領都編⑦ 「不確定」で煙に巻け
初めて書いた拙い文章を読んでくださって、本当ありがとうございます!
感想、評価、ブックマーク登録等応援をいただいて泣きそうになっています。
感謝をこめて。
「では どうやって解決する?」
宰相サマが挑戦的なのはなぜだろう。
「ご存知の通り、日本人ギルドでは日本人に仕事を斡旋しています。しかし『不確定要素がある』という理由で断られる日本人もいます。
『不確定』は確かに不安です。今のところ『不確定』を『確定』させることは出来ない以上、『不安』のほうを取り除くしかない。」
ご婦人は愉快そうに話を聞いてくれている。
「日本人が教師となりこの異世界の人が補助役となってくれれば、確かに日本人が突然消えてもすぐに教師の代わりになれますが、そうすると人件費が倍になってしまう。元より異世界の人の教師が足りているなら、あえて『不確定要素』を教師にすると本末転倒ですし。」
私の案は、「1クラス1教師」ではなく、「学習塾の講師方式」だった。
1クラス全員に同じことを教えるのではなく、一人一人の学習速度に合った、個別の勉強。
読み書き計算を教えることが目的なら、ゴールが決まっているから、目標まで到達した者から卒業するか、さらに上へ進んでもっと学ぶかを選択すればいい。
それを教師達が情報共有して支える。グループチーム単位の教師達ならば、1人の教師が欠けて新しい教師が加入しても上手くやれるだろう。
イメージは、「寺子屋を数名の先生達が担当する。その寺子屋が何十部屋もある。」みたいな。
「1人の教師を雇ったほうが安くつくがな。」
「でも応募がないんですよね。」
ピシャリと言い被せると、表情だけで宰相サマが「ぐぬぬ」と内心悔しがっているのが分かった。
この国の教師が不人気職なのは、教師が公務員ではないからだと私は思う。
あと一押しか?
「知識は大切です。
この国は日本人の知識や技術、それを輸出したりして潤っている。
いつの日か繁栄は腐敗するかもしれない。
しかし腐敗した時、知識と良心のある者が多ければ多いほど、浄化出来る可能性が高くなるんです。
『知識があっても必ず最善の判断が出来るとは限らない。
しかし知識によって下した判断の積み重ねが良い経験となる。』
です。」
私の長い売り込みがようやく終わった。
パチパチとご婦人が拍手してくれている。
「最後はどなたの格言?」
「・・・昔読んだ本なので、誰かは忘れました。」
「あら そうなのね。」
漫画で読みましたとは言えねぇええええ。
沈黙したままの宰相サマ。
「ジュリアス、何事も試してみればいいのですよ。」
「・・・そうですな。」
よっしゃあぁぁ!日本人の派遣先ゲットだぜ!!
日本人の派遣の仔細は今後詰める、と宰相サマから言質を取り、転移門設置の許可証をご婦人から手渡され、私は意気揚々と領主応接室を退出した。
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応接室に残った ”ご婦人” こと領主と、宰相。
領主は退出したミサオが出て行った方角を見つめたまま言った。
「私には信じられないわ。」
格言は「最果てのパラディン」からの引用です。
ありがとうございます!




