年下の母
確かニウブは16歳だったよな。年下の母って、有りえないだろ。
なんかオタ友が言ってたような? こういう設定――バブみ――に萌えるのが今の流行りだとかなんとか。
……アホらしい!
だいたい、平たい胸族のニウブより、年上で豊かなおっぱいのカルミアの方が甘えたいタイプだよな……。
夕食の後、たき火に当りながらそんな妄想に浸っていると、
「タスクさん、寝る時間ですよ!」
「わっ! は、はいー!」
ニウブに虚を突かれる形で声を掛けられ、みっともない返事をしてしまった。
……って、何処で寝れば良いんだ?
テントは合わせて3つ建てられている。
「どのテントが僕専用?」
「違いますよ! 私と一緒に寝るんです」
「え?」
「さぁ、早くしてください」
……ええええええええ!!!
驚愕している僕のことなどお構いなしに、ニウブは僕の手を引いて端のテントへと連れ込む。
畳2畳分も無い狭いテントの中に一枚だけ布団が敷かれていた。
ニウブは掛け布団を捲ると、
「さ、入って下さいタスクさん」
と僕を促してくる。
僕が布団の中に納まると、ニウブはテントの入り口を閉めてから同じ布団に入ってきた。
薄暗がりの中でも、目の前にニウブの顔があるのが判る。
しかも、僕を見つめてニコッと笑顔を見せたかと思うと、すぐに目を瞑ってしまった。
……あの、こっちは心臓バクバクなんですけど!!
目を瞑っていても、そのカールした睫毛、小ぶりの鼻、薄くて小さな唇、そして整った輪郭。
どれを採っても、見とれてしまう。
その距離、約30センチ。
僕は段々と、小さな唇に引き寄せられそうになる。
「ハァ、ハァ、ハァ……」
気がつくと、僕の荒くなった息が彼女の頬に掛かった髪の毛を揺らしていた。
……ヤバい! 欲望を抑えきれないよ。
その距離が10センチを切ろうとしていた時、いきなり彼女の手が伸びてくる。
そして、僕の頭はやさしく彼女の胸に抱きかかえられた。
「眠れないんですね……」
「うっ……」
一瞬、息はどうやってするのか分からなくなる。
頭に血が上るのが判る。
めまいで視界が遮られる。
しかし、彼女がそっと僕の頭を撫でだすと、すべてが治まっていったのだ。
ずっと昔に忘れてしまった感覚を呼び起こされたような、不思議な気持ちに浸る。
「大丈夫……、眠れそうだよ」
安らかな気持ちで、僕は言葉を返した。
そして、夢の世界へと落ちていこうとしていた。
しかし……、
「あら? もう、寝ちゃったの?」
……え? カルミアさん?
カルミアの声がテントの中に響いたかと思うと、衣擦れの音が聞こえてきた。
そして、僕の背中側を柔らかな感触が襲う。
「用心のため、私も一緒に寝るわ。それにしても、この服チクチクするわね。脱いじゃいなさい!」
カルミアは布団に入っていたかと思うと、僕のチクチクする麻のワンピースを脱がしに掛かった。
「ちょっちょっ! いきなり何するんですか!」
布団の中、カルミアの方に向き直ると、そこには布団の中から見える範囲に何も着ていない素肌が……。
ふくよかな無の谷間にくぎ付けになっていると、すぽんっと脱がされてしまった。
「あっちを向いて、事故で入っちゃうかもしれないでしょ?」
「はぃ?」
「うふふ、冗談よ。パンティは履いてるから」
冗談と言いながら、有無を言わさず反対向きにされる。
しかも、後ろから腕を廻され、ガッチリ身体を固定された。
目の前には、すでに寝息を立てているニウブの顔。
後ろからは、素肌に感じるカルミアのふくらみ。
「眠れるわけねぇ~」
僕は下半身をギンギンにしながら、この生殺しの状況に涙した。
そして、明け方になるまで眠ることなど出来るはずもなかったのだ。
翌朝、目を覚ますと布団が剥がされていて、僕はテント内の床に直で横たわっていた、全裸で。
「どどど、どうなってんの?」
もちろん、ニウブもカルミアもすでに居ない。
僕は意識がはっきりしてきた所で、自分のワンピースを見つけて着用する。
外に出ると、すでに朝ごはんの準備が出来ていた。
みんなが食事している所に行くと、いつもと違ってフリフリなピンク色の服を着ているニウブ。
「あれ? ニウブどうしたの? おしゃれして」
「これは……、アレクサさんに借りたんです」
僕の問いに、ニウブは恥ずかしそうに答えた。
そして、僕に近づいて来て耳打ちしてくる。
「タスクさん、オネショ癖があるなら言ってくださいね」
「え?」
「ちょっとだけでしたけど、わたしの服とシーツがチョット汚れちゃいました」
「え? 昨日は水飲み過ぎたとかもないし、だいたいオネショなんかしないよ」
「恥ずかしがらなくて良いんですよ? 洗う時、ちょっと不思議な臭いがしましたけど……」
「あ――! うあああああああああああああああああああ!!!」
……ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさいー!
僕は膝を着いて、頭を両手で抱え、天を仰いだ。
寝ている間に夢精して、ニウブの服にブッかけたのだ!
しかも、濡らしたシーツも洗ってもらった……。
なんという辱め。
なんという屈辱。
栗の花の匂いをニウブが知らなかった事だけがせめてもの救いか。
僕は偽りのオネショを受け入れるしかなかった。




