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最終決戦後の勇者と魔王が現代にINした話  作者: 小城穂
二章

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20/29

5

 玲壮は六枚の黒い翼にそれぞれ一本ずつ、それと腹部にも一本、光の槍がで磔にされたアルフに視線を向け、次にソレを輝かんばかりの笑みを浮かべながらやった庵理に視線を向け、飽きたのかどこかから取り出した本の活字を目で追っている怜楓に視線を向け、最後にアルフに視線を戻して目を数回瞬かせ、口を開く。


「家の壁、壊さないでくれ」

「アごめんなさい、すぐ直しますね」


 にっこり、少女の様な笑顔だ、否、様なも何も事実少女なのだが、兎に角ずっとそんな表情。


 光の槍が消えると支えが無くなったアルフは床に落ちる、うつ伏せで全く動いていないが傷もどんどん塞がっているから元気なのだろう。

 そんなアルフに視線を向けずに背中から六枚のアルフとは対照的な真っ白な翼をはばたかせ浮かび上がり、壁に空いた穴に掌を向けると光が溢れて穴が直っていく。

 綺麗になった壁に一つ頷くとすとんと降りて、その際踏みつけられたアルフが呻き声を上げる。

 だが、鼻歌でも歌い出しそうな笑顔を浮かべて踏みつけている庵理はまるで自分の足元には何もいないかのように笑顔のままソファまで歩いて座る。


「天使って便利だね」

「……? お兄さんもこの位は出来ますよね」

「否、オレ直したり治したりはそんな得意じゃない」

「そうだったんですね」


 スバラシイ笑顔を浮かべてそんな会話をする二人に視線を向け、床で伸びてるアルフに視線を向けた玲壮はどうしてこうなったんだと記憶を思い出す


「貴様k「人の家を壊すな」


 思いだそうとして、デカい音を出して壊れた壁とその壁を壊して入って来たまるで悪魔ですと自己紹介しているような翼と尻尾と角が生えた金髪の男の顔面に右ストレートを叩きこむ。

 外に出ないよう、殴られた勢いのまま空中を舞っているソレを途中で首根っこ引っ掴んで壊れた壁から家に入って床に放り投げ壁を直す。


「アイツも結構便利だよね」

「お兄さんたちってホント人間やめてますよね」

「ソイツは兎も角、俺は人間だぞ」

「分かってますよ」


 床で伸びてる二人を視界の端に収めながらどうしてこうなったのか理由を想い返す。


 なんてことはない、庵理は天使の転生体だったらしい。らしいのだ、詳しいことは知らない。怜楓が庵理を指さして「天使の転生体」といい、アルフを指さして「その頃コイツと関りあったらしい」といって、二人が否定しなかったから正しいのだろう。多分。


 そんな怜楓の短い説明に玲壮はへぇ、と答えた。へぇ、世の中狭いな。


 マそんな前世がどうとか天使がどうとかの話からどうしてアルフの磔にまで行ったのかというと、アルフが魔王になったあと天界への嫌がらせの為に人間界への出入りを自由にしたのを聞いたからだ。

 その言葉を聞いた庵理が表情を変えずに「そうですか」と言って、それから、背中から翼を出してメッです、と続けた。

 メッ、そんな可愛らしい掛け声で腹に光の槍を刺して、その後無言で翼にもそれぞれ刺してた。スパルタ教育ってヤツか。否、違うな。多分。


 ***


「で、ソイツは誰だ?」

「元魔王です」


 元魔王、アルフに負けたヤツか。

 じゃここにはコイツを探しに来たのだろうと服の襟を掴んで引き摺ってアルフの上に重ねる。

 一仕事したとても言いたげに頷いて玲壮もソファに座って「ゲーム」と怜楓に短く言葉を掛ける。


「どれ?」

「血が出るアクション」

「じゃバイオで」


 目を覚ますまで暇だしとゲームにでも興じるか。

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