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開拓村の初日1

 大きな湖の穏やかな水面には、周囲を取り囲む緑深い山々が映し出されていた。

 その湖の北岸に、渓谷から流れ込む小川が作り出した平地。

 その小川を挟んで東側の平地が開拓地として降り立った場所だ。


 着いて早々、カルミアがみんなに提案してくる。


「まずはテントを建てましょうか」

「えー! クマが来てからやってもらえば良いじゃん」


 しかし、めんどくさそうに答えたアレクサは、なかなか立ち上がらない。


「あらあら、なんでもクマちゃんに頼ってばかりじゃダメよ! 少しは自分で何でもする努力をしなさいアレクサ」

「わかったよぅ。もうちょと休んだら行く…」


 そんな中、ニウブは興奮して居ても立っても居られないよう様子をみせる。


「あー! ワクワクしてきましたね! 私たちもつかえそうな気の枝なんかを探しに行きましょう!」

「あの……。その前に簀巻き状態から解放してくれませんかね」


 開拓地に着いて早々、カルミアとニウブ以外の3人は、簀巻き状態の僕に座ってくつろいでいた。

 僕は人間ソファーか!


「ハイハイ、みんな立って! その革布はテントの天幕に使うんだから」


 カルミアが急き立てて、ようやくみんな立ち上がり作業へと向かった。



 カルミアとシギがテントを建てている間、残りのメンバーは近くの森に入り、細めの倒木や太い枝などの役に立ちそうなものを集めている。


「この倒木持ってくか……。って重!!」


 こんなに体力無かったかな? と細長い倒木の持ち手から頭を上げると、その先にはアレクサがイタズラそうな笑みを浮かべてまたがっていた。


 ……やれやれ、あんな凄い魔法使えると言ったって、まだ子どもだな。


 藍染のフリルを何重にも重ねたドレスに身を包み、水色のツインテールに大きなリボンが結ばれている、どこかお人形さんみたいな少女を僕は微笑ましく見つめていると。


「雷撃波!」

「きゃあ!」


 キキョウの雷撃波が倒木を真っ二つにして、アレクサが木から滑りおちた。

 


「あにすんのよ! キキョウ!」

「ふざけてないで、仕事しろクソガキ!」

「なによー! ちょっと奴隷くんとお近づきになろうとしただけじゃん」


 とアレクサは反論したかと思うと、立ち上がって僕の方に近寄り、


「だって……。これから、いっぱいイイコトするんでしょ? 私たち……」


 僕の腕に年齢の割には膨らんだ胸を押し当ててきた。


「うっっ!!」

 

 ゆったりしたワンピースの細くヒモで締め上げられたウエストによって強調される胸元。

 それを隠すような大きなリボンの上でイタズラそうな目をして見つめる幼い顔の水色ツインテール少女。

 僕は一瞬にして、その背徳的なエロスに魅了される。


 ……なんて、はしたないロリっ娘なんだ! …いいぞもっとやれ!! いや、いかんぞ、いかんぞ!! タスク……。どんなに幼く見えても、みんな18才以上です! なエロゲーの世界じゃないんだ!

 

 などと、妄想の中で葛藤していると。

 キキョウが、軽蔑の眼差しを向けながら警告してくる。


「あー、一応言っとくが。アレクサにエロいことしたら姉のカルミアに燃やされるぞ。ロリコン野郎」

 

 僕はカルミアに燃やされる自分を想像し、なんとかエロゲーの世界から帰還する。

 いや待てよ、お前さんだってそんなに変わらないじゃないか!

 18歳の合法年齢だといっても、身長は一番低いし!

 などと、心の中で抗議していると、ニウブまで小言を言っていくる。


「そうですよ! 14才の子は妊娠させちゃだめですよ。せめて16才まで待ってください」

「何を! い、いっ、言ってるんですか! ロリコンじゃねぇし!! キキョウさん! ニウブさん! こ、こ、こんな小さい子に、きょ、興味ないですよ」

「まぁいいや。よし、あっち行くぞクソガキ! これじゃ、いつまでたっても終わりゃしねぇ……」

「ちょ、ちょっと! 痛い……」


 キキョウがアレクサを無理やり引っ張って行ってしまった。

 そんなふうに脱線しながらも、枝や倒木を集めをして何往復か、ちょうど僕とニウブの二人だけで行動している時。


 ――ガサガサ。……ガサガサ。


「なんだなんだ?!」

「上の方みたいです!」


 見上げると、木の上に黒い人影のようなものが一瞬見えた。


「人だ!」

「私にはおサルさんに見えましたよ?」

「サルって、あんな大きかった?」


 すると、今度は山奥の方から音が聞こえてくる。


 ――ガサガサ。……バリバリバリ! ……ガサガサガサ。


「なんか僕、すっごくヤバい感じがするんですけど!」

「そそそそそうですね。早く逃げた方が……」


 二人して、音の方を恐々と眺めていると……。


「クマー!!」


 森の奥から、熊がニョキっと顔だす。


「ぎゃー! 熊だー! お助けー!」


 僕はあまりの驚きに腰を抜かしてしまい動けなくなる。



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