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おばあちゃんのマウント合戦

作者: さとう あか


 とある公民館のラウンジ。ここは周辺住民が利用できる憩いの場である。数種類の自動販売機もあってちょっとしたカフェ気分だって楽しめるのだ。そのラウンジによく来るおばあさんが三人ほどいる。三人で来るのだからきっと仲がいいのだろう。多分。


「この間ね、息子が遊びにきてくれてねぇ。最近話題になっているお店のランチに連れて行ってくれたの。とってもおいしかったわ」


「いいわねえ、そういえば私のところに孫が遊びにきてくれたの。幼稚園にあがったばかりで、もう可愛くて可愛くて」


「そうよねえ、孫って可愛いわよねぇ。可愛いからずっと見ていたいって言ったら『同居しようか?』なんて子供が言ってくれて本当に嬉しかったわ」


「息子の本社転勤が決まって、忙しくなるからなかなか会いに来られないなんて言われたの」


「ウチの孫はピアノを始めたの。発表会もあるらしいから行きたいわ」


「子供が具体的に同居の話を進めてくれていて次の日曜に家族で集まって話をするの。楽しみだわ」




 ここは周辺住民が集まる。だから情報は集まってくる。

 あの人の息子さんは本社勤務になるのではなく転職して勤務地が変わる。

 お孫さんはピアノではなく体操教室に通っている。近くの体育館で行われている体操教室に通っているところを見たことがあるし、その体操教室は一月後に発表会がある。

 同居ではなく、ご家族がみんな遠方に住んでいて同居するならここを離れなくてはいけないけれど、それを断固拒否しているからここを離れるか、そうしないかの最後の話し合いだということを娘さんがぼやいていた。



 まだ話をしている三人を見て思う。なにが幸せかは人それぞれだ。ただ、他人より幸せだと証明しないと幸せを感じられないような人にはならないようにしたい。これはあくまで個人の感想なのでこの気持ちは胸にしまっておこう。


 もう上がりの時間だ。引き継ぎをして早く帰ろう。


読んでいただきありがとうございます。

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