悪役令嬢は逸脱する
初めて書いた拙い文章を読んでくださって、本当ありがとうございます!
感想、レビュー、いいね、評価、ブックマーク登録、応援をいただいて小躍りしながら泣きそうになっています。
感謝をこめて。
「シャニア・ランビリス、お前との婚約は破棄させてもらう!」
学園の大勢の生徒の面前で、私は婚約者である第2王子から婚約破棄を言い渡された。
雷に打たれたような、目の前が真っ暗になったような、その瞬間、私は「前世の日本人としての記憶」を取り戻した。
シャニアとしての記憶、日本人だった時の私の記憶。2人分の過去の融合。
そして己の「シャニア」という名前、目の前に立ちはだかる第2王子、その第2王子に隠れるようにしがみつく男爵令嬢。
理解した。ここは私が日本でやり込んでいた乙女ゲー、「キャラメル・プリンセス・デイズ」略して「キャラプリ」の世界。
濁流のような記憶を整理していると、黙ったままの私に痺れを切らしたのか、
「なんとか言ったらどうなんだ!」
第2王子の取り巻きが私に怒鳴る。
例に漏れず、取り巻き5人全てが攻略対象だ。主人公からみれば、だが。
「怒鳴らなくても聞こえておりますわ。殿下、婚約破棄の理由をお伺いしても?」
毅然と私は尋ねた。
その態度がさらに機嫌を損ねたようで、
「リリアンへの度重なる嫌がらせ、知らないとは言わせない。そんな人間は、将来 俺の妃としてふさわしくない!」
婚約者のいる男の周りをうろつき、腕を組み、手を繋ぎ、あまつさえ2人で街へ出掛けるなど、苦言を呈して何がいけないのだろう。
注意する友人すらいない主人公だというのに。
「婚約破棄の件、承りました。後ほど屋敷に書面をお送りくださいませ。」
我ながら最高の出来映えのカーテシーをして、その場から立ち去ろうとした。
「待て!」
私の背中に声がかかる。
振り返った私に、第2王子が言った。
「リリアンに謝れ。」
侯爵家の名を背負っているというのに、男爵令嬢に頭を下げろ、と?
その時 私の中のシャニアのプライドが、切り裂かれたようだった。
しかしここで激情に駆られてはいけない。冷静にならなければ。
第2王子にしがみついて離れない男爵令嬢。
一瞬目が合う。小動物のように怯えている。
私は震える拳を握り締め、元婚約者に視線を戻してきっぱりと言った。
「いいえ、謝りません。何も詫びることなどしておりませんから。それでは皆様、ごきげんよう。」
遠巻きに見守る生徒達にも挨拶し、今度こそ私はその場から去った。
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悪役令嬢を学園から追放した第2王子は、愛しい男爵令嬢にプロポーズし2人は結ばれる。
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「っていう事があったんよ~」
ちょっと侯爵令嬢、その外見でその喋り方、ギャップあり過ぎ!
そしてどこかで聞いたことのあるようなテンプレ過ぎる断罪!!
いや聞きたいことは山の如しなんだけどね!
「えーっと、何からツッこんでいいやら・・・」
「日本人の女の人と、めっちゃ喋りたかってん!私、日本で通り魔に刺されて死んだんよ~」
「え!?マジで!? うわ~ 怖かったよねぇ!?」
「ショッピングモールの服屋で働いてて、休憩に行こうと店出たらそこにナイフ持った男がおってさ~」
「えーー!!」
彼女は侯爵令嬢という外面を脱ぎ捨て、私も友達と話すようになってしまい、話が盛り上がる。
「せっかく転生したんに、前世を思い出したんが断罪中とか、ヒド過ぎん!?」
「でも好きだったんでしょ?その第2王子のこと。」
「ん~ ぶっちゃけ好きでも嫌いでもなかってん。シャニアとしては『幼い頃に決まった婚約だし、このまま結婚するのが当然』とは思っとったけど、顔だけの男ってアカンわ~」
第2王子はイケメンですか。
「そもそも、ポッと出のぶりっ子男爵令嬢にあざといアプローチされてコロっといってまうんやで!? シャニアのお妃教育の時間返せ、っちゅうねん!」
侯爵令嬢、口が止まりません。
机は叩かないでね、壊れちゃう。
「婚約破棄ってどのくらい前のこと?」
「2年経ったか経たんくらいやわ」
根掘り葉掘り聞き出し、シャニアの現在置かれている状況を把握。
婚約破棄により、16歳で学園を自主退学すると同時に領地へ戻り、父である侯爵から「領主代行」を命じられ領地経営を行っていること。
自分で商会を立ち上げ、運営していること。
「クソ王子と別れて逆に良かった、ってことね。」
「いやいや、ルートによっては私 処刑や国外追放もあったんやからね!婚約破棄を言い渡されておとなしく引き下がって良かったわ~」
処刑ルート!?
乙女ゲー こわ・・・
「乙女ゲーって、主人公になって攻略キャラの好感度上げていくやん?選択肢選んだりしてさ。ストーリー読み込めばどうすりゃ狙い通りになるか分かる、っちゅうねん!」
あなたそのゲームやり込んでたんでしょうに・・・。
「ねぇ、その『キャラ・プリ』のゲームって、主人公が攻略キャラにプロポーズされたら終わり?」
「そ。プロポーズしてオッケーもろて、良かったね~、で終了やで。」
「ゲームの世界なのに、私にこんなに話して大丈夫なの?」
「私はもう退場した身やし、ゲームのルートの悪役令嬢のその後に『領主代行しながら商会立ち上げ』なんてなかったから、その時点でゲームの世界から逸脱したと思ってんねん。」
なるほどねぇ。
「商会の名前聞いて聞いて!」
はいはい。
「なんていうの?」
「その名も!『スターフィールド商会』!」
わりと普通。
「ミサオさん、私の日本人だった時の名前、『星野雪』やで。」
星野・・・星と野・・・スターとフィールド・・・
「『なんでやねん!雪はどこいってん!』ってツッコミいれてぇや~。」
この子のノリにツッコミを入れたい。
足を広げてだらっとしないの!せっかくのスーパーモデルみたいな外見が台無しよ。
「ミサオさんはおかしいと思わへんかったん?」
「この世界のこと?」
「そ。チート翻訳もいい加減で『魔法』と『魔術』の違いもあやふや。建物も中世ヨーロッパ風だけどオーバーテクノロジーもある。ドレスだっていつの時代の設定なのか めちゃくちゃなんよ?」
そんなに雑な感じで大丈夫なのか、この世界。
まぁ日本人だらけっていう今の現状が「ごった煮」感 満載だもんね。
「突然 異世界に飛ばされて、慣れるのに精一杯でそこまで考えてなかったわ。」
「そもそも人の名前だってイギリスなのかフランスなのかドイツなのかテキトーなんよねぇ。宰相の名前がいい例やわ。」
宰相サマ?
・・・・そういえば 私、宰相サマの名前知らない!!!
ここまで読んでくださったことに土下座。
週1度程度のノロノロ亀更新にお付き合いいただき、本当に本当にありがとうございます!
シャニアの訛りは関西弁っぽく見せかけた、作者の妄想の地方の方言です。ご容赦を。




