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日本人だらけの異世界で  作者: 猫目 潤
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チャラ男よりチャラいとはこれいかに

初めて書いた拙い文章を読んでくださって、本当ありがとうございます!

感想や評価、ブックマーク登録等応援をいただいて嬉しくて泣きそうになっています。

感謝をこめて。

「命が惜しければ有り金全部置いてけ!」


なんでこんなことに。


目の前には武器をこちらに向ける山賊。いやここは森だから森賊?そんな賊は聞いたことないなぁ。


しかしどうすべきか。



─────────────



事の発端はリョウくん。

私がしばらく日本人ギルドを留守にするので、旅行中に食べられるように特製お菓子を持たせてくれるんだって。


「ミサオさん、特に好きなスイーツってあります?」


そりゃこう見えても心はまだ女子ですからね!


「チョコもいいけど、1番好きなのはブルーベリータルト。」


「イチゴは?」


「酸っぱいからそんなに好きじゃないの。そしてイチゴの表面のツブツブが、自分の鼻の毛穴を見てるようでイヤ。」


へぇ~と言いながら私の鼻をじっと見るリョウくん。

見るんじゃない!


「ブルーベリー?もしかしてリオリオの実のことか?」


ギルド長、ここは休憩所じゃありません。


「たまには息抜きさせてくれよ~」


「息抜きばっかりじゃないですか!日本人ギルドは避難所じゃないんですよ!」


冒険者ギルド長であるマーカストさんは、副ギルド長であるタドンさんの目を盗んで、休憩したくなったら日本人ギルドへやって来るようになった。仕事しろ。

でも日本人ギルドにいても、タドンさんや時折襲来する宰相に見つかって叱られるのも予定調和。


「リオリオの実のこと、気になるだろ?」


そりゃ、まぁ・・・。


「詳しく教えてください!」


食いついたのはリョウくんだった。


ギルド長から話を聞く限り、「リオリオ」の実の形も味もブルーベリーとほとんど変わらない。

森の奥に群生地があり、採集も自由。

ブルーベリーと違うのは、「雨の日に実がなる」ということだった。


そして雨の日。リオリオの実 採集の為に森へ向かうこととなる。


=========


ぬかるみに足が取られる。

木々の枝から落ちる雨粒が、フードにあたる音がする。


森の奥へと進む一行。


この国は日本ほど四季の寒暖差はない。梅雨もない。

過ごしやすい気候で、当たり前だが日本より自然が多い。

人工的ではない自然。

空気が違う。


私は高校卒業までは田舎暮らしだったから、泥の上を歩くのは苦痛じゃない。

雨具である防水ポンチョとブーツも履いている。

虫はいるが刺されなければ平気。

異世界の虫はサイズがデカくて見つけやすい。助かる。


しかし、体力がないのだよ!

あとどのくらい歩くのですかね!

こちとら帰りの体力も残しておかなきゃならんのでね!


そしてこの採集グループの面々。色々おかしくないですか?


リオリオの実でスイーツを作りたいリョウくん、実を採ってその場で食べてみたい私、案内してやるぜと張り切っているギルド長、ここまではいい。


護衛が必要でしょ、と付いてきたチャラ男ことサマヤ。

面白そうですわ、と話を聞いて着替えてきた悪役令嬢こと侯爵令嬢、そして令嬢の侍女。

薬草摘みに行くから同行するよ、とアランさんとカターニャさん。


カオス・・・。


「護衛」ってそもそもギルド長がいるし、侯爵令嬢の侍女がただ者ではない雰囲気。

いやギルド長も地図を描いてくれれば済むんですけどね。サボりたかっただけでしょ。

そんな危険な森じゃないって話だし。


ちなみに侯爵令嬢は、人前では方言日本人ではなく、ちゃんと「令嬢」している。

侍女さんは、「令嬢が幼い頃に街で助けた浮浪児を侯爵家で侍女として雇った」というよくある話だった。さすが乙女ゲー。


そしてこの侍女さん、フッと消えては手に小動物を捕獲して戻って来ている。

どんな訓練をしたらそうなるんですか。


========


雨の中のリオリオの木々は、なんというか輝いていた。

雨粒が実に付いて、群青色の実の光沢が増している。

感激して立ち尽くしていると、離れた所からギルド長が声をかける。


「立って摘める高さの実だけだぞ~」


人の足元に()るのは小動物へ。

腰から下は四足歩行の動物へ。

手が届かない高さの実は飛ぶ生き物へ。

人が採りきれなかった実は未来の種として。


人間も世界の一部で、自然と共にあるのだという考え。

日本だと忘れてしまっていたことだ。

そして旨い。酸味より甘味が強くて、皮も美味しい。

私は採って食べ 採って食べを繰り返し、籠にはまったく実が入っていない。だって採れたてですよ!


=======


私以外の皆の籠がリオリオの実でいっぱいになり、カターニャさんとアランさん夫妻はお目当ての薬草を見つけて満足げ。

私の指がリオリオ色に染まる頃、その事件は起こった。


繁みから突如現れた男。

髪も髭もボサボサで、服装もボロボロ。雨具を着ていないので全身濡れている。臭そう。

手には光る武器。


森賊じゃないなら強盗、ってことでいいのかなぁ。

危険な森じゃない、って聞いてたのに。


「動くな!金を出せ!」


強盗は1人。

切り合いになったとしてもギルド長1人で充分だろう。強そうな侍女さんは令嬢を守ってくれるだろうし、戦力未知数だがチャラ男もいる。

リョウくんと私は呆然と立ち尽くしているだけなのだが、こんな大所帯にどうして勝てると思ったんだろう。


ギルド長がめんどくさそうに強盗に尋ねる。


「あ~、一応聞くが、なんで襲ってきた?」


首をボリボリかきながら聞くの?


「決まってんだろ!金だよ!」


「だからなんで?」


こういう時は余裕があるほうが有利なのだ。


「うるせぇ!早く出せ!!」


「まぁ落ち着けよ。」


「うるせぇ!」


不毛。


やり取りに飽きたのかカターニャさんは森の出口の方角に歩きだしている。アランさんは置いてくのかい。


ん?カターニャさんの向かった方角から歩いてくる人影が。


いやいやいやいや これ以上カオスになったら困るんですよ!


深い森の奥、金を出せと強盗。金を出さずにのらりくらり会話する者。それを見守る者達。帰ろうとする者。そこへ新たな人物。

雨は止まない。


フードの隙間から見える新たな人物の肌が少し緑っぽい。獣人かな。

その人物は、私達を見て首を傾げるが、見知った顔を見つけて叫んだ。


「あっれー!?サマヤじゃーん!こんなとこで何してんの~!?」


サマヤの返事を待たずに 1番近くにいたカターニャさんを「おねーさん、カワイイねぇ~!俺とあそばなーい!?」とナンパ。カターニャさんに追い払われている。


カターニャさんに邪険にされ、今度は令嬢と侍女さんの方へ。おっと すかさず侍女さんのブロックが入った。


「お嬢さん、俺とめくるめく夜を過ごしませんか?」


令嬢から視線を反らされ、侍女さんからゴミ虫を見るような目で見られても凹まないその精神よ。


今度は私と目が合った。そしてそのまま近づいてくる。


「そんな後ずさらなくてもいいじゃん いいじゃん~」


いや良くねぇよ こっち来るな!

リョウくん、サマヤが私の前に立ちはだかる。


サマヤは呆れ顔で、


「お前は少し黙ってろ」


と新たな人物に言った。


「なんだよ、口説ける時に口説け、ってぇのは俺っちの格言だぜ~」


これでもかという笑顔。


チャラ男よりチャラ男とはこれいかに。



「お、おい・・・」


あ、強盗のこと、すっかり忘れてた。




ここまで読んでくださったことに土下座。

週1度程度のノロノロ亀更新にお付き合いいただき、本当に本当にありがとうございます!

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