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最終決戦後の勇者と魔王が現代にINした話  作者: 小城穂
二章

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18/29

3

「そいや何の用だったの?」


 玲壮が買ってきたお土産を食べながら沸いた疑問を尋ねる。

 返答は予想通りだったが早々に戻って来た理由は魔王がこの近くに来ているらしかった、目的は何となく分かるがアイツは本当に何をしてるんだ。

 あと教会関係者が他にも何人か来るらしい、それに対する怜楓の返答はへぇだった。へぇ、そうなの。良くやるね、お前が不利益を被った訳でもなけりゃアイツと関わりもなかったでしょとは思うが、オレを巻き込まないならどうでもいいや、ソレジャ頑張れ。

 正直それだけ言って終わらせたかった、終わらせたかったが残念なコトにアルフェルという名の天使もとい現魔王であるアルフと玲壮は関りがなかろうと怜楓は結構関りがあった、というか一に面識があってそこから知り合ったんだがマそんな事はどうでもいい。


 そして怜楓は面識も興味も全くない相手には基本無関心を通り越してまるでそこに何もいないとても言いたげに視線すら向けない、下手したら血を流して倒れてる人間の隣を素通りするどころかその上を歩いていく。

 仕様がない、怜楓からすれば興味ないものはそこら辺の小石と対して変わらないのだ。

 だが面識があって興味がある相手には結構アマイしヤサシイ、そして今回のアルフは怜楓にとって面識も興味もある相手にしっかり当て嵌る。

 つまり物事を解決する手段として自分と同じ位手が出るのが速い玲壮がそいつを真っ二つにする前にどうにかするかと思いながら玄関に向かう。


 ***


 そこら中に様々な物が所狭しと並べられている全体的に時計が多い部屋、自室で椅子に座り机に頬杖を付いた怜楓は拉致してきた青年を見つめる。

 空中に浮かされている男は身動きが取れないようで、それでも怒りの表情を浮かべながら六枚の翼をばたつかせている。体は痺れて動けないようにしたはずだが翼は動かせるのか、次からはソレも考慮して改良しよう。

 血が通ってるのか疑問になるような白い肌に白い髪に白縹(しろはなだ)色の瞳と全体的に白い男だ。今は黒いが服も翼も白かった昔は黙っていれば天使らしい綺麗な顔も相まって今にも空気に溶けそうな姿はたしか儚いだとか言われていたっけか、マ儚げではあるな、口を閉じて表情を変えずにいれば。

 それにしても、とそこら中に舞っている黒い羽根を一枚手に取って昔は真っ白だったなと感慨深くなる。


「そーいう訳だからもうちょい大人しくしなよ」


 そんな青年もとい現在魔王をやっているアルフは怜楓のその言葉に「何がどういう訳なんだ」と暴れながら聞き返す。

 なんせ事情は何も聞いてない、いきなり現れた怜楓に拉致られ現在空中に浮いている、そんな状態でそう言われたのだ、そら訳が分からんだろうな。しょうがない。しょうがないから説明しよう。


「お前このままだと真っ二つだよ」

「ハ?」


 ハ?、だってさ、折角説明したのにその返答がそれとは酷いものだ、あと「いい加減降ろせ」とも言われたが怜楓の説明に対する返答じゃないからそこら辺に放っとこう。

 そもそも降ろすが所なんてない、ベットすら埋もれているんだ現在怜楓が座っている椅子も肘ついてる机も発掘して見つけたモノなんだから。それを伝えると片付けろと言われた、ヤだよ面倒くさい。


「空飛べるんだから空中で生活するのは慣れてるでしょ」

「自分で飛ぶのと他人に浮かされるのとでは全然違う」

「マいっか、本題に入ろう」

「俺はよくない」

「オレとしては別にお前が堕天しようが魔王になろうがそのまま人間界滅ぼそうが天界に攻め込もうがいいんだけどさ」

「いいのかよ、つか話を聞け」

「あと二百年位は大人しくしといた方がいいよ~」


 アルフは文句言っても無駄だと悟ったのか空中に浮いてることに関しては何も言われなくなった。


「何故に百年なんだ?」

「とりまそんくらい待てばいいかなって」


 二百年、人体は大体百二十年もつらしいから端数切り上げで二百年もありゃアイツもいないと思っただけだ、もしかしたらまだいるかもしれないけどマその時はその時、未来なんて分かっても面白いもんじゃないし予想だけして二百年経ったらまた考えりゃいいだろう。


「何で真っ二つになるんだ?」

「アイツは綺麗に一刀両断するタイプだから」

「アイツって誰だよ」

「知らない?」

「知るか」


 知らないか。

 でも会わせて大丈夫だろうか、サーチ&デストロイしないだろうか、しそうだな、やめとこ。

 容姿に心当たりあるかなって写真を探すためにスマホ取り出すがない、写真のアプリに一枚も写真がない。そいや写真撮ったこと無いな。

 じゃこうしようと部屋の隅に置いてある鏡を持ってきて姿を映す、どうも今は外で人と会ってるらしい。

 怜楓とそう年が変わらなそうな長い亜麻色の髪の少女だ、ちょっと見覚えのある奴の加護が薄っすら残ってるし恐らく教会関係者。

 その二人の姿を見せるとアルフがまず玲壮を見てハ?となりもう一人を見てハッ⁉となった。心当たりがあるんだろうな。


「こっちの男の方」

「何だコイツ」

「人間」

「見ればわかる、あんたと違ってしっかり人間やってる」

「オレも人間なんだけど」

「お前は何か、神とか邪神が人間の皮剝いて鞣して形を整えたモノを被ってる感じがする」

「神としてうまれた覚えはないんだけど」

「分かってる、だが最も近いモノが何かと問われれば神だ」

「元上位天使が言うと説得力が違うね」

「やめろ」


 怒られた、酷い。

 マいいだろう、今回の目的はアルフに自分を殺す可能性が一番高い奴の姿を見せる事だったが怜楓の方に一つ謎が出来てしまった。


「で、こっちは誰?」

「人間だな」

「そんくらい分かるよ」

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