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もしもボックス  作者: まつげ
2/2

もしも文房具に


「栞よ。もしも文房具に心があったらどんな感じだろうな」


「いきなり何ですか。そのトイ・ストーリー的な発想は」


「だってシャーペンの気持ちになってみろ。最悪だぞ?中に入れられるし、勝手に出されるし」


「なんとなく卑猥な言い方をしないでください。それ芯いれてカチカチやってるだけでしょ」


「ヤッてるって……いやらしい言い方をするな!」


「どうしよう!今日の島太郎さんうっとうしさが半端じゃない!」


「まあ、それはさておきだ」


「さておいちゃうんですね…」


「そんな文房具達の気持ちになってみようということで今回、こんな物を用意させて頂きました」


「………なんですか。これ」


「ナニに見える?」


「私には幼稚園なんかのお遊戯会とかでよく使われる手作りのお面的なアレに見えます」


「そう。その通り、幼稚園なんかのお遊戯会とかでよく使われる手作りのお面的なアレだ」


「それでどうするんですか?」


「これをぉ」


「えっ、ちょっ」


「栞の頭にぃ」


「ヤダヤダヤダヤダよくわからないけど凄くイヤ!」


「べっちょり」


「………ちょっとベタベタしてるんですけど」


「さっき作ったばっかだから糊が乾いてねぇんだな」


「勘弁してくださいよ!ていうかコレ何のお面なんですか?ただただ白いんですが」


「消しゴムだ」


「なぜ鉛筆やシャーペンのようなリーダー格ではなく消しゴムを…」


「描き易かったから」


「いや、描いてませんけどね!?白紙ですけどね!?」


「そう文句ばかり言うな。俺もつけるから………ほぉら。修正液だぞぉ♪」


「テンションが高い上に用途が被ってる!」


『俺の名前は【キエール修正液】百円ショップの文房具コーナーに売られていたのをホノカに買われて今はこのファンシーな筆箱に収まってるって感じだ』


「なりきってる!あと商品名センス無さ過ぎでしょう!最後にホノカって誰だ!」


『仲間(文房具)の中では【シュウ】って呼ばれてる』


「ホストっぽいなぁ。センス無いって言ったの怒ってるんですか」


『別に怒ってない』


「確実に怒ってるじゃないですか…。営業スマイル貼り付けたままで喋るのやめてくださいよ。結構怖いんですから」


『今日は新しい仲間ができた。消しゴムの【ジョナサン】が消えちまった(消しゴムだけに)からホノカが新しい奴を買ったらしい』


「え、え?こ、ここで私入るんですか?」


『入るんです』


「えー…『わ、私の名前は……』どうしよう!何も思いつかない!」


『ハハッ。随分と緊張しているみたいだ』


「いらっ☆ そう言えば島太郎さんはさっきから誰に向かって喋っているのですか?」


『コイツの名前は』


「ああ。そこは無視するんですね……」


『コイツの名前は【エストニア】だ』


「何故に白黒青の横三分割旗が国旗の国名を名前に………はっ!MONOか!MONOだからか!」


「正確な色の配置は違うけどな」


「何なんですか。その妙なネーミングセンスは」


『よぉ!最近どうだい。【エストニア】』


「え、えっと『ぼ、ぼちぼちかな?』


『ホノカの奴は書き間違いが多いからな。もしかしたら【シャープ】よりもお前の出番の方が多いんじゃないか?…なーんてな。ハハハッ』


『も、もう【シュウ】ったら冗談ばっかり言って。そういう【シュウ】はどうなの?』


『俺かい?俺は……


元々そんなに需要があるわけでもないんだ。そう【シャープ】や【エストニア】、お前らに比べてな。俺の出番といったら【マッキー】の奴がちょいとヘマをしたときぐらいだったんだ。あの頃は早くミスれよ!なんて事を考えたりもしてもどかしかったのを覚えている。でも仕事があるだけ良かったのかもしれない。』


『しゅ、【シュウ】?』


『奴らが現れてから思い知らされたよ。奴らボールペンのクセに後ろの…後ろの硬いゴムみたいなもんで消えやがるんだ!俺が絶望していたとき奴らはいやらしい笑みを浮かべ俺のキャップを叩きながらこう言ったんだ「お疲れ様w」ってな』


「し、島太郎さん!何処を見ているんですか!!落ち着いてください!!」


『そんな自分が不甲斐なくってな。意味も無い嫌がらせを色々としたもんだ……。無関係だった【ジョナサン】……彼女の角を全て叩き折ったりもした。それでも気は晴れなかった。でもあと一人くらい殺れば少しはすっきりできるかもしれない。なあ【エストニア】?ここまで俺の話を聞いてくれたんだ。俺の悲しみ、分け合ってくれるよな?』


「島太郎さあああああああああああああん!!!!!」


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