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四.引換所 前



 カランと小さな音を立てて開いた扉は頑丈で、細部まで凝ったデザインだった。

「ここはリマークブル以外立ち入り禁止だよ」

 カウンターに立っている屈強そうな男に言われ、

「アカビアンナ」

 二人は扉の閉まった事を確認してから言った。

 男は頷きながらオーエンと言った。

「それにしてもめんどくせぇよな! いちいち合言葉なんか言わなきゃなんねぇんだよ」

「でもそれが決まりですから」

 カノンが微笑みながら言うと、男は真面目だねぇと苦笑いした。

「今日は〝引換〟をしてもらうために……」 

 ――来ました。と言いかけて、話を遮られた。

「その前に自己紹介だ! 俺はエレン! 当たり前だが政府の人間だ!」

 次はお前!と言わんばかりの熱視線を俺に送るエレン。

 カノンも呆れている。

 心の中で深いため息をつき、

「ヴァン、生まれた時からリマークブル。 48区担当だ」

 とだけ答えた。

「カノン、同じくリマークブルで、48区担当です」

 続けざまに自己紹介というか名前紹介を終えると、

 エレンがまた話し始めた。

「実はな、この町はできてまだ半年しか経たねぇ。

あんたらがこの町では初めてのリマークブルなんだよ」

 そしてエレンは少し悲しそうな顔をして言った。


「この町でも噂は変わらねぇよ」


 一番よく聞く噂は、

  リマークブルは頭の中に思い描いた人を殺せる、というものだ。

 

 ――だけど実際はまったくそんなことはない。

 俺らは殺せるんじゃない、殺される瞬間がみえるんだ。

 それも事故とかじゃなく、リマークブルの間で呼ばれる名前だが、

 〝ワイプ〟と呼ばれる人間達によって。

 しかもただ殺すんじゃなくて、食べるんだ。

首から下……限定で。

 だから彼らの〝食後〟には、首から上しか残らない。


 俺はそんな奴らが許せない。

 同じ人として、人間として。

 人間を残虐に殺すことに快感を覚え、食べることにも快感を覚える。

 なんのために俺らに殺す瞬間をみせる。

 なんのために残った頭部を回収させる。

 なんで奴らの情報は頭部や動物の死骸を通さなきゃ得られないんだ。



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