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⑬王都へ2

「あのっ…!それは本当なんですか?…処刑とは」


私が動揺しながらも聞くとやはり言いにくそうに彼は言う。


「あぁ、一週間位前の新聞に載ってた。その時はたいして気にも止めてなかったが…反逆者の処刑など珍しくはないからな」

「珍しくはない?この国ではそんな理不尽な処刑が沢山あると言うのですか…?」

「理不尽かどうかはわからないが、先月も数人処刑されていた。だが、君から話を聞かなければ俺の中でもただの反逆者の処刑で終わっていた」

「いえ…誰でも身近な人でなければ疑問に思わないでしょう。それにまだルカとは決まってないですし」


だがシャノンは悪い予感がして仕方なかった…

ルカが処刑されるとはまだわからないのに胸騒ぎがする


「その処刑はいつ何処でされるかはわかりますか?」

「確か一週間位前に10日後とあったから…ちょっとまっててくれ確かめてくる」


そう言ってレナートは急いで部屋を出ていく。


1人待ってる間も何故か動悸が止まらない

もし、ルカだったら…私1人ではもうどうする事も出来ない。エリスにどう報告すればよいの…


暫くすると部屋の外から駆け足で近付いてくる音がしドアが勢い良く音を立てて開いた


「シャノン!処刑は3日後だ!ベノワ広場で公開処刑となっている、ここから王都まで早馬でも3日はかかってしまう…!間に合わないかもしれない」


それを聞き頭が真っ白になってしまう

ルカ本人か確かめられないばかりか間に合わないなんて


「レナートさんっ、後生です!馬を出してもらえないてしょうか…お願いしますっ」

「ここまで聞いたら俺だって力になりたい、しかし間に合わないかもしれない、その覚悟は出来ているのか?」

「ええ、ええ!出来てます。間に合わなくても少しでも可能性があるならば」

「わかった、しかし怪我をした彼は連れていけないぞ」

「承知してます。更に図々しいお願いで心苦しいのですが…」

「わかってる。君が王都へ行って戻ってくるまでここの塔で彼を預かろう」

「本当に何から何まで、ありがとうございます」

「さぁ、ぐずぐずしてる暇はない、すぐ出発するぞ」


息つく暇もなく私とレナートは馬に乗って王都へと向かった。アランはまだ意識が戻ってなかったため言葉も交わせなかったが仕方ない…ごめんねアラン、待ってて…

出発する前に私は眠っているアランに初めての口付けをした。何故かしておかないと後悔する様な気がしたからだ…大怪我をしてまで体を張って私を守ってくれたアランに言い様のない愛おしさを感じる。人はいつ何があるかわからない…エリスもルカもアランも、そして私も。


エリスの時もそうだったが、アランを失うと思った時はまた違う気持ちが沸き起こってきた…2度と会えなくなる、そう思ったら…。ならばもう迷う必要はない、王都から戻ったらアランに伝えよう…ずっと側にいたいと。


だから待っててね、アラン。



***



シャノンとレナートとが王都へと向かった数時間後、アランは目覚めた。


「ここは…」


体を起こそうと思ったが激痛が走り諦めた。


「あ、やっと気が付いたか?君、襲われたの覚えてる?」

「襲われ…シャノン!!!彼女は!シャノンは無事ですか!??」


その瞬間痛みも忘れ飛び上がった。


「ああ、彼女は大丈夫だよ」


それを聞き安堵したためまた痛みが戻ってきて痛みに顔をしかめながら横になる。


そしてこれまでの経緯を聞き更に不安になった…

ルカ君が処刑…?まさか…

しかしそうなったら自分達に出来る事など何もない、例えシャノンが行った所で。


自分に意識があったなら絶対に行かせなかった…危険過ぎる。だがシャノンは既に王都へと向かってしまい自分は怪我で動けない状態だ。

ここで待つしかないのだがどうしても不安がよぎる…


彼女が無事ここへ戻ってくるのを祈るしか出来ない不甲斐なさにアランは悔しさで唇を噛んだ。

こんなに後悔するくらいならシャノンにもっとはっきりと気持ちを伝えるべきだった。ここへ戻って来たなら今度こそ言おう、もう2度と離さないと、そしてどんな危険からも遠ざけて村へと連れて帰るんだ。


だから、シャノン…必ず戻って来てくれ…

アランは心からシャノンの無事を祈った。



***



馬に乗り慣れてないシャノンにとっては身体中が悲鳴を上げる程の辛さだったが弱音を1つも吐くことなく堪える。


馬には乗れないのでレナートに乗せてもらってる状態だが休憩の時間も惜しくほとんど休む間もなく進んだ。

食事も小さなパンを口に詰め込みすぐに出発する。痛みで食欲もなかったのでそれはまだ我慢出来たが、やはりきちんと食べてないせいか体力が持たない...頭がくらくらとする。


馬の負担になるため途中で別の馬へと何度か乗り換え更に進む。辛いなど言ってる場合ではなかった。


レナートは自分よりももっと無理をしてるはずだ、そう思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


無理な強行騎行の甲斐もあり王都へは3日目の明け方に到着する事が出来た。


「シャノン、ここからベノワ広場まで後数時間だ、処刑時刻は10時何とか間に合えば良いが…」

「レナートさん、ここまで本当にありがとう。相当無理をしたでしょう…もし間に合わなくてももう後悔はないわ…ありがとう、ありがとうレナートさん」


もう体がおかしくなりそうなくらい体の感覚がなかったが頑張って笑みを作りレナートに微笑んだ。


「シャノン…いいや、絶対に間に合わせるっ」


2人の乗った馬が王都の町を颯爽と駆け抜けて行った。







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