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恋文  作者: 紀平 ゆきの
2/4

はるかへ……

手紙形式で一行を短く書いています。

表示環境によっては読みづらいですがご了承ください。

 

  はるかへ



 夏休み、部活頑張ってた?剣道場、暑いよね。


わたしは、自分の部屋で課題やっつけて、

あとはボーっと本を読んでるうちに、夏が終わりそうだよ。


急に、手紙なんて、びっくりした?

わたしは、今、はるかに伝えなきゃいけないことがあって、この手紙を書いてるんだ。

できたら、最後まで読んでくれたら、はるかの気持ちを教えて欲しいな、って思う。


わたしは、元々目立たないし、クラスに同じ中学から来た人もいなくて、

きっと、また高校3年間もずっとひとりぼっちなんだろうと、思ってた。


本当は、はるかが持っているような強さに憧れてたんだ。

でも、わたしは弱かったから、情けないけど、

やっぱりいじめられっ子になりかけてた。


はるかって、責任感とか強いし、そんなわたしを可哀想って思ったのか、

分からないけど、わたしと、一緒にいてくれるようになって、すごく、嬉しかった。

はるかと二人でいられるのなら、他に友達なんていらないし、

そのほうが幸せ、って思ってた。友達がいるってこんなに楽しいんだって知れた。



でもね。今、わたしは、はるかに会うのがちょっと怖いんだ。

前みたいに、はるかと一緒にいたら、きっと、とても辛いだろうと、思う。


どうしてか、わかる? ごめんね、本当は、一緒にいたいのに、ごめん。



ねぇ、はるかは、覚えてるかな?


わたしが男子にちょっかい出されてた時に来てくれて、

「あたしのメグに、何すんのよ!?」って、怒ってくれたこと。


わたしは、はるかのあの時のセリフを、今でもずっと、

宝物のように抱きしめて、毎日泣いて、いるんだよ?



いきなり、気がついたんだ。


わたしはね、はるかのことが、友達としてではなく、

恋愛対象として「好き」になっちゃってた。私、おかしな子だよね。


何も言わずに、今まで通り、友達でいられたらよかったかも知れないね。

ごめん。わたしは、それができるほど、強くなかった。弱い自分を、毎日責めてる。

自分の気持ちに嘘をついたら、わたしが、わたしでいられなくなる気が、したんだ。


矛盾してるけど、今、何よりも、はるかを傷つけてしまうことが、怖いよ。

自分が嫌われるかも知れないと思うよりも、ずっと怖いよ。



はるかを、男の子としてみているわけでも、

自分が男の子のような感情ではるかを好きなわけでも、ないと思う。


わたしは女の子として、女の子のはるかが好き。


こんな感情をぶつけられて、はるかは困るかも知れない。

怒るかも知れないし、気持ち悪い!大嫌い!って、思うのかも、知れない。

でも、それは仕方ないし。はるかに、もう、顔も見たくない!って、

言われたとしても、この手紙を書いたことは、後悔はしない。たぶん、ね。



はるかは優しいけど、無理してまでいい返事はしないで、ね。

わたしは、ひとりでいるのには慣れてるから、心配は、しないで。



じゃ、また。


新学期に学校で。



                                           藤野 恵


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