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雑談とか

天使と悪魔。成功と失敗。

作者: ACT
掲載日:2019/05/14

「天使も悪魔もうるせえ」という話。


 大河の対岸に財宝が眠っていた。


 Aは悩んだ。

 そこに天使と悪魔が現れた。

 天使は言った。「取りに行こう」

 悪魔は言った。「危ないぞ」

 Aは財宝を手に入れた。


 Bは悩んだ。

 そこに天使と悪魔が現れた。

 天使は言った。「取りに行こう」

 悪魔は言った。「危ないぞ」

 Bは家に閉じこもった。


 CとDは悩んだ。

 だが、そこには天使も悪魔も現れなかった。

 Cは財宝を手に入れた。

 Dはサメに喰われた。


○


 BはAに訊いた。

「悪魔の言葉が聞こえなかったのか?」

「聞こえた。だが、あまり気にしなかった」


 Cにも訊いた。

 Cは首を横にふった。

「聞こえなかった」


 幽霊になったDにも訊いた。

 Dは眉根を寄せた。

「聞こえなかった。もし聞こえていたら、死なずに済んだのに」


○


 AとCは再び財宝を取りに行くことにした。

 すると今度はCにも天使と悪魔が現れた。


 天使は言った。「取りに行こう」

 悪魔は言った。「危ないぞ」


 Aは財宝を手に入れた。

 Cは家に閉じこもった。


 BはCに訊いた。

 Cは震えながらいった。

「渡らないのか?」

「悪魔の声が聞こえた。怖いから渡らないことにした」


○

 

 BはAに訊いた。

「どうしたら悪魔を追い払える」

「悪魔は口だけだ。気にしないことだ」

「口だけ? でもDはサメに襲われたじゃないか」


 Aは首を傾げた。

「サメは悪魔か? 魚じゃないのか?」

「……魚だ」

「サメが怖いのか。それとも悪魔が怖いのか」

「両方だ。それは同じことじゃないのか?」

「私もサメは怖い。だからサメを撃退できる銛を用意した。

 CとDはサメのことを知らなかったらしい。

 Cはサメに遭遇せず運良く成功して、

 Dはサメに遭遇して運悪く失敗した」

「Cはその後、天使と悪魔の言葉を聞いて渡れなくなったよ」


 Aがいった。

「それで、Bはサメが怖いのか? それとも悪魔が怖いのか?」

「さっきと同じ質問じゃないか」

「なら質問を変えよう。悪魔からは他にも言われなかったか?」

「言われたな。沈没するかもしれない。財宝はないかもしれない。対岸には敵がいるかもしれない」

「私も似たようなものだ。逆に天使は色々と良いことを言ってくれた」

「私の天使もそうだった。だが私は悪魔に耳を貸してしまった。だから悪魔を追い払いたい」

「追い払いたいか……、やはりBは悪魔が怖いみたいだな。私はサメは怖いが、悪魔は怖くなかった」


 Bは驚いた。

「なぜだ」

「サメは鋭い歯を持つが、悪魔は口先だけだからだ。奴らはいつでも私が不安になることばかり言う。そして追い払ってもいつの間にか隣に戻ってきている。だからもう追い払うことは諦めたんだ」

「気にならないのか?」

「気になるけど、まあ仕方ない。諦めているのさ。悪魔とは10年の付き合いになるが倒すことも追い払うこともできなかったよ。お金と時間だけが消耗された。さて、私はまた渡河するよ。サメ対策に用意したこの銛と、財宝を入れる箱を用意してな」

「私は悪魔を倒す銛が欲しい。そうしたら天使の言葉がよく聞こえるはずだ」


 Aは肩を竦めた。

「どうかな。天使もかなり都合が良いことしか言わないぞ。先日、対岸で財宝を見つけると、天使は船が沈むほどの財宝を持ち帰ろうと言っていた。悪魔はそれが危険だと言っていた。私は悩んだ末、財宝を減らすことにした」

「天使も悪魔も危険だということか? なら私はどうしたらいいんだ?」

「さあ……、私の天使と悪魔が君と同じとは限らない、私には君の天使と悪魔が見えないからな。でも一つだけ、個人的な見解を述べさせてもらうとしたら……」


 Aは銛を持って立ち上がると、Bに笑顔を向けた。


「どちらもおしゃべりで、話が長い」

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