「憎めない オンナ」
「憎めない オンナ」
「あたし、あの子、嫌い!って、思ってたのよ。」
エリは突然言った。絵里の見ている先には、アユがいて彼女の横には、昌平がいてなにやら楽しそうに話をしている。
「なんで、また。」
「だって、アユったらダーリンがいるのに、昌平くんとベタベタしてずるいっていうか、楽しそうでいいなぁっていうか、悔しいっていうか!そんな感じなのよ!」
私はため息をついた。
「・・・あんた、いくつになったのよ。自分の好きな男の人と話しているだけで、相手に嫉妬して不条理な感情を相手に向けるほど子供じゃないでしょう。って、あんた、まだ昌平に告白してなかったの?」
「・・・してない。わかってるわよ、彼女でもないのに、勝手に嫉妬すんな!重いオンナって言いたいんでしょう?」
「その通り。ついでに、悔しいなら、自分が話せるように話の種を増やす努力なり、相手に話しかける回数増やすとか、質問してみるとかアピールをしなさいよ、ここで私に愚痴ってないで!」
「わかってるけど・・・しつこくして嫌われたくないもん。」
私は淡々と返事をした。このセリフを何度聞いたことだろう。
「あーそーですか。それで?」
「え?」
「嫌いって、思っていたって過去形だったけど?もう嫌いじゃなくなったの?」
エリはしぶしぶ言った。
「だって。アユの話って面白いし、笑顔が可愛いし、服のセンスもいいし、持ってる小物も可愛いし、どっちかっていうと私が、友達になりたいのよ。」
「私は、あんたのそういうところが好きよ。」
「・・・ありがと。」
「褒めてないから。公平な眼なんて、バカを見るだけよ。私に好かれたからって昌平に好かれることにはならないからね!どちらかといえば、女性に好かれない女性の方が男性にはモテるんだから、さっさと昌平に好きって言いなさいよ。」
「いやぁー、嫌われたら、もう明日から布団から出られないじゃないー。」
「今日のアユがいなくなっても、まあ昌平の周りには別のアユみたいな子が現れるんだから、早めに言っておかないと手遅れになるわよ。何度も言うけど!」
「わかってるわよー。」
エリはため息をついた。その姿を見ながら、私は思った。そのうち、エリは本当にアユと友達になるのだろう、と。私とエリのように。