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プロローグ
地方についての主観的な文章があります。登場人物の個人的な考えだと捉えてください。
高校の正門を出て緩やかな坂を下り、最初の信号を左に曲がると、観光ポスターで有名な景色が目の前に現れる。
武家屋敷が建ち並び、趣きと風格漂う一本の道。
歳月を重ねても変わらないこの通りは、四季折々にわかりやすく色を染め変える。
春は、競う様に咲き誇る桜の花。
夏は目がくらむほど眩しく光る、緑の葉。
秋は赤く染まったその葉が絨毯となり、そして冬は、降り続く雪が全てを覆い隠して白い世界を作り上げる。
北の町。観光の町。
生まれてから今までずっと、この町で育った。