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憧れの青春

彼女に自己紹介をした次の日、僕はいつものように朝を過ごし、登校した。

何事もなく席に着くと、隣から声をかけられる。

「おはよう!柊木くん」

「おはよう」

彼女は昨日に引き続き僕に話しかけてきた。

正直悪い気はしない。こんな綺麗な女の子に話しかけられて嬉しくないと言ったら嘘になる。

「今日は委員会とか部活とか、いろんなことを決める日だね!」

いきなりだな、と思ったが話す話題を探して振り絞った結果、いきなりな話題になってしまったことは彼女の少し気まずそうな表情と両手の親指をくるくると回すような仕草から読み取れたので会話を続ける。

「そうだね。月待さんはなにをするか決めてたりするの?」

そう聞き返すと、彼女の目は輝きを放ちながら僕を見る。

「私はね、図書委員に立候補します!」

「図書委員?」

彼女の入学初日からとなりの席の僕に話かけてくるその性格と華やかさとはかけ離れた言葉が聞こえたので、少し驚いて聞き返してしまった。

「うん!図書委員だよ」

「どうして?」

「えっとね、理由はちょっと恥ずかしいんだけど、笑わない?」

僕は机に肘をつきながらうなづく。

「私、恋愛小説が好きでね?好きなお話の中に、図書委員の女の子が毎日本を読みにくる男の子に恋をして、誰もいない図書室で二人で本を読む場面があって...ってごめん!話すぎだね」

「ううん、それで?」

「私、そういう”青春”に憧れて、それで図書委員が良いなって。夢見すぎかな?」

「良いんじゃない?高校生なんだし」

ああ、よくある女の子の憧れだなと、適当に返事を返した...つもりだったのだが、彼女は希望に満ちた満面の笑みで僕を見ていた。

「そうだよね!高校生なんだし、夢見たって良いよね!うん、ありがとう!」

「う、うん、どういたしまして?」

彼女の勢いに押されながら頷いた。そして続け様に彼女は尋ねてくる。

「柊木くんは?」

「へ?」

「柊木くんはなにやるか決めてるの?」

僕はその問いにいつものように

「なんでもいいかな」

と答えた。

「なんでもいいの?」

そう聞き返してくる彼女に答えた。

「うん。委員会とか部活とか特にこだわりないかな。どうでもいい」

その時ハッとした。いつもの調子で答えてしまったが、委員会を楽しみにしている彼女の前でするべき発言じゃなかったと我に帰る。

「あ、違くて、どうでもいいっていうのは...」

「なんでもいいなら私と図書委員やろうよ!」

「...へ?」

彼女は落ち込むどころか、キラキラと目を輝かせながら食い気味に言ってきた。

「よかったー!実はちょっと一人じゃ不安だなーと思ってたの。柊木くんが一緒にやってくれるなら安心だ」

「え、、?ちょっと」

「ね、一緒にやってくれるよね!」

僕の様子など一切お構い無しという様子で畳み掛けてくる。その勢いに僕は頷くしかなかった。

「う、うん」

「やった。じゃあこれからよろしくね!」

こうして僕はなぜか入学してから二日しか話していない綺麗な女の子と図書委員をやることになった。

...まあ、どうでもいいか。と心の中で呟きながら。

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