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後の領主、冒険者に再び絡まれる

 ルナータはビアンカにフラられたことが納得できないらしく俺たちに再度挑んできた。

 ビアンカを連れてきてたらまた大騒ぎになってたはずだ。

 俺はビアンカを連れてこなかった幸運に感謝する。


「ビアンカは居ないぞ」


 それを聞いたルナータは自分の都合にいいように解釈してほほ笑む。


「あんたの元を去ったのね。最弱冒険者がフラられるのは当然よね」


 いや、屋敷で待っていてくれますが。

 俺への悪口を聞いたモニカは目を吊り上げる。


「お前、なに言ってるんだ?」


 おい、絡むな!

 うまい具合に追い返せそうだったのに。

 なにしてるんだよ?

 と思ったら、更に突っかかった。


「ラーゼルは強いぞ」

「万年初心者のラーゼルが強いわけないわ」


 おい、まて!

 俺は『初心者育成人』とは呼ばれたことはあるが『万年初心者』なんて呼ばれたことはないぞ。

 勝手にグレードダウンするなよ。


「その勝負を受けてやろう」


 モニカはルナータの挑戦を受けた。

 ちょっ!

 お前、なに勝手に勝負受けてるんだよ!

 スルーすればいいのに。

 でも時はすでに遅し。

 ルナータとモニカの間に敵対心の火花が飛び散っていた。


「ところであんた誰よ?」


 モニカを見て不思議がるルナータ。

 モニカにしたら面識があるけど、ルナータは今のモニカの姿を見るのは初めてだ。


「ビアンカの親友だ」

「し、親友ですって?」


 ギリギリと歯ぎしりが聞こえるぐらい悔しがるルナータ。

 なんでビアンカのことをこんなに好きなのかは謎だ。


「ビアンカはまだいるのね?」

「いるぞ」


 なにさらに余計なことを言ってるんだよ!

 黙っとけば平穏にスルー出来たのに。

 それを聞いたルナータは敵意丸出しの顔をして俺を睨みつける。


「嘘ついたの? 最低ね!」


 嘘なんて言ってないし。

 ここに居ないって言ったのを勝手に勘違いしたのはそっちだし。

 モニカは俺を睨みつけるルナータの間に割って入った。


「勝負を受けるのか? 受けないのか? どっちなんだ?」

「もちろん受けるわよ!」

「じゃあ、勝負はこっちで決めさせて貰うぞ。ルールはなんでもいいな」

「いいわよ。でも私はこの杖を使いますからね!」


 そして始まった勝負。

 ルナータはモニカに全力で抗議していた。


「こんな勝負、聞いてないわよ!」


 パスタの大食い勝負でした。

 次々に積まれるモニカの空となった皿。


「もぐもぐ、時間は20分しかないんだ。もくもぐ、早く食わないと、もぐ、負けるぞ!」


 正直、殴り合いの勝負よりも平和的で俺は大歓迎なんだが……。

 ルナータに全く勝ち目がない勝負じゃないか。

 そんなことを知らないルナータはやる気を見せる。


「ビアンカの為にやってやるわよ!」

「ちなみに負けた方が料理代払うんだからな!」


 始まった時点で勝ち負けがついたのに気が付いたギャラリーたちが憐れみの表情でルナータを見つめる。


「あの喰いっぷり、変装してるけど大食い女王だよな?」

「あちゃー、負けたな」

「あの女の子もかわいそうに」

「大食い女王を相手に勝てるわけないのに」

「借金背負って奴隷落ちだな」


 姿こそ違えど、食いっぷりでモニカと完全にばれている。

 いつの間にかモニカに『大食い女王』との嬉しくない二つ名がついていた。

 みんな、ちょっと前にモニカに痛い目を遭わされた挑戦者ばかりだ。

 なぜか対抗意識を燃やしたメイミーが参戦している。


「ごしゅじんさまの為に頑張るのです!」


 気合は入っていたんだが……。

 大盛りパスタを3皿食べた時点で顔を青くしていた。


「その辺りでやめとけ」

「はい……」


 勝負はすぐについた。

 モニカが物凄い勢いで食べ続けているのに、ルナータは7皿でぶっ倒れて気絶。

 結局モニカは20分で78皿食べた。

 どんだけ食うんだよ。

 新記録というか、そんな早食いに挑戦する奴は居ない。

 目を覚ましたルナータはモニカの前に積まれた皿の山にガックリと肩を落とす。


「負けたのね。ビアンカとはもう会えないのね」

「そんなに会いたいのか?」

「会いたいわよ」

「じゃあ敢闘賞ということでビアンカと会う権利をやろう。ビアンカはクローブの領主の屋敷にいるぞ。勝手にお前に返すわけにはいかないが、今後のことは二人で相談するがいい」


 それを聞いたルナータは再び俺をさげすんだ目で睨みつける。


「もしかしてビアンカを貴族に売ったの?」


 売ってない、売ってない。

 なんでそうなる。


 俺たちはルナータと共にクローブの屋敷に向かおうとしたんだが……。

 ルナータは店員のおっさんに捕まった。


「お客さん、お代は?」

「えっ?」

「パスタ代、88皿分10万5000ゴルダ」

「そんな大金持ってるわけないじゃない。第一私はこんなに食べてないわよ」


 そこでモニカ。


「大食い勝負の料理代は負けた方が払うんだぞ。なあみんなも聞いてたよな?」


 証人とされたギャラリーも同じことを言う。


「俺も聞いたぞ」

「俺も俺も!」


 ルナータがこそこそ逃げようとすると店員に首根っこを捕まれた!


「てめー! 食い逃げするつもりか! 皿洗いで払ってもらうからな!」

「えええー! なんでー!」


 おっちゃんに引きずられて厨房に連れていかれるルナータ。

 ルナータがビアンカと再び会えるのはいつになるだろうか?

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