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日本人だらけの異世界で  作者: 猫目 潤
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信じるか信じないか

ドアを開けて部屋には入らず、ドアの取っ手を持ったまま私に向かって話しかけた見知らぬ男。

スッピンを見られてしまったことでもなく、よれよれのスウェット姿を見られたことでもなく、私は


(ガイジン?)


と大変失礼なことを思ってしまったのだった。


(えーと 日本語は通じるみたいね。)


意を決し、返事をする。


「すみません、ここはどこでしょうか。」


ドアの扉を開けたまま、ガイジンさんは部屋に入ってくる。


「ここはですね、イリーリニウム王国のアレッシオという街ですよ。」


「イリーリニウム?」


「はい。」


(そんな国は覚えがないけど・・・)


不思議そうな顔の私に、その背の高いガイジンさんは言った。


「信じられないと思いますが、ここはあなた方の世界でいう『異世界』です。」


ん?いせかい?


「いせかい、って、あの『異世界』ですか?」


「はい。」


(う~ん、異世界モノが流行してるのは知ってたけど、私 車道に飛び出した子供を庇ってトラックに轢かれたりしてないし・・・)


考え込む私を他所に、ガイジンさんは穏やかな笑顔で言った。


「見てもらったほうが早いですね。」とカーテンを開けた。



─────────────────



窓の外に広がるのは、中世ヨーロッパ風のレンガ造りの街並み。

テレビで外国の街並みを観たあの感じ。


「おぉ・・・」


私のいる部屋は建物の3階くらい?街を歩くひとたちの顔までははっきりとは見えないけど、結構賑わってる。


(でもこれじゃ外国に来ただけだよね?)


「私はアランです。薬師です。」


(くすし?薬剤師ってことか。私を助けてくれたのかな?でも自己紹介されたら返したほうがいいよね)


「私は ミサオ・ササキです。私は自分の部屋で寝ていたと思うのですが、なぜここにいるんでしょう?」


ふむ、とアランは顎に手をあてる。


(ガイジンさんて、何してもサマになるのねぇ)


ミサオはどうでもいいことばかり考えてしまい、「異世界」というアランの言葉を受け止めきれない。


「では着替えを持ってきますので、街へ出てみましょう。」


私の返事を待たずに部屋を出て行き、「古着で申し訳ないですが」と着替えを持って戻って来た。「部屋の外で待っています。」とドアを閉めて部屋から出て行った。


仕方がないので私はアランの用意してくれた綿のような麻のようなベージュの長袖と、紺色のロングスカートに着替える。

フリーサイズなのかダボっとしてて、スカートは腰のリボンでウエスト調整するようだ。


部屋を出るとアランが廊下で待っていた。

にこやかに


「それでは行きましょう。」


と私と連れだって建物を出た。



─────────────────



街に出た私が思ったこと。


これが本当に本当に異世界なら、日本人ばっかりじゃないのよーー!!


まるでハワイのショッピングモールかと思うほど、日本人の顔立ちの通行人が多い。


(もしかしてこの国ってアジア系の顔立ちの人が多いとか、みんな観光客とか!?)


しかし呆然とする私に、側の屋台のおばちゃんからは

「あんた日本人だね!これ”ミソ”の原料になる豆だから買っておくれよ!」と話しかけられる始末。


そして、


ピンポンパンポーン


突如 街中に鳴り響く町内会アナウンスのメロディ。


「お呼びだし申し上げます。日本人のルナ・イシカワ様、ルナ・イシカワ様。お連れ様が商業ギルドの前でお待ちです。大通りの3階建て青い屋根の商業ギルド前までお越し下さいませ~」


ピンポンパンポーン


同じ内容を2度繰り返し、アナウンスは終了した。


え?しかし周りを歩く人々は何も気にしていない。当たり前のような感じ。

しかしキラキラネームだったな。


いや、周囲の人々の中にはアジア系以外もいるにはいる。アランのような外人さん、顔が猫で二足歩行しているケモ耳・・・え、猫!?コスプレ?


「あれは獣人ですよ。」


猫コスプレをガン見する私にアランが横で説明してくれる。

ん?獣人?


「ちなみに魔物がいて、冒険者がいて、魔法もあったりする世界です。」


ほんとに異世界!?


まだまだ修行が足りません(^_^;)

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