出会い
部屋にはお茶をすする音のみが響いている。
一人暮らしの学生の部屋には似つかわしくない、光景が繰り広げられていた。
僕の目の前にいる女の子は紛れもなく美少女である。
しかし、そこには会話はなく沈黙が続いている。
——どうしてこうなった…。
――――――――――――――
今日は天気も良くとても晴れ晴れとしており、のどかな日であった。
俺は普通の高校生…だと思う。こう思うのは気づいたらこの町にいて暮らしていたからだ。僕には昔の記憶が無いんだ。
しかし、髪が青くて周りから気味悪がれていた僕であったが今日は珍しくクラスの人から声をかけられることも多かった。
きっと、高校デビューしたのだと勘違いされていたのだろうが。
自分でいうのもなんだが僕は自分の気が弱いと自覚している。
そんな風に思われるのはなんとも気恥ずかしく感じる。
購買に行けば、授業が終わるとすぐに直行しなければ買えない限定3個のオリジナルパンまで買えた。
美味いかどうかは別として。
今日は運がいいとこの時は思っていた。のちに起こることを知らずに。
学校からの帰り道、なんの気の迷いか、いつもとは違うルートの帰り道で帰っていたのが そもそもの間違いだったのだ。
そこは人気の少ない場所であった。
歩いていると、倒れている女の子がいた。
整った顔立ちに青色の髪。碧眼。誰が見てもきっと口を揃えてこう答えるだろう、とても綺麗である、と。
—僕と同じ髪の色…
彼女は俺に気づくともぞもぞと起き上がった。
「うー、腹が減って動けないなー」
ちらっ
「たまたま心優しい人が通りすぎないかなー」
ちらっ
—ものすごく視線を感じる。よし、ここは通りすぎよう。それが最善だ。
「待ってくだされ、そこの少年」
—話しかけられた。ここは答えておこう。
「あ、あの、どうしたんですか」
「よくぞ聞いてくれた少年!」
よく聞いてくれたと顔に書かれたようなスマイルだった。
彼女はもじもじしながら腹を押さえている。
「つまりだな、手短にいうとだなー、私はお腹が空いているっ!」
—つまり、あれを言わなければいけないのか
「良かったら、うちでご飯食べます?」
とりあえず建前上きいておく。
「えっ、本当に!でもなぁ〜、悪いからな〜」
ニヤニヤしながらこちらをみてくる。
—うっ、めんどくさいなこの人
「そうですか。では僕はこれで失礼します。」
僕の好意は不要だったようなので帰るとしよう。
帰ろうと歩きはじめた僕を彼女はとても慌ててぼくを引き止めた。
「うわあ、ごめんなさい。待ってくださいっ!私が悪かったです。連れてってください。お願いします!」
「はぁ、では行きましょうか。」
それが僕と彼女の初めての出会いであった。
こうして僕ら、奇妙な二人組は少し距離を取りつつ日が落ち初めた夕陽を背に帰路にたった。