意味
三題噺もどき―にひゃくよんじゅうさん。
ようやく、暖かな日々が続くようになってきた。
中には何十年かぶりの高温に見舞われたところもあるらしい。
暖かいに越したことはないが、暑いのもごめんだよなぁ。
「……」
まぁ、でも。
冬の寒さに、もう悩まされなくて済むと思えば。その暑さも、ありがたく思えるかもしれない。
寒いのだけは、ホントに耐えきれない…。暑い方がまだましだ……。
ホントに、冷えるとろくなことがないので。
「……」
しかし、この時期はあれだよな。
熱と引き換えに、花粉が舞いだすよな。
私はさして酷くない、というか多分花粉症ではないのだが。
周りの花粉症の知り合いを見ていると、ホントにかわいそうで仕方がない。
ほぼ一日中だるそうにしているのをよく見かける。
―だからと言って、代わってあげたいとは言えないが。
「……ふぁ…」
あー。
眠くなってきたなぁ。
久しぶりの休みで、部屋でゆっくりしていたのだが。
―だから意味の分からない思考が漏れるんだろう。
「……」
外の気温が高いのか。
この部屋の温度が上がっているのか。
ものすごく体温があがっていて、眠くて仕方ない。
「……んー……」
だが、正直言うと。
空腹の方が問題になっている。今。
朝は、もう。何も食べる気にならなくて、何も入れていない。
軽く飲み物をのんだきり。
その後はもう、ぼーっとスマホをいじっていた。
「……」
何もしなくても、腹は減るんだなぁと、実感した今日このころだった。
しかしなー何も食べるものが、ないんだよなぁ。
というか、なんか冷蔵庫に入ってたかなぁ。
「……」
仕事の日は、朝食はパン派だし。
弁当は夜のうちに作ってはいるが。疲労と、眠気に襲われながら作っているので、冷蔵庫の中身とか気にしたことない。
もう、ホントに適当だ。
なんとなく見て、適当に手に取って。火を通したり通さなかったりしている。
「……あー……」
おお……。
腹の虫が本格的に泣き出した。
存外かわいらしいな。久しぶりに聞いたよこの音。
自分の腹の虫が可愛いなんて思ったことなんて、今まで一度もなかったが。
「……はぁ」
なんか食べるかぁ。
多分、弁当を作ってるときに、あれがないこれもないとなった記憶がないから(今週は)、食べるものは、何かしらはあるだろう。
「……んしょ」
なんとか、立ち上がるのさえ億劫な体を支えながら。
ぬるい足取りで、キッチンへと向かう。
「……」
うわぁ……。
もう……。
作る気失くしたぞ。
なぜ昨日の私は、今日の私にすべてを残したんだ……。
水道に昨夜の、洗い物が置かれている。おーまい……。
「……いっか…」
いや。
よかないが。
とりあえず、見なかったことにして。
冷蔵庫に向かう。
今はこの空腹をどうにかすることの方が、優先事項だ。
「……」
勢いよく広げると。
中から、ひんやりとした空気が這い出てくる。
おかげで少し目が覚めた。
「……」
んー。
めぼしいものがあまり……。
「……あ」
そういえば。
チルドに……。
「あった…」
鮭の切り身をいれておいたのだ。
弁当用にと買ったのだが、少し大きめのを買ってしまって。半分ほどのこっていたのだ。
「……」
いいや。これを焼いてたべるとしよう。
確か、電子レンジで温めるタイプのご飯もあったはずだ。
鮭には、ご飯がないとな。
「……」
これを温めて。
あと、鮭……はフライパンでいいか。
よし。
これで、腹はみたされるだろ。
「……」
そういえば。
「……」
この間。
それこそ、この鮭を買いに行ったときだったと思うのだが。
鮭とサーモンって、あるじゃないか。
あれって、何が違うんだろうな。
「……」
あれだろうか。
国内産は鮭で、外国産はサーモンとかなのだろうか。
さすがにそんな安直なことはないよな。多分何かしらは違うんだろうけど。
身だけで見ると、正直区別がつかない。
あんまり詳しくもないもので。
「……」
多分、なんとなく気になって。
その時に調べたと思うのだけど、忘れてしまった。
知識につけなきゃ、何も意味はないな。こりゃ。
必要かどうかは別として。
だが。
お題:魚・冷蔵庫・外国