にょろにょろびょういん
ひだまり童話館さま『にょろにょろな話』の参加作品です。
この作品は、挿し絵がたっぷりあります。
挿し絵が不要の方は表示をオフにしてください。
よろしくお願いします。
海のしょっぱい水と川のしょっぱくない水がまざるところに、びょういんがありました。
このびょういんには、うみへび先生、どじょう先生、うなぎ先生、それからチンアナゴさんがうけつけをしているので、みんなから『にょろにょろびょういん』とよばれていました。
にょろにょろびょういんには、海のおさかなも川のおさかなもやってくるので、いつもおおいそがしです。
「どじょう先生、かんじゃさんですよ」
「はいはい、ただいま行きますにょろ」
かんじゃさんがやってくると、うけつけのチンアナゴさんがどじょう先生をよびます。
しんさつしつには、こまったかおのニジマスさんがすわっています。
「今日は、どうしましたかにょろ?」
「なんだか、ちくちくするんだ」
「おやおや、見てみますので、大きくお口をあけてくださいにょろ」
「あーん」
――にょろ!
おおきな大きな口をあけたニジマスさんの中に、どじょう先生がにょろとはいります。
「どれどれ」
「せんせい、どうれすか?」
どじょう先生は、にょろにょろおよいで、よーく見てみます。
「わかったにょろ!」
どじょう先生は、にょろとでてきました。
――すぽっ
どじょう先生はニジマスさんの歯にはさまっていたちくちくした葉っぱをとりのぞきました。
「あースキッとしてさいこうだよ! にょろにょろ先生ありがとう」
「よかったよかった、おだいじにしてくださいにょろ」
すっきりしたニジマスさんは川へおよいでいきました。
げんきになってよかったですね。
「うなぎ先生、かんじゃさんですよ」
「はいはい、今すぐ行きますにょろん」
かんじゃさんがやってくると、うけつけのチンアナゴさんがうなぎ先生をよびます。
しんさつしつには、どんよりしたちょうちんアンコウさんがすわっています。
「今日はどうしましたかにょろん?」
「なんだか、ぱかぱかするんだよ」
「おやおや、見てみますので、大きくお口をあけてくださいにょろん」
「あーん」
――にょろん!
おおきな大きな口をあけたちょうちんアンコウさんの中に、うなぎ先生がにょろんとはいります。
「どれどれ」
「せんせい、どうれすか?」
うなぎ先生は、にょろにょろおよいで、よーく見てみます。
「なるほどにょろん!」
うなぎ先生は、にょろんとでてきました。
ちょうちんアンコウさんにヒレでさわると、
――びりびり
うなぎ先生はちょうちんアンコウさんに電気をびりびりと流しました。
ぱかぱかしていたちょうちんアンコウさんのちょうちんが、ぴかりと光りました。
「あーピカッとなってさいこうだね! にょろにょろ先生ありがとう」
「よかったよかった、おだいじにょろん」
ぴっかり光るちょうちんアンコウさんは海をあかるくしながら、およいでいきました。
げんきになってよかったですね。
「うみへび先生、かんじゃさんですよ」
「はいはい、今から行きますにょろり」
かんじゃさんがやってくると、うけつけのチンアナゴさんがうみへび先生をよびます。
しんさつしつには、まっさおなかおをした、タイさんがすわっています。
「今日はどうしましたかにょろり?」
「なんだか、ぞくぞくしてるのよ」
「おやおや、見てみますので、大きくお口をあけてくださいにょろり」
「あーん」
――にょろり!
おおきな大きな口をあけたタイさんの中に、うみへび先生がにょろりとはいります。
「どれどれ」
「せんせい、どうれすか?」
うみへび先生は、にょろにょろおよいで、よーく見てみます。
「なるほどにょろり」
うみへび先生は、にょろりとでてきました。
それから、おくすりをごくごくたっぷりのみました。
――かぷり
うみへび先生がタイさんにかみついて、ちくん、と注射をしました。
青かったかおも、すっかりサクラ色にもどりました。
「あーホットしてきて、さいこうよっ! にょろにょろ先生ありがとう」
「よかったよかった、おだいじにょろり」
るんるんになったタイさんは海へおよいでいきました。
元気になってよかったですね。
ゆらゆらと大きな波がやってきました。
「わあああ! どじょう先生、うなぎ先生、うみへび先生すぐにきてください!」
「はーい、すぐに行きますにょろ」
「はーい、すぐに行きますにょろん」
「はーい、すぐに行きますにょろり」
うけつけのチンアナゴさんがあわててにょろにょろ先生をよびました。
大きな波をつくったくじらさんがすわっていました。
「今日はどうしましたかにょろ?」
「なんだか、むずむずしてるんだ」
「おやおや、見てみますので、大きくお口をあけてくださいにょろん」
「あーん」
――にょろ!
――にょろん!
――にょろり!
おおきな大きな口をあけたクジラさんの中に、どじょう先生、うなぎ先生、それからうみへび先生がにょろにょろとはいります。
「どれどれ」
「せんせい、どうれすか?」
「ああ、なるほどにょろり」
三びきのにょろにょろ先生がくじらさんの中で、にょろにょろ、にょろにょろ、およぎました。
――にょろにょろ、にょろにょろ、にょろにょろ
――むずむず、にょろにょろ、むずむず、にょろにょろ
「ふ、ふ、ふっ――ふえっくしょんっ!!」
くじらさんの大きなくしゃみで、くじらさんは大きな潮をふきました。
くじらさんの中にいた、どじょう先生、うなぎ先生、うみへび先生も、くしゃみといっしょにとびでてきました。
「あースカッとしてさいこうさっ! にょろにょろ先生ありがとう」
「よかったですね、おだいじにょろ」
「よかったですね、おだいじにょろん」
「よかったですね、おだいじにょろり」
くじらさんは、にじのかかった海をおよいでいきました。
元気になってよかったですね。
にょろにょろびょういんは、川のおさかなさんと海のおさかなさんでいつもおおいそがしです。
にょろにょろびょういんにきたときは、大きくおおきくお口をあけてくださいね――。
おしまい
読んでいただき、ありがとうございます♪
今回のお題がとっても難しかったです……。
楽しんでもらえる作品に仕上がっていたら嬉しいなあと思います୧꒰*´꒳`*꒱૭✧