五.引換所 後
俺とカノン……正確にはリマークブルは、そんな死体の回収をしながら情報を集めている。
引換所に行き、政府に首を渡して情報の書かれた紙をもらう。
ただの白い紙に見えるらしいが、俺らにはしっかりと言葉が書いてあるのが見えるんだ。
引換所にいる政府は、ワイプに殺された善良な人間しかなれないらしく、
もう一度生き返れる代わりに一生痛みも感じられなく、死ぬこともできないらしい。
なんのメリットもないように感じられるが、
残された家族には毎月その人が生きていた時と同じ……
……あるいはその倍以上ものお金が届けられる。
もしも家族を残してワイプに殺された善良な男がいたなら、
ほとんどの人がこの道を選ぶそうだ。
「そんなものですよ、仕方のないことです」
カノンは微笑みながら言った。
――ただ俺達はその白い紙の原理や、どこから発行されているのかを知らない。
政府の人に聞いてみてもわからないらしい。
彼等の記憶をいじっているのか、それともその瞬間だけ生命活動をとめるのか……。
俺達はワイプを一人残らず殺す、それが役目であり、使命だ。
死体の片付けは屈辱的だが、俺らは人間だ。人間が人間を葬るのは当然のことだろう。
「うおー……五つもあんのかよ……ご苦労なこった」
気付くとカノンがエレンに死体……死骸を渡しているところだった。
「だが、紙四枚と交換だな。ふくろうは数にいれない、それでいいか?」
「ああ、大丈夫だ」
「ほい、四枚……これでいいんだよな?」
「ああ……それでいいはず……だよな? カノン?」
「あんたまで……それでいいんだよバカヴァン」
「あー! またバカっつたな!」
「バカにバカって言って何が悪いのよバカ」
「バカバカいうなよ……泣くぞ」
「勝手に泣けば? 泣き虫ヴァン」
「いつのご時世も強いのは女の子だねえ……ヴァンくん、頑張ってな」
エレンに同情され、なんともいえない虚しさを覚えながら俺達は引換所を後にした。