性?この世界には『第3の性』があるんですか!?」


「簡単に説明すると『両性具有』や『性器のない者』だ。15人に1人くらいの割合だ。」


ほぉおお。


「お前は興味がないかもしれんが、この国に『婚姻届』という物はない。立会人の元で『婚姻宣誓書』にサインするだけだ。」


失礼な!興味ありますとも!制度的に、だけど。


憤慨しているとキッチンのほうから香ばしい香りがしてきた。

リョウくんが


「そろそろ完成しますからね~」


と 爽やかな笑顔で報告に来て去っていった。

調理しているうちに緊張は(ほぐ)れたんだね。


「ところで宰相サマはミカさんとどうやってお知り合いに?」


気が緩んで、気になっていたことをつい尋ねてしまった。


「あぁ、コイツがミカを襲おうとしていたところを助けたのが切っ掛けだ。」


そう言って、宰相サマはキャメロンさんをジロリと(にら)んだ。


睨まれたほうのキャメロンさんは意に介さず、


「だからぁ、ちょっとした出来心よぉ」


出来心で殺されたらたまったものではない。

ミカさん、無事で何より。




ここまで読んでくださったことに土下座。

週1度程度のノロノロ亀更新にお付き合いいただき、本当に本当にありがとうございます!

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