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足の怪我も治り、日常生活が戻ってきた

いつものように慎一郎さんを見送り、家事をしているとき、ふと思った


最近、生理いつあった?


割と規則的にある方だった

だからちょっと考えたらすぐ分かった


2週間ぐらい遅れてる……


以前買ってあった妊娠検査薬で調べた結果は……陽性


自然に笑顔が零れた

私のお腹に、慎一郎さんとの赤ちゃんがいるかもしれない

ただそれだけで嬉しかった


私は家事もそこそこに、産婦人科に行った


どうか間違いじゃありませんように……

祈るような気持ちだった


「おめでたですね。まだ初期の段階なので、十分気をつけてくださいね」


母と同じ同年代ぐらいの女医の先生の言葉を聞きながら、涙がポロポロと溢れた


「すいません……嬉しくて」


先生はにっこり笑って言った


「元気な赤ちゃんが産まれるように、精一杯手助けをさせてもらいます。でも、産むのはお母さん、あなたです。ちゃんとお腹の中で育てて、産んであげてください」


はいと頷いた


慎一郎さんに早く知らせたかったけど直接伝えたくて、メールを送った


『今日は早く帰れますか?』


すると、すぐに返事が返ってきた


『早く帰れるけど…どうかした?祥子がそんなメール送って来るの珍しいね。何かあった?』


さすが慎一郎さん

どうして気づくかな?

いつもと違うって……


『慎一郎さんが帰って来たら話します。ご馳走作って待ってるね』

『分かった。楽しみにしてる。早く帰るからね』


そんなメールのやり取りも嬉しかった


ねえ、赤ちゃん?

あなたのお父さんは、どんな反応するかな?

お母さん、今から楽しみなんだけど、あなたはどう思う?


お腹に手を当てて、ふふっと笑った



ちょっと頑張って作った晩御飯が出来た頃、慎一郎さんが帰ってきた


「お帰りなさい、本当に早く帰って来た」

玄関まで出迎えて、カバンを受け取った

「だって、祥子に『早く帰って来てね』って言われたら、遅くなれないでしょ?それより、何があったの?お陰で仕事が手につかなかったよ」

「晩御飯食べながら話す。早く来てね」


受け取ったカバンを部屋まで持って行って、着替えている慎一郎さんにそう言って、台所へ向かった


料理を並べ終えると、慎一郎さんが椅子に座って、うわぁと声をあげた


「本当にご馳走だ。何かいいことでもあった?」

「うん、あった。さ、食べよ?」

「祥子、いい加減に教えてよ。早く教えてくれないと、このご馳走も、喉に通らないよ」


慎一郎さんの顔を見ると、何?と首を傾げたので、今日、産婦人科で撮った、超音波の写真を見せた


「まだ初期の段階で、影も形もないんだけど……ここに袋みたいのがあるの分かる?」


慎一郎さんは、写真を食い入るように見てる


「心音が聞こえるまでは、まだ……」


そこまで言うと、慎一郎さんは私の手を握った


「祥子……?」

「慎一郎さん、こんなに小さいけど、私達の赤ちゃんだよ。私達、お父さんとお母さんになったよ」


慎一郎さんの目から、涙が零れた

私は慎一郎さんを抱き締めた

慎一郎さんも優しく抱き締めてくれた


「私、元気な赤ちゃん産むからね」

「……ありがとう、祥子。ありがとう……」

「慎一郎さん、私、幸せよ?」

「僕も幸せだよ。ありがとう、幸せにしてくれて、本当にありがとう、祥子」


そうやって抱き合ってたら、私のお腹が鳴った


2人で吹き出して、ご飯を食べた


食べ終わると、慎一郎さんが後片付けは自分がするからと、強引に私を台所から追い出した


あまり動かないのも悪いんですよ?と言っても聞いてくれない


後片付けも終わって、2人でソファーに座って、親達にはいつ言おうか話していた

とりあえず、安定期に入るまで親達には黙っておくことにした


「だから、祥子はあまり無理をしないで。この前みたいに、窓を開けっ放しで倒れてるなんてことになったら……」

「あんなこと、二度としないもん」


ふんっと横を向くと、慎一郎さんは、ははっと笑った


「本当にお願いします。君のお母さんは、お父さんの言うことを聞いてくれないことがあるんだ。本当に困った人なんだよ?」


私のお腹に話しかける慎一郎さん


「まだ、影も形もないんだから、聞こえてないと思います」


口を尖らせてそう言うと


「祥子はこれから、この子を産むまで、この子とずっと一緒だろうけど、僕はずっと一緒にはいられないからね。だから、こうやって一緒にいるときは、ずっと話し掛けるから」


ねぇ〜?と言いながら、お腹を撫でる慎一郎さん


「慎一郎さん、もの凄い親バカになりそう……」

「親バカで結構。だって、祥子との子供だよ?可愛くないわけがない」



こんなに幸せでいいんだろうか?


知らず、涙が零れた


「祥子、君の事もこれまで以上に大事にするからね」


涙を拭いながら慎一郎さんが言ってくれた


「私も、慎一郎さんを大事にしますからね」


慎一郎さんは幸せそうに笑った


読んで下さってありがとうございました

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