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夢の終わり

美波は観覧車の中で倒れた後、そのまま救急車で運ばれた。僕は苦しそうな美波をただ見ていることしかできなかった。僕も一緒に救急車に乗った。病院に着くと美波は運び出されて、そのまま病院の中へ。僕は待合席へ案内される。少しして美波のお母さんとお父さんがきた。とても心配そうな顔をしていた。ふと僕の方を見る。何を言われる覚悟もできていた。

「奏くん」

「はい」

「ありがとうね、美波を連れて行ってくれて」

「え?」

美波のお父さんの口から聞こえてきたのは、僕が全く想像していない言葉だった。

「美波はね、この病気のことを告げられた時、生きる意味を失ったような顔をしていたよ」

そうなのか、あの元気で明るい彼女がそんな顔をしていたのか。それもそうだ、余命を告げられて明るく振る舞える人間なんていない。

「それからもずっと、生きているのに死んでいるような顔をしていて、でも本は読んでいてね」

「はい」

「高校入学が決まった頃に一冊の恋愛小説を美波に買ったんだ。それを読んでから美波は人が変わったように明るくなってね、高校でわたし青春するんだって笑顔で話してくれたよ」

そうか、あの小説は美波のお父さんが美波に買ったものだったのか、どうりであんなに大切にしていたわけだ。

「それでね、高校の入学式が終わったあと、美波が「私、好きな人できたかも」なんて言い始めて、びっくりしたよ」

僕はもうそこまで聞いている途中で涙が止まらなかった。目の奥が熱くて、うまく前が見えない。

「奏くん、きみがいたから、美波は毎日輝いて生きていたんだ、だから、ありがとう」

違う、輝きをくれたのは美波の方だ。毎日なんでもいいと死んだように生きていた僕に、あの明るい笑顔で話しかけてくれたあの日から。

「僕の方です、輝きをもらっていたのは。美波は本当に強くて、明るくて、病気だなんて嘘みたいで、美波といると、生きてることに意味があると思えて」

もうそこからはこぼれ落ちる涙のせいでうまく話せなかった。顔を伏せてしまった僕の背中にぽんと暖かいものがのる。

「奏くん、美波は大丈夫よきっと。奏くんも言ってくれたでしょう?美波は強い子だから」

僕は顔を伏せたまま頷いた。そこに白衣を着た医者がきて言った。

「美波さんのご家族ですね、お話がありますのでこちらへ」

そう言って美波のお母さんとお父さんは奥の部屋へ連れて行かれた。僕はそこでただ涙を流すしかできなかった。


しばらくして美波のお母さんとお父さんが戻ってきた。

「奏くん、行こうか」

そう言われて僕は部屋まで案内された。ドアを開けると、そこにはベットの上で、目を閉じている美波がいた。

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