噛まないように
初めて書いた拙い文章を読んでくださって、本当ありがとうございます!
感想、評価、ブックマーク登録等応援をいただいて泣きそうになっています。
感謝をこめて。
おかしい。
ついさっき、魔法陣のような輪にピリッカさんと共に入り、
「目を閉じて5秒くらいで領都に着きますから。」
と手を繋いだ。
ピリッカさんが何か呪文を唱え、体がふわっとした。
そして領都の宰相所有の建物内へ着く、と聞いていたのだが。
バチッと電気のような音がして、目を開けると私は独り、地面に這いつくばっていたのだった。そして冒頭へ。
「う~ 気持ち悪ぅ~」
(サマヤの酔い止め、どこに仕舞ったっけ)
とにかく体を起こさねば。
「あら、あなた、どなた?」
驚いて声のほうを見ると、ご婦人が立っていた。
周囲を見渡すとここは庭園のよう。
まずは怪しい者じゃないことを伝えなければ。
「私はミサオ・ササキといいます。連れといたのですが、何か手違いがありまして。ここはあなたのお庭ですか?」
こんな説明、充分怪しいよね。
「『庭に面白いものが落ちてるぞ』ってこの子が言うものだから、来てみたのよ。フフ。」
この子?
ご婦人の肩に、ナウ○カのキツネリスっぽい小動物が!
可愛い 可愛い!!
「立てますか?」
ご婦人が差し伸べてくれた手を取り、なんとか立ち上がる。
「ありがとうございます。」
パンパンと服の土を払い、ご婦人に礼を言う。
キツネリスの瞳が美しくて、目が離せない。
「こちらへいらして。」
庭に突然現れた怪しげなヤツを、こんなに簡単に招き入れて逆に心配になるレベル。
テラスにテーブルと椅子があり、私に向かいに座るよう促しご婦人も席に着く。
「お連れの方とはぐれてしまったのね?」
「はい。」
「ちょっと手を出してくださる?」
私が手を出すと、ご婦人はアランさんとカターニャさんがくれたお守りの腕輪をまじまじと見た。
「分かりましたわ。」
なにが?
「ジュリアス・ケルヒェンシュタイナー絡みですわね。」
ジュリアス?誰?
そこで私の腕輪が光った。
『貴様ぁ!どうやったら5秒の転移で行方不明になれるのだ!!』
宰相!?てかこの腕輪 通信魔道具だったの!?
「す、すみません・・・」
謝るしかない私。そこへ貴婦人が会話へ割って入った。
「久しいわね、ジュリアス。」
『その声、まさか』
宰相の名前、ジュリアス・ケルヒェンシュタイナーだったんだ・・・
侯爵令嬢、今知ったよ。噛みそうな名前だわ。
待って、ご婦人と宰相は知り合い?
「護衛も付けずに領都へ転移させるなんて、甘いのではなくて?」
『そ、それは確かに・・・』
宰相がタジタジになっている。
どういう関係?
『ミサオ、今ピリッカに連絡をつける。そこで待っていろ。』
それだけ言うと通信は切れた。
「まったく、いくつになっても悪ガキは悪ガキね。」
ご婦人は懐かしそうに笑った。
「宰相閣下とは、どういうご関係で?」
「簡単に言うと、教師と生徒かしら。」
あー それは何歳になっても頭が上がらないやーつ。
そこへ執事のような方が、ご婦人に来客を告げる。
「こちらへお通しして。」
ご婦人の許可を得て、やって来たのはピリッカさん。
私とご婦人を見て土下座した。
土下座の文化、こっちの世界にもあるんだな。
「申し訳ありませんでした!」
「転移魔法の失敗の原因は?」
ご婦人とピリッカさん、張り詰めた空気になる。
「何者かに阻害されました。」
「突き止めなさい。」
「はいっ」
ここでこの話は終了。一気に和らぐご婦人。
「ササキさん、またお会いしましょうね。」
「はい、色々とお世話になりました。」
キツネリスよ、名残惜しいけど さらば。
この時、ご婦人の「またお会いしましょう」は 社交辞令だと私は思っていた。
しかしそれはフラグだったのだ。
ここまで読んでくださったことに土下座。
週1度程度のノロノロ亀更新にお付き合いいただき、本当に本当にありがとうございます!




