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俺の恋人は鋼鉄製 ~彼女が刃物で困ってます〜

作者: はるりん

 気づいたら異世界だった。目を覚ますと、青空、草原、そして横に光り輝く一本の剣。


 俺は普通の社畜、斎藤タケシ(27)。

 ブラック企業の激務に心をすり減らし、気づけば過労死。目覚めた先がファンタジー世界って、もはやテンプレにも程がある。


 しかし、問題はそこじゃない。横に落ちていた剣が、突如として喋り出したのだ。


「やっと起きたわね、マイ・ダーリン。」


 剣から女の声。え、どういうこと?


「あんた、私の運命の人よ。だって、あんたが私を握った瞬間から、私たちの心は一つなんだから。」


 待て待て、異世界転生でチート能力を期待してたけど、こんな方向性?剣の名前は【クラウディア・オブ・ラブ】。伝説の聖剣らしいが、ステータスを見ると「恋愛特化型」。攻撃力5、防御力2、魅了スキル9999っておい、どこに振ってんだよステ振り!クラウディアは続ける。


「これからは、私たち恋人同士。いいわね?」


「え、ええ…はい。」


 異世界の最初の会話が剣への告白返事ってどうなの俺。


 旅が始まった。俺とクラウディア、いや、クラウディアと俺。問題は、戦闘のたびにこの剣がやたら恋人ムーブをしてくること。


「ダーリン、私をもっと振って!」

「いいわ、その角度!あぁん、もっと斬って!」


 敵モンスターは混乱するし、俺も混乱するし、周囲の冒険者たちはドン引きする。挙句の果てに「変態カップル剣士」と呼ばれる始末。だが、この剣のチートは伊達じゃない。


 敵に斬りかかると、クラウディアの「魅了スキル」が発動。スライムもゴブリンもオークも、斬られた瞬間、「クラウディア様…好き…」と呟きながら昇天する。


 恋愛チートで敵を駆逐する俺たち。異世界、なかなか悪くない。


 ある日、王都で開催される「聖剣コンテスト」に参加することになった。最強の武器を持つ者が賞金1万ゴールドを手にできる大会だ。


 しかし、クラウディアは言う。


「タケシ、私のことを武器として見ないで。私は、あなたの恋人なんだから。」


 知らんがな。俺は賞金欲しいんだよ。

 大会当日、参加者たちは魔剣、大剣、神器を携え、自慢の武器を披露する。俺たちはその中で異彩を放つ。


「本日最後の挑戦者!タケシ・サイトウと、恋人・クラウディア!」


 司会がそう叫んだ瞬間、観客席から「恋人!?」「剣と付き合ってるのかあいつ!?」と悲鳴が上がる。


 戦闘開始。対戦相手は伝説の大剣【デストロイザー】を操る筋肉モンスター、ガルド将軍。筋肉が服を着て歩いてるみたいな男。だが、こちらには最強スキルがある。


「クラウディア、行くぞ!」

「はい、ダーリン!私を思いっきり振って!」


 剣を振るたび、クラウディアの甘い声が響き、ガルド将軍の動きが鈍る。


「な…なんだこの…胸の高鳴りは…」


 まさかの恋愛状態異常。最終的に、ガルド将軍は戦闘中に俺にプロポーズしてきた。


「俺…お前の剣が…好きだ!」

 いや、俺の剣に告白すんな。


 優勝した。だが、問題はそこじゃない。大会後、クラウディアが本気の目で言った。


「タケシ、私…本当に、あなたのことが好きなの。」


 え、マジなの?単なる恋愛スキルとかそういう設定じゃなくて?


「スキルじゃなくて、本物の気持ち。だって、タケシは私を毎日大事に磨いてくれるし、戦闘ではいつも私を信じてくれるし…それって、愛でしょう?」


 俺は思わず答えた。


「…俺も、お前がいないと生きていけない。」


 こうして、俺は剣と正式に恋人になった。夜は一緒にベッドに寝る(物理的に痛い)、デートは鍛冶屋巡り(クラウディアの趣味)、記念日は砥石プレゼント(喜ばれる)。周囲からは変態認定されたが、俺たちは幸せだった。


 だが、物語はここで終わらない。

 異世界全土に「人間と武器の結婚が合法化」される運動が勃発。


 なぜなら、俺たちの恋がSNSで拡散されたからだ。

【剣と付き合う男、世界を変える】という見出しが王都新聞の一面を飾り、気づけば俺は「恋愛革命家」と呼ばれていた。


 世界が剣を恋人として扱い始め、片っ端から武器に告白する奴が続出。結果、武器たちは意識を持ち始め、恋愛市場が混乱。最終的に、国王が法案を可決した。【武器との婚姻を認める法】。


 これが、後に「鋼鉄愛法案」と呼ばれる歴史的瞬間である。

気晴らしにふざけた短編作ってみました!笑

最後まで見てくれたら嬉しいです…

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