王都編② 立てます
本日2話目の投稿です。
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感謝をこめて。
何がお粗末かって、建物の外観で「日本人ギルド」だと日本人に分かるような看板や目印がない。
建物内は酒場よりも荒れていて掃除が行き届いていない。
人が入って来たというのに、職員の誰一人として挨拶しない。
それどころか、受付に一人いるだけで建物内には他には誰もいない。
設立したばかりだけれど、これはひどい。
私はつかつかと受付へ行き、
「私、通称『日本人ギルド』アレッシオ支部、支部長のミサオ・ササキと申します。こちらの責任者に面会を希望します。」
受付でうとうとしていた亀くん。
途端にハッとなり、慌てる。
「す、す、す、すみません、こ、こ、ここには責任者はいませんっ」
吃り過ぎてて大丈夫かな。
「責任者がいない?」
「どういうこと?」
私の後ろにいたリョウくんと、私に詰め寄られ、亀くんはたじたじに。
この異世界の獣人、魔獣、家畜、獣。「人間の言葉を話す者は獣人」とされる。
骨格上無理があるはずなのだか、それは日本の固定観念なのだろう。
亀くんの説明によると、宰相サマの肝入りでイリーリニウム国内の各都市に「日本人ギルド」を設立することになったのだが、王都の日本人ギルドは職員の成り手がなく、仮開設の状態で亀くんが留守番をしているのだという。
「あなたは宰相サマの部下?」
「えっと・・・」
良いよどむ亀くん。どんな関係なんだ。
「あの、僕は友達だと思ってます。」
照れる亀、っていうのはなかなかお目にかかれるもんじゃない。
あの宰相サマの友達・・・こんな素直そうなのに?
アレッシオの冒険者ギルド長やアランさんなら一癖も二癖もありそうだからなんとなく分かるけどねぇ。
「貴様、今 失礼なことを考えていただろう。」
ヒッ
「宰相サマ!突然現れて驚かせるのやめてください!!」
「フン。」
ほんとに神出鬼没だ、この人。
「ジュリアス、ササキさんに説明してなかったのかい?」
亀くんが宰相サマに問う。
「あぁ、説明するより現状を見たほうが早いと思ってな。ピリッカにも口止めをしておいた。」
いや、情報は先にくれよ!
申し訳なさそうなピリッカさん。悪いのは宰相サマだからね。
「日本人ギルドの職員候補がいないんですか?」
「適任者がいない訳でもないが、少々変わり者でな。」
宰相サマに “変わり者”と言わしめるとは、どんだけ・・・。
「どんな方なんです?」
「長命種で、大柄で、派手好きで、博識で、」
ふむふむ、
「吸血種で、美食家だ。」
ん?
情報量が多い!!
「そこでリョウの出番という訳だ。」
「「どういう訳!?」」
私とリョウくんの叫びがギルド内で重なった。
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「つまり、リョウくんの料理で餌付けして勧誘しろ、と。」
「身も蓋もない言い方だが、そういうことだ。」
「あ、あの、吸血種って・・・」
青褪めた顔色のリョウくんが質問する。
それに答えたのは亀くんだった。
「大丈夫だよ。吸血といっても手当たり次第襲ったりしないし、『吸血種』ということを隠して人間として暮らしてる人もいるしね。」
そうなんだ。
「昼間は働けるんですか?」
「日本人の吸血鬼のイメージと、実際は違うぞ。」
吸血種は、太陽もニンニクも銀の弾丸も平気。なかなか子宝に恵まれないのがネックだとか。
「なぜ日本人ギルドの適任者なんですか?」
「暇を持て余しているからな。」
えぇぇ・・・
「博識で臨機応変に対応できて、暇な奴。これほどの適任者はおらんだろう。」
そうだけど!
「リョウの料理スキルもレベルアップしたし、満足させられるはずだ。」
「そうなの!?」
ガバッと振り向くと、得意気な顔のリョウくん。
「驚かせようと思って、黙ってました。」
「もう!教えてくれたっていいじゃない!」
えへへと笑うリョウくん。
そんな私達を笑顔で見守る亀くん。
その亀くんは、後ろ足で器用で立っていた。二足歩行の亀。
後で仕組みを訊いてみよう。
ここまで読んでくださったことに土下座。
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