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日本人だらけの異世界で  作者: 猫目 潤
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領都編⑧ 本人のいないところで

初めて書いた拙い文章を読んでくださって、本当ありがとうございます!

感想、評価、ブックマーク登録等応援をいただいて泣きそうになっています。

感謝をこめて。

「同感ですな。」


事も無げに宰相は、かつての教師である領主と同じように、ミサオが出て行った方角を見つめていた。


「あら、ジュリアス、貴方(あなた)はミサオが信用出来ないって言うの?」


途端に ム、と眉間を(しわ)を寄せる宰相。


「そういう意味ではないことは、先生が一番良くご存知でしょうが。」


「そうね。ジュリアスは、今まで『日本』がどんな所か聞いてきたでしょう?」


宰相が今まで日本人から聞いてきた「日本」。

医療も科学も進んだ文明の国。

しかし何故か羨ましいとは思えなかった。


年齢は若ければ若いほど良いとされ、「史上最年少」がもてはやされる。

住居も乗り物も新しいほど高い値で、人気がある。

流行に敏感で、あっという間に消費され捨てられる。


四季と文化は素晴らしいが、それなのに「日本は生き辛かった」と言う日本人のなんと多いことか。


聞けばミサオの年齢では、結婚して子供がいるのが当たり前だという。

「独身で子供がいない」というだけで、そんなにも肩身が狭い国なのか?


「ミサオはこの異世界に飛ばされる前、日本で仕事を探していたんでしょう?」


「えぇ。しかしなかなか上手くいっていなかったようです。

『年齢のこともあるし、私には資格も取り柄もないから』と言っていましたな。」


イリーリニウムでは、年齢や資格、種族や性別も重要ではない。


「確かにずば抜けた専門知識はないわ。でも日本は『労働力不足』なのでしょう?あれほどの人材を採用しないなんて、日本て国は馬鹿なのかしらね。」


仮にも己の国より文明先進国である。

あまつさえその恩恵を受けているのに、随分な言い種だ。


ミサオは貴重な人材だ。

日々 転移・転生してくる日本人をこの世界で暮らしてゆけるように手をつくしてくれる。

突飛な発想力もあるし、着実に交渉する話術もある。

少々 変わってはいるが。


「ミサオの弱点は、何かしらね。」


笑いながら領主は宰相に尋ねた。


「『成り行きでなんとかなる』と流されやすそうな点は心配ではありますが。」


「そうねぇ。他国に誘拐されたら、『仕方ない』って普通にそこで働きそうよね。」


前向きなのに、諦観しているきらいがある。

他人の感情に敏いようで疎い。

心は真っ直ぐなのに、隠れてひねくれているような。

しかし不快感はない。


「あとは・・・人の顔や名前に興味がないところでしょうか。」


プッ、と珍しく領主が吹き出した。


「そうなの?」


「私の名前も最近知ったようですが、今も覚えているかは謎ですな。」


「あら、可哀想。」


領主の知る限り、この元教え子に一度会ったら名前も顔も覚えない者などいなかった。


「ミサオ(いわ)く、『魔道具屋でおじいちゃん魔法使いに会った』とピリッカ経由で報告がありました。」


「おじいちゃん?」


ミサオが行ったのなら転移魔法陣のある魔道具屋だろう。

そこに居たのなら長老格の大魔法使いの老師の可能性が高い。


「まさか・・・」


「そしてバッファ老のことを、『バッファロー』だと(いま)だ思っているようです。」



その日、領主の執務室から、大爆笑する領主の声が聞こえたという。

















ここまで読んでくださったことに土下座。

週1度程度のノロノロ亀更新にお付き合いいただき、本当に本当にありがとうございます!

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