表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

日曜日

作者: 玄米茶


ピピピピ ピピピピ ガシャン。


手を伸ばして目覚ましを止める。日曜朝7時半。早起きだ。まぶたの向こうから感じる外の光は平日のものとは少し違う。だが、目を開いて見る外の光はいつもと変わらない。

ベッドから降りて立ち上がり、両手を天井に向けて伸びをする。いつもより天井に手が届きそうだ。背伸びをしてみる。あれ、届かない。

着ていたスウェットを脱いで黒のスキニーを履き、真っ白のTシャツを着る。スウェットを手で持って部屋の扉を開ける。味噌汁の匂い。今日の朝食は和食のようだ。

ゆっくりと階段を降りる。足の裏に伝わる階段の冷たさがなぜか気持ち良い。いつもは震えているのにな。

リビングの扉を開け中に入ると味噌汁の匂いが濃くなる。

「おはよう。今日はいい天気よ。」

母さんの声が心なしかいつもより高い。

「あぁ、おはよう」

そのままリビングを通り抜けて洗面所に行く。リビングよりもややひんやりとした空気が漂う。

スウェットを洗濯機に入れ、棚からフェイスタオルを出し、冷水で顔を洗う。冷たい水がまるで脳まで染み込むように思考を明確にしていく。タオルで顔の水を拭き、そのタオルも洗濯機に投げ入れた。

外に出よう。玄関に行き、サンダルを履いて外に出る。肺いっぱいに空気を吸い込む。ゆっくりと吐き出す。

玄関先に目をやる。人が、いる。横になって息をしている。急いで近づいて声をかける。

「大丈夫ですか。」

返事はない。走って家の中に戻り救急車を呼び、母さんとともに再び外に出る。

「動かさない方がいいわね。救急車が到着するまでここで待ちましょ。」

母さんが言う。声が低い。

風が冷たい。裸足の足に冷気がしみる。

空を見上げて目を瞑る。まぶたの向こうからいつもとなにも変わらない光が見えた。


あぁ、天井に手など、届くはずもない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ