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後の英雄、新たなるパーティーに歓迎される

 翌朝、ギルドに行くとラネットさんが満面の笑みで迎えてくれた。

 どうしたんだろう?

 あまりに完璧な笑顔が少し怖い。


「まだ依頼票は出てないんですが、メンバーの募集をしているパーティーを見つけましたよ」

「本当ですか? どんな感じのパーティです?」

「聞いてください、今回は中堅のパーティーです」


 初心者パーティーでないだと?

 これなら俺の存在価値を認めてもらえるかも!

 久々の大型案件に俺の心が震えまくる。


「しかも実力があればレベルは不問だそうです」

「実力ですか?」


 実力重視か……。

 俺はレベルが15でカンストしていて、攻撃力その他諸々の能力が欠如しているのは自分でも十分理解している。

 せっかく新しいパーティーを探してくれたラネットさんには悪いけど早めに断った方がいいんだろうなと、即答で辞退しようと思ったんだけど……。


「釣り役の募集ですから、戦闘力は問わず立ち回り重視だそうです」


 なんだと!

 戦闘力は問わず、立ち回り重視だと?

 俺にうってつけの役割じゃないか!

 10年も冒険者をやっているので立ち回りだけは自信がある。


「ぜひ紹介してください!」

「今回の募集はギルドを通す前の募集の特別紹介ということを忘れないでくださいね。ギルドの掲示板に募集依頼を貼るとラーゼルさん以外の人に間違いなく決まってしまうと思うので……」


 募集依頼を貼りだしたら俺以外の人に決まるって……俺を完全否定しないでくれ。

 ラネットさんは俺に念を押す。


「ギルドを通さない募集は本当は紹介したら駄目なので、私から紹介したことはパーティーメンバーにも絶対に内緒でお願いしますよ」


 パーティーを見つけてくれた恩人に仇で返すようなことは絶対しない。

 俺はこの募集依頼に乗る、いや俺の人生を賭けることにした。



 早速募集主の元へと向かう。


「パーティーメンバーの募集をしていると聞いてやって来ました」

「募集?」


 ラネットさんからはまだ話が通ってなかったのか、怪訝な顔をされた。


「あれ? 釣り役のパーティーメンバーの募集をしていると聞いたんですけど……間違いですか?」

「お、おう。募集はしてるぞ。冒険者の経験としてはどのぐらいだ?」

「かれこれ10年はやっています。あとで問題になると思うので先に言っておきますが、釣りにはそれなりに自信がありますが、戦闘に関してはからっきしです」

「お、おう! 俺たちが募集しているのは釣り役だから、腕っぷしは気にしない。早速今日から働けるか?」

「はい!」

「今日はあくまでもお試しということで、試験期間扱いの仮採用だがいいか? ギルドへのパーティーメンバーの登録申請は釣り役としての実力を見てからの本採用になるがそれでもいいよな?」

「もちろんです!」


 ということで、俺の実力を見て貰うために早速狩りを始めることとなった。


 レベル25の新進気鋭の冒険者チーム『強風の剛剣』。

 このチームへの参加が結果的に今までくすぶっていた俺に大きな変化をもたらすスタート地点となることも知らずに……。

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