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最終決戦後の勇者と魔王が現代にINした話  作者: 小城穂
二章

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16/29

1

「玲壮どこ行ったんだ?」

「この星のどこかに」

「そうか」


 リビングでソファに並んで座ってテレビの画面から目を離さずコントローラーのボタンを押しながらそう聞く真也に、怜楓も同じようにゲームをプレイしたまま答える。

 随分適当な返しに納得したのか知らないが真也はそうかと返す。


 今朝、今と同じように前日の夜の二十時からずっと続けてたゲームに思考の殆どを割いていた怜楓に玲壮が何か言っていたような気がするが覚えてない。

 否ウソ、しっかりイタリアに行くと言っていたのを覚えてるし何なら目的地に飛ばしたのは怜楓だ。出席日数が足りたらしく無事進級出来た結果迎えた春休み中にやっておきたいソシャゲのイベントと限定ガチャと積みゲーのレベリングと攻略で忙しかったから送るだけして家にいた。お土産はそっちで保管されてる聖遺物を幾つかとジェラートとワインを頼んだ。

 結局聖遺物は了承を貰えなかった上にワインは聞かなかったことにされた。


 積みゲーにも飽きてきた辺りで上の階から降りてきた真也と始めたゲームの結果はそんな回想をしているうちに決着がついた。

 コントローラーを机に置いて真也は怜楓の腹、正確にはそこに引っ付いてレンサンレンサンと鳴き声を上げている赤い頭に視線を向ける。


「いいのか?」


 そのままでいいのかと聞かれて、そろそろこっちの対応をするかと怜楓もコントローラーを置いて腹に引っ付いている青年を引きはがす。


「重い」

「やっと反応してもらえた」

「良かったですね」


 嬉しそうに紫の瞳を輝かせるその青年に黒髪の男が机に飲み物を出しながらチラリと黒い瞳を向け適当に言葉を返す。


「で、何があったの? 亜音(あおと)

「バレちゃったんすよ」

「へぇ……(はじめ)も?」

「いえ、自分は報告に来ただけです」


 しょんぼりしている亜音と無表情で立っている一に目を細め、直ぐにいつもの表情に戻って蚊帳の外になって疑問符を浮かべている真也に顔を向ける。

 そういえば会ったことなかったなと思って指さし口を開く。


「この二人ね、オレと契約してる悪魔。因みに、一は戸籍上オレたちの親」

「……そうか」


 真也は口を小さく開いては閉じてを数回繰り返し、マ怜楓がそういうならそうなんだろうと自分を納得させて頷く。


 悪魔、魔界の住人、神に敵対し人間を惑わせ魂を食らって力を得る害を成す存在。

 一に関しては保護者が必要になって怜楓が召喚して契約した、亜音はちょっと違うがマ兎に角色々あったのだ。

 最低限必要な情報を話して、一が出した紅茶を飲みながら怜楓はさて何人消せばいいか考えて、二人にもう一度視線を向ける。


「最近、悪魔が活発になってるけど、ソレ?」

「知っていましたか」

「それしか知らないけどね」

「正確に言うのなら人の言葉を解すある程度力のあるものがこぞってこちらに溢れているのです」

「どうやって?」


 悪魔は確か召喚されなきゃ人間界(こっち)に来れなかったと怜楓は記憶していたが。


「最近魔王が代替わりしたようで、前魔王は人間界への移動の際制限を課していたのはご存じかと思いますが、現魔王がそれを排しました」


 一のその言葉に、怜楓は少し驚く。

 あの若造が負けるとは、少なくとも後三百年位はトップ張れそうだったが。


 魔王、悪魔の王、魔界の主。

 そもそも人間界への制限だって他の悪魔を自分より強くしないためとかいう悪魔らしくない理由だったが、魔界、否、悪魔は実力主義だ、弱者には厳しいが強者には優しい弱肉強食、そんな魔界でトップ張ってたんだから思考は兎も角実力はそれなりだった。

 マどうでもいいか、結局ずっとしがみついてた魔王の座から引きずり降ろされた、それだけだろう。

 悪魔は自分より強い奴に従う、怜楓が二人と契約した時もボコしたら言うこと聞くようになった、自分に有利な契約を結ぶならそうした方が速いし楽だ。


「で、今まで自力で人間界にこれなかった悪魔がこぞって人間の魂狩りに来たと」

「仰る通りです」

「そして、その悪魔を祓う為に教会側の人間も活発になって、人間に紛れてフラフラしてた亜音がバレた?」

「はい……」


 なるほど、となるとアイツがいないのは悪魔対策の為に呼び出されたのか。


「一応報告しておきますと、現魔王の名はアルフ、堕天使です」

「アルフェル?」

「はい」

「あの不良天使、遂に堕天したんすか」


 いつかやると思ってたっス

 少し呆れたような表情で言う亜音に一は無言で頷く、同意という事だろう、怜楓もその亜音曰く不良天使を記憶から掘り起こし頷く。

 アルフェルは確か上位天使だったはずだ、となると今頃天界()は結構騒がしくなっているんだろうな。

 そこまで報告し、一は一礼と共にそれではと出ていく。

 そういえば今何してるんだったか、保護者が必要だっただけだから怜楓は基本的にそこに存在して呼んだときに来さえすれば何してても干渉したりはしていない。

 確か今は会社を三つだか四つだか経営しているんだったか、詳しく思い出すのは面倒だが前に貰った口座のゼロが定期的に増えてるから困ってはいないのだろう。


「で、亜音」

「はい?」

「どうして欲しいの?」

「正体に気付いた奴の記憶はもう消したんで、ここで生活したいッス」

「ここに住んでるのオレだけじゃないんだけど、マアイツが帰ってくるまでならいいよ~」

「レオサンっていつ頃帰ってくるんすか?」

「さぁ? 、春休みが終わるまでには帰ってくるんじゃない?」


 再びコントローラーを手に取った怜楓の隣に座り、俺もやりたいっすと見えない尻尾を振っている亜音に何もないところからもう一つコントローラーを出して渡してゲームも三人で出来るものに変える。


 一も亜音も真也の方を一度も見ていないし、真也も二人が誰なのか聞いてから存在しないようにソファに座ったまま虚無空間を見つめている。

 仲わるいんだろうか。

 マいっか。

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